第二話 疑心暗鬼 前編
「人狼の方は一階ホールに集まってください。皆は起きないからゆっくり考えるといいよ。・・・。そう。その人にするんだね。じゃあ、自室に戻ってください。」
------夜------
林田は目が覚めた。
「ん?もう朝か・・・。あんまり寝た気がしない・・・。あれ?まだ夜?なるほどね。今日襲撃されたのは私か。この狼リアルすぎるわね。流石リアル人狼ゲーム、手が込んでるd・・・。」
すると林田の右腕が嚙まれた。
「痛っ!・・・え?いや・・・。ゲームでしょ?え・・・。本当に殺す気か・・・な・・・。ゲームマスター!!!どういうこと!?来るな!来るな!やだ!死にたくない!!!死にたくない・・・・・・。」
逃げようとして窓を開けようとするも、開かない。
「助けて!誰か!たすk・・・。」
ガリッ、ザクッ、ぐちゃぐちゃ・・・。
------朝------
「ふうぁーーーー・・・。よく寝た・・・。」
石城は目をこすりながらベットから降りる。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
図書館の方から小倉の声が聞こえた。
「なんだろう。騒がしいな。見に行こう。」
石城は身なりを整え、外に出た。図書館の前に行くとみんなが集まってきたところだった。
「林田さん!林田さん!」
大蔵は叫んで、林田さんの体を揺さぶった。
「うわ・・・。酷いな・・・。」
塚本はその光景を見て顔をしかめた。
「リアル過ぎる・・・。本当に死んでいないよな・・・?」
山本も腰が抜けてその場に座り込んでいる。
「怖いこと言わないでよ!」
家田は顔を隠しながら叫ぶ。
「違うでしょ・・・。これは”ゲーム”なんだから・・・。」
堀田は声が震えていた。
「だよな・・・。」
小田は目を背けている。
「見る限り嚙み殺された・・・、ってところかな・・・。ゲームマスターに聞くか・・・。」
この中で唯一平静を保てている大下は林田を見ながら言った。
「そうだね・・・。」
岩倉は大下の意見に賛成した。するとスピーカーから大きく明るい声が聞こえてきた。
「皆!すがすがしい朝だね!ほーら、みんなスマイル!スマイル!」
「ふざけないで!!!」
堀田はゲームマスターを睨みつける。
「ゲームマスター・・・。よくこんなことがっ!」
石城も感情をあらわにした。
「もしかして・・・。怒ってる?残念だなぁ、折角あそこまで面白くしてあげたのにな~。」
「何が面白くですか!何もあそこまでやる必要ないじゃないですか!」
小倉は声を荒げる。
「死体までかなり作り込んで・・・。流石に気持ち悪いぞ・・・。」
塚本はそう言った。
「作り込んで?はて、何を言っているのかい?あれは”全て林田”だよ?」
・・・・・!?!?!?!?!?(全員)
そうゲームマスターが言うと、皆は驚き、恐れおののいた。
「な、なにを言っているの・・・?」
岩倉は声を震わせながらゲームマスターに聞き返した。
「だ~か~ら~。あれは林田マユミ本人の死体なんだよ。」
「だが・・・これはゲーム・・・。」
大蔵も聞き返す。
「言ってなかったっけ?リアル人狼ゲームだって。君たちは何か穿き違えているようだけど”リアルな人狼ゲーム”じゃない。”リアルの人狼ゲーム”を体験しているんだよ?まあ、言葉の綾ってやつだね。”この世界で死ねば現実でも死ぬ”それを覚悟して君たちはここに来たんじゃないの?」
「そんなの釣り合っていない!必ず誰かが死ぬことになる!」
岩倉は怒鳴った。
「それが”真の人狼ゲーム”というものだよ。それはスマホを片手に遊べるものじゃない。生きて帰りたければ勝つしかないんだよ!もちろん!処刑になった人も殺してあげる。」
「・・・・。」
岩倉は黙った。
「くくく・・・。岩倉ユウスケ。君はとても冷静な判断をしてくれるから嬉しいよ。そして『リタイア』という四文字のくだらない行為は認めないからね。制限時間5分。さあ、会議はじめ!」