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ハイエルフ女武者  作者: 荊棘 楓
王立学園編
1/15

プロローグ


 煙草を吸うのが好きだった。何気ない1日の終わりに縁側で月を見ながら紫煙を吐くのが好きだった。

 だが、そんな日常は唐突に終わりを迎えた。


 まあ、なんだ。突飛なことを言っている自覚はあるのだが、私は地球で死んで異世界にエルフ-性格にはハイエルフなのだが-に転生してしまったらしい。

 愛弟子がそういった小説が好きでよく本を貸していてくれたのだが、まさか若くして死んだのに第二の人生を異世界で歩むことになるとは思いもしなかった。


 転生して早15年、この世界の一員として生きていくのも慣れたもので…いや、まさか赤ん坊からのリスタートとは思わなかったのだが。

 いやぁ、27年生きた知識と経験がある中で幼少期を過ごすのは前世のどんな修行よりも辛かった気がする、肉体的にも精神的にも。


「15年…か」


 少し、この世界の話と私の身の上の話をしようか。

 この世界、特に名前は無いのだが、地球とはなにもかも違う。月は2つあるし、現代日本とは比べ物にならないくらい文化レベルは低い。愛弟子の言葉を借りると「よくある異世界転生」のようで、剣と魔法の世界だ。機械文明が発達していない代わりに魔道具というものが存在しており、私からすれば文化レベルは酷く歪に見えるが、無理矢理譬えるとするなら近代初頭といったところだろう。

 そして、私は大国の公爵家当主の父と、その父にエルフの王国から嫁いだというハイエルフの母の第一子で長女だ。つまりは公爵令嬢でありこの世界ではかなり身分が高く、暮らしには困らないどころかかなり贅沢な身分である。これが分かったときにはかなり安堵したものだ。

 母は第二夫人ということで、第一夫人との間に産まれた兄が2人いるのだが、小説のなかであったようなギスギスとしたような話は無く兄妹、親間共に関係はかなり良好だ。

 そんな私は、初の女子として大事に箱入りとして育てられた…というわけでもなく、前世と同じく剣の道に生きていくことに決めたのだが、その話はまた今度にしよう。


 そんなこんなで15年、身体はある程度成熟し、精神は前世から数えると42年…この話は悲しくなるから止めよう。明日からは王国最大の教育機関である王立学園に通うことになっている。

 

 夢を叶えるための鍛錬は怠らなかった。前世では時代が悪かった。今生は夢を叶えるためには最適な環境だ。

 私は最適な世界と環境に転生させてくれたまだ見ぬ神と、我儘を文句も言わずに聞き入れてくれた両親に感謝しながら、明日の入学式に期待を馳せてふかふかのベッドに意識を沈めた。

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