表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
指輪転生  作者: ナーロッパ大使館員
一章 ピアルノー氏の蒐集品
15/40

ピアルノー氏のかそけき縁者Ⅰ



 ◆◆◆



 旧代官邸で(むか)える久々(ひさびさ)の朝。

 南部の青々(あおあお)とした平野と林、その上に青い空が広がっていた。

 放牧(ほうぼく)されている家畜達が青草(あおくさ)絨毯(じゅうたん)に点々と散らばり、広大な穀物(こくもつ)畑が織物(おりもの)の様になだらかに地平(ちへい)まで()びている。


 出立(しゅったつ)当初(とうしょ)懸念(けねん)他所(よそ)に、イズーダン子爵領から南部(なんぶ)(しょ)都市(とし)()て旧代官邸に至る道程(みちのり)は、(きわ)めて穏やかなものであった。

 目的地に到着したその日の内に首尾(しゅび)よく現地(げんち)協力者との契約を取り付け、その晩には彼らの代表者であるマリオ・アリエル夫妻と話をすることもできた。


 にも(かか)わらず、執務室に立つエリオンは窓辺から外を見ているかと思えば目的も無くグルグルと室内を歩き回ったり、(はや)る気持ちを抑えられないのか、どうにも落ち着きが無い。

 昼食を終えた後も何処(どこ)陰鬱(いんうつ)な表情で、美しい景色も彼の無聊(ぶりょう)(なぐさ)める役には立たなかったようだ。


 (当然のことではあるが……)


 屋敷(やしき)内装(ないそう)は、エリオンの記憶とほぼ遜色(そんしょく)の無い様子だった。


 が、当時(とうじ)(やかた)のあちこちに陳列(ちんれつ)()しくは放置されていた叔父の蒐集品の(ほとん)ど全てが何処(どこ)かへと運び去られていた。

 移送(いそう)先は恐らく、叔父とその家族の住む南領の(いえ)屋敷(やしき)だろうが、あの膨大(ぼうだい)な数の品々(しなじな)全てを新居(しんきょ)に動かしたとは考え(がた)い。

 何割(なんわり)かは、旧代官邸内の施錠(せじょう)された部屋か、敷地の倉庫棟に保管されている(はず)だ。

 この件でマリオとアリエルに話しをする必要がある。

 しかし二人とも、早朝(そうちょう)に旧代官邸を出てから、まだ戻って来ていないらしい。

 一夜(いちや)()けて、昨晩の二人への対応は間違いだったのでは無いか、と言う懸念(けねん)も生まれていた。


 彼は小さく溜め息をついてから振り返って窓に背を向けた。

 その目線の先、机の上には緑色の封筒がある。

 〝エリオンへ〟とだけ書かれ、開封された封筒。

 その横には()()裂かれた手紙が置かれていた。

 エリオンは胸元から薄緑色の封筒を取り出し、その上に押された封蝋(ふうろう)(あらた)めて(すが)めた。


 二通の封筒と一枚の便箋。


 マリオの言うように、この植物紙は水柳の家で生産された物に間違い無いのだろう。

 全部で三通ある封筒のうち、奇妙な追伸文付きの報告書が封入されていた一通目だけは、この植物紙の見本としてイズーダンに残るリアンノン・アンダマンに預けてきていた。

 エリオンが旧代官邸に持参したのは残りの二通、裂かれた手紙が入っていた開封済みの封筒と未開封の一通……焔の罠が仕掛けられた呪いの封筒。

 南領に(いた)道中(どうちゅう)、彼はそれらを肌身離さず愛用の外套(コート)懐中(かいちゅう)に潜ませ、時折(ときおり)読み返しながら常にその意味を考えていた。

 ただし、触るだけで燃える便箋だけは直に触れないよう、内側に隠し縫いしたスリットに閉まってある。


 (この印章(いんしょう)出自(しゅつじ)とその意味を知る者こそが、この封筒の受け取り人である。

 それがピアルノー・アンダマンがエリオン・アンダマンに(のこ)した遺言(ゆいごん)、……か)


 当然、これはエリオンがでっち上げた作り話だった。

 続々とイズーダンに届けられた薄緑色の封筒について、ピアルノー・アンダマンは遺言など遺していない。

 そもそも状況証拠(じょうきょうしょうこ)とエリオンの推論(すいろん)以外に、彼の叔父とこの封筒(すなわち)ち緑色の植物紙を結びつける要素(ようそ)すら何も無い。 

 それでも態々(わざわざ)彼がこんな事をした理由は、遺産分(いさんわ)けを前に自身(エリオン)に接触してくるだろう、オーデンとその協力者を(まど)わし攪乱(かくらん)するため。

 まずは旧代官邸に出入りする者たち。 追って相続人と証人、彼らの同行者、侍従。

 幾人かを相手にこの(にせ)遺言(ゆいごん)を示して、可能な限り遺産を狙う裏切り者を(あぶ)り出すのが (しん)の目的だった。

 しかし、そんな疑心(ぎしん)を抱えつつ、目下(もっか)エリオンに出来るのは悶々(もんもん)と考え込む事だけだった。


 それにしても、スヴェンセンの従者(じゅうしゃ)としての態度……マリオがその()(よう)に対してあからさまに不審(ふしん)表明(ひょうめい)しているのも(よろ)しくない。

 どこかでアーロンの事を説明すべきかも知れない。

 道中(どうちゅう)の様子から見ても、今のところ南領には目に見える脅威(きょうい)も敵もいなかった。

 可能なら証人と相続人達が到着する前に小人族を味方につけておきたい。


 そこでふと、エリオンは正門の周りに人が集まりだしている事に気がついた。

 間も無く、衛士がエリオンを呼びに来た。


 「閣下、隊長がお呼びです。 確認したい事があると……」

 その若い女性衛士は妙に緊張した表情で言った。



 ◇◇◇



 見通しの良い小高い丘の上に建つ旧代官邸は、堅固(けんご)石造(いしづく)りの外壁(がいへき)(まわ)りを(かこ)われている。

 その内側には、かの動乱期に建造された古い石造りの遺構(いこう)が点々と残っていた。

 遥か昔、ここに小規模な戦時(せんじ)要塞(ようさい)が建てられていた事の証左(しょうさ)だ。

 数十年前、(なが)らく見捨てられていたこの地に来た一人の男、ピアルノー・アンダマンは風化(ふうか)の始まっていた(きゅう)城壁(じょうへき)を撤去するどころか、私財(しざい)を投じて要塞(ようさい)機能を再建(さいけん)する。

 旧代官邸を中心に一回(ひとまわ)り大きく(めぐ)らされた(しん)城壁(じょうへき)

 城壁を繋ぐ結節(けっせつ)点には、一際(ひときわ)高い物見(ものみ)(とう)が建てられている。



 ◇◇◇



 (のぼ)りきった先、物見塔の最上部(さいじょうぶ)に立つスヴェンセンは頭頂(とうちょう)から足先(あしさき)まで完全(かんぜん)装備(そうび)に身を固めている。

 梯子(はしご)から登って来るエリオンに手を貸して引き上げると、望遠鏡(ぼうえんきょう)(のぞ)きながら話し始めた。


 「馬車が一台と……騎士じゃねえな。 馬に乗ったゴロツキが……十三、いや ……十五。

 ぼちぼちココに到着しそうです。 皆殺しにしますか?」


 「先に話を聞きたい。 傷付けずに城壁まで通してくれ」


 エリオンとスヴェンセンは、そのまま物見塔の上で来訪者(らいほうしゃ)()動向(どうこう)観察(かんさつ)する事とした。

 土煙(つちけむり)を上げながら旧代官邸に(せま)っていたその一団(いちだん)は、新城壁の上で張っていたエリオンの衛兵達を視野(しや)(とら)えると速度(そくど)を落とし、停止する。

 その間、エリオンは携行(けいこう)双眼鏡(そうがんきょう)を目に当て、彼ら一人一人を(つぶさ)に調べていた。


 二頭(にとう)()きの馬車と騎兵達。 いずれも目印(めじるし)になるような物は着けていない。

 それどころか、騎兵の装備さえバラバラで統一感が無い。 何者だろうか。


 そこから馬に乗った伝令(でんれい)が一人城壁前までやって来て、城内に向かって口上(こうじょう)()べた。

 それを受け、壁上の衛兵一人が進み出ると返答(へんとう)を述べた。

 すぐに来訪者側から伝令が返って来る。 今度は長々(ながなが)(しゃべ)っているようだ。

 と、そこで衛士隊の副官(ふっかん)が報告を届けに物見塔まで(のぼ)ってきた。


 報告によるとその一団は、アンダマン本家〝極秘(ごくひ)(つか)い〟を名乗っているようだ。

 彼等から我々への要望(ようぼう)は ここ旧代官邸の()(わた)し……(いわ)く、諸君(しょくん)行為(こうい)不法(ふほう)占拠(せんきょ)(ほか)ならない為、即時(そくじ)開門(かいもん)しこの地を離れる様に、との御達(おたっ)しらしい。 

 

 「アンダマン本家の遣いか」

 どこかで聞いたような話だ。


 「どうします?」


 公的(こうてき)な使者であれば、書状を持っている。

 そうで無くとも徽章(きしょう)(はた)、馬車に描かれた紋章(もんしょう)などでその立場(たちば)証明(しょうめい)する。

 しかし傭兵(ようへい)(くず)れの騎兵を伴ったこの極秘の遣いとやらは、(なに)(ひと)身分(みぶん)を証明する物を持参(じさん)していないらしい。

 つまりはどう贔屓(ひいき)()に見ても、開門(かいもん)を迫る不審(ふしん)な集団に()ぎない。

 (あらそ)う程の事もないが、かと言って相手の要望に従う道理(どうり)が無い。


 「こう伝えてくれ。

 我々がアンダマン本家に確認を取るまで 入城(にゅうじょう)は許可出来ない。

 二週間後に再訪(さいほう)するか、アンダマン本家公認(こうにん)の遣いを連れて来るように、と」


 少しして、衛士が来訪者に向かってエリオンの返答を読み上げた。

 対して、向こう側からまた伝令が出て来る。 大声で何かを言っているが、どうやら怒っている様子だ。

 もう一度、こちらから衛士が応じたが、一言(ひとこと)二言(ふたこと)()って()ぐに戻り、それきり返答を()めた。

 しかし(あきら)めがつかないのか、来訪者は正門前をウロウロしながら延々(えんえん)(がな)り続け、中々(なかなか)()()げようとしない。

 その時、風を切る音がしたかと思うと、伝令の脚元(あしもと)に何かが落ちた。


 矢だ。


 それを見て一瞬(かた)まった後、伝令は慌てて馬車の方へと走り戻った。

 エリオンがスヴェンセンを見ると、彼女はその様子を眺めながらニヤニヤ笑っている。


 「スヴェンセン……」


 「大丈夫ですって!」

 ()(つくろ)うような素早い返事。


 矢を射かけられた伝令が戻り、来訪者の一団(いちだん)(にわか)ざわめき出す。 それに続いて、馬上(ばじょう)の兵士が手に武器を取って一斉(いっせい)(かか)げた。

 その瞬間、無数の矢雨(やあめ)が彼等の(まわ)りに()(そそ)ぎ、途端に一団は恐慌(きょうこう)状態に(おちい)った。

 馬は(あら)ゆる方向へ逃げ出し、騎乗の兵士たち数人が転がり落ちた。

 馬車は転倒し、()き馬は逃げ去った。


 惨憺(さんたん)たる有様(ありさま)だ。


 「おい! スヴェンセン!!」


 スヴェンセンはゲラゲラと笑っていた。


 ……マリオが旧代官邸( ここ )に居なくて、丁度(ちょうど)良かったのかも知れない。



 ◇◇◇



 エリオンの足音(あしおと)が湿った地下道に反響(はんきょう)した。

 その岩塊(がんかい)(つぶて)を埋め合わせて造られた地下道の左右に並ぶ牢獄には、男達が詰め込まれている。

 先ほど衛士隊の攻撃で混乱に陥って逃げそびれた騎兵たちだ。

 あの後、不審な一団は衛士隊によって捕捉(ほそく)され、旧代官邸敷地(しきち)(もう)けられた地下(ちか)(ろう)へと(とら)われていた。

 中でも特に身なりの良い二人には、個別(こべつ)牢屋(ろうや)()てがわれている。


 「()機嫌(きげん)()う」


 牢屋の前で立ち止まると、エリオンは獄中の人物に話しかけた。

 (ひど)(おび)えたその男は、恐る恐る項垂(うなだ)れていた顔を上げ、エリオンを見る。

 (まと)められた髪は(みだ)れ、張り付いた笑顔は……あの不遜(ふそん)慇懃(いんぎん)な態度は()りを(ひそ)めていた。


 「大事(だいじ)()いかな? キーリバ殿」


 驚いているものの、コルゾ・キーリバはまだ事態を飲み込めていない様子だ。

 まるで、エリオンを初めて見るかのような表情をしている。


 「おやおや……彼女の事も忘れてしまったのか?」


 「ゴキげんよう!」

 エリオンの後ろに立っていたスヴェンセンが()()き出して言う。

 コルゾはヒィッと小さく声を上げて顔を(おお)った。

 その余りの怯え(よう)に、エリオンは少し違和感を覚えた。


 「私の()れに手を出すな。 エリオン・アンダマン」


 呼ばれて、エリオンが背後を振り向く。

 牢屋の中で男が一人、エリオンを睨みつけながら両手で格子(こうし)(つか)んで立っていた。


 「失礼。 貴殿(きでん)何方(どなた)だったかな」


 「私はルシャス・アンダマン。

 アンダマン本家当主カリバン・アンダマンの実妹(じつまい)シゼル・アンダマンの四男だ」


 ルシャス・アンダマン。 名前を聞いた事はあるが、会うのは初めてだ。

 コルゾ・キーリバが言っていたアンダマン本家の遠縁という話は真実だったのか?

 それにしてもこの男は何故(なぜ)私がエリオン・アンダマンだと知っている?


 「御初(おはつ)御目(おめ)にかかる。 私はエリオン・アンダマン。

 アンダマン本家当主カリバン・アンダマンの実弟(じってい)アエル・アンダマンのニ男にして、イズーダン子爵アーロン・アンダマンの実弟です。

 ルシャス殿、此処(ここ)には一体(いったい)何用(なによう)で来られたのでしょう?」


 「貴様(きさま)こそなぜここに居る?

 ここはピアルノー・アンダマンが管理している場所だぞ」


 同格(どうかく)の貴族相手に〝貴様〟呼ばわりとは、口の悪い男だ……

 「仕事です」


 「仕事? どんな仕事だ?」


 「()殿()()()()()()()()仕事です」


 エリオンの素気(そっけ)無い答えに、ルシャスは顔を赤くして返した。


 「私はルシャス・アンダマンだぞ!」


 「ええ、疑ってはいません」


 ルシャスを捕縛した時、彼が羽織(はお)っていた外套(がいとう)没収(ぼっしゅう)している。

 そこに刺繍(ししゅう)されていたのは、間違いなくシゼル・アンダマン一族の紋章(もんしょう)だった。


 「ならば、ここから出せ! さも無ければ(はは)シゼルが黙っていないぞ!」


 見た目より(おさな)い男だな、とエリオンは思った。


 (とし)は二十くらいだろうか? しかし、もっと若いのかも知れない。

 一瞬、私はエリオン・アンダマンだぞ!私を貴様呼ばわりすると母リアンノンが黙っていないぞ!と返そうかとも思ったが、馬鹿馬鹿しいので止めた。


 「もう一度だけ聞きます。 ここに来た目的は?」


 「……貴様には関係が無い」


 「そうですか。 話す気が無いのなら、私が仕事を終えるまで牢獄(ここ)に居てもらいます」


 「貴様にそんな権利はない!」


 「それはどうでしょうか。 ……御安心下さい、貴方(あなた)(たち)処遇(しょぐう)については()(よう)(はか)らうつもりです」


 不敬(ふけい)だ!本家に報告するぞ!と叫ぶルシャス・アンダマンを残してエリオンは地下牢を後にした。



 ◇◇◇



 「旦那、あれで良かったんですか?」


 地下牢から旧代官邸執務室へと戻る道すがら、スヴェンセンが尋ねた。

 

 「キーリバだけならまだしも、本家(ほんけ)(すじ)の人間を尋問(じんもん)する訳にもいかないからな」


 補佐役の立場に付帯(ふたい)する特権(とっけん)遺産(いさん)分割(ぶんかつ)協議(きょうぎ)の為にしか行使(こうし)できない。

 先刻(せんこく)は相手側に旧代官邸への侵入と攻撃の意思があり、ここを脅威(きょうい)から守る必要に(せま)られて武力(ぶりょく)行使(こうし)した、と()える。

 だが、その際に捕縛(ほばく)した貴族を尋問にかけるのは、補佐役の仕事に含まれていない。

 まあ尋問するまでもなく、彼らの目的はピアルノー・アンダマンの遺産だろう。

 コルゾ・キーリバが帯同(たいどう)している時点(じてん)で……。


 「俺もそっちは大した問題じゃ()えと思います。

 ただ、大将(たいしょう)二人はヘボでしたがゴロツキ共は本物……殺人強姦何でもござれって目をしていやがる。

 逃げ出した奴らの中に()()()()()がいたかも知れません」


 エリオンは振り返ってスヴェンセンと目を合わせた。


 彼女はエリオン・アンダマンの筆頭(ひっとう)護衛(ごえい)であると同時に、その衛士隊つまりイズーダン子爵家私兵(しへい)部隊の指揮(しき)(かん)でもある。

 帝国の北方(ほっぽう)にある集落(しゅうらく)の生まれで、出自(しゅつじ)も考え方も、典型(てんけい)(てき)な帝国貴族として生まれ育ったエリオンとは本来(ほんらい)(あい)()れない。

 しかしエリオンは出自と性別を超えてスヴェンセンに全幅の信頼を寄せている。

 それと同時に、一見(いっけん)粗雑(そざつ)不可解(ふかかい)な彼女の性格と考え方を高く評価していた。

 特に人を見るに独特(どくとく)基準(きじゅん)……エリオンには理解出来ない(こだわ)りを持ち、直感的な判断を下すところを。


 今回、子飼(こがい)の部隊から()(すぐ)りの猛者(もさ)達を南領に連れて来ている。

 全員が領内の孤児(こじ)流民(るみん)からスヴェンセンが選び出し(きた)()げた者達だ。

 その指揮官含めて彼等の仕事ぶりに失望させられた事は(結果的に)一度も無い。

 彼女が()えて言葉(ことば)にするという事は、入牢(にゅうろう)している者達は相応(そうおう)の危険人物なのだろう。


 「とすると、二人組をあのまま地下牢に置いておくのは危険かな?」


 「なんかの(はず)みで(となり)に入ってるゴロツキにぶち殺されるかも知れません。 

 トロそうだし()ろうと思や格子(こうし)()しでもいけるでしょうし。

 許可(きょか)(いただ)けりゃ、(はな)れに(うつ)しますが」


 「そうしてくれ。 それと、警備(けいび)態勢(たいせい)も強化しよう……特に夜警(やけい)巡廻(じゅんかい)を。

 逃げて行った連中が戻って来るかも知れない」


 「了解」


 その時、警備の衛士が喇叭(らっぱ)を吹き、旧代官邸敷地に警鐘(けいしょう)が鳴り響いた。


 「旦那、 失礼!」


 そう言うやスヴェンセンはエリオンを(かか)()げ、そのまま猛然(もうぜん)と走り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ