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新しい仕事2

毎日午前2時掲載


本日(10日午前2時ちょうど)に掲載予約入れたつもりが、入っていませんでした。

その結果、「新しい仕事2」は、昨日(9日午後 11時39頃)に掲載されました。


楽しみに待たれていた方申し訳ありません。

ここにおわびいたします。

夏華が、西アトランティス社で新しい仕事を始めると、まもなく、キリウリ博士なる人物に会社で声をかけられた。


キリウリ博士は、髪の毛はボサボサで、白いものが少し混じった無精ひげ、顔色は色黒だが、痩せ気味の体格のせいか健康そうには見えない。


ギョロギョロ動く2つの目をおおうう分厚いレンズで不思議な矯正の入ったレンズのメガネ。そのメガネは、手入れの行き届かない脂っぽい鼻にかろうじて滑り落ちないバランスで鼻先に引っかかっていた。


そういえばレンズは、サングラスなみに色が入っていたので、キリウリ博士の視界は良くないはずだ。そう夏華は感じた。キリウリ博士のだぼつくシャツやズボンもヨレヨレで、その上に、盛大に色とりどりの染みの入った白衣、ボタンを一つもかけず白衣をきていた。


全体で言うと自分の研究、自分の嗜好以外、何も興味がないぞ。キリウリ博士は、彼の風体ふうていで広く世界に宣言している。


「夏華さんというのはあんたか?」


眼前の夏華を子細しさいに眺め回し、夏華なる初対面の人物の解明に没頭しているという風情のキリウリ博士。キリウリ博士は、夏華をじろじろ見ることをやめず、遠慮も知らず、一方的な話し続けた。もちろん、夏華からの返答などかまっていなかった。


「あなたの前任の人とは、いろいろとつき合いがあって、研究の上で便宜べんぎをはかってもらっていたというわけなんだ。モチロン、これは会社の許可が得られる範囲での話だが。後任の夏華さんなる人が、働き始めたと聞いて、早く挨拶に行かないといけないと、思っていたのだが、というのも私は、あなたの部署のあなたと同じ係りの社員と持ちつ持たれつの関係で円満に共同作業を続けるのがお互いのためだと決めているんだ」


「ところで、早速の話なんだが、今日、私がこの会社に来たのは、この会社からというか、夏華さん、あなたから助けてもらわなければならない緊急事態が生じたということなんだ」


キリウリ博士は、辺りを見回し、ロビーの空いているソファーに夏華を誘導した。


「こっちの方で一休みさせてくれ。今日という日は、朝からこの街の人ごみをかき分け、歩き回っていたんだ、疲れたよ」


「というのもこれは、私の性分というやつなんだ。こういう大事なことはどうにもメールというのは安心できない。近くにいるものに対しては、実際に顔を合わせて、報告、相談するのが、そうだ一番安心できる。そうじゃない、話したいことは悪人に筒抜けになってしまう」


「私は、うちの経営の小さな医院からさらに通りの奥の再会楼さいちぇんろうという中華食堂をよく利用する。そこの客たちの話を聞きながら飯を食うというのが好きなのだが、そのおかげで、いろいろと面白い知識を手に入れることが出来る。客たちのする世間話は、とんでもない秘密や真理が満載なんだよ。そこで、平然と語られている様子は奇跡的な時間なんだ。これは大都会の繁華街に暮らす特権なんだ」


「その再会楼さいちぇんろうにもう何十年も通っていると、いろんな顔見知りが出来る。世間話の相手になる人物もいたり、非常に顔見知りであるにも関わらず、一言もはなすことのない人物などもいる。今から、話すのは、この再会楼の私の知り合いの一人なんのことなのだが、この人物がどうも私の裏の正体を知っていそうなんだ。彼は、夏華さん、あんたくらいの年齢としで大学をでてから何年も経っていないくらいの若者で、上等な会社に勤めていそうな、キチンと行儀を教育されている若者なんだ。その若者が昨日俺に、読んでくれと突然手紙をよこしてきたんだ。その手紙は、仕事用の薄茶色の封筒に入っていた。請求書なんかが入っているやつだ」


「その手紙を読んでみて、その若者が俺の正体を知っていると確信したよ。しかし、その若者はどうやって俺の正体を知ることができたのだろう。この西アトランティスという会社。社員の出入りから始まって、セキュリティーは相当に厳しいはずだ」


キリウリ博士は、白衣のポケットから、二つに折られた薄茶色の封筒を取り出すと、夏華の方に差し出した。


「まあ、これを読んでみてくれ。そして、感想を聞かしてくれないか」



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