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自治会費4

毎日午前2時掲載

「待ち合わせの場所に、待ち合わせの時間より30分も早く到着するなんて、私、なんてドジなのかしら」


夏華は思った。時間を持てあますのは確かにつらい。夏華は、スマホを取り出した。


スマホの動画サイトアプリを起動させると、夏華は、空き時間に観ようと思っていた動画を見始めた。


「表裏.ニュース(おもてうらドットニュース)」というサイトのニュースである。


このサイトは、いわゆるフェイクニュースをたくさん流しているサイトである。このニュースを起動させると、動画広告がいつもの通り三本ほど入った。ホストクラブの広告や風俗嬢の募集広告であった。


夏華は、さすがにイヤホンを装着して、ボリュームを少し上げた。


怪しげな動画広告に続いて始まった本編動画の内容は、都市伝説がテーマとなっている。


「これは、ニュースじやないぞ! 都市伝説だよ! ジャンルが違う!」


気に入らない動画に、突っ込みのつぶやきを入れるのが、夏華の少し悲しい癖である。


「最近、新宿で立て続けに起こる超常現象、心霊現象を今解き明かす!」


全く生気のないホームレスが、新宿の街のあちこちで目撃されており、これが今話題となっている超常現象というか心霊現象である。その現象を解明しようというのがこの動画であった。この動画を制作した、研究者風の男は、「全く生気のないホームレスたちが」、新宿にある「裏世界」に由来するものであると、主張している。


一般の意見は、ある種の蜃気楼、そうでないケースは、目撃者の気の迷いということになっている。


というのも、これらの生気のないホームレスたちは、人畜無害。危険でもない、利益も生まない物事について、真面目に考える人は力のない少数派であるものだからである。


ところで、夏華は、この動画にある生気のないホームレスたちを何回か自身で目撃していたのである。この不気味な動画観て、夏華はなるほどと思った。


      #       #


夏華は、動画を見終わるとイヤホンをしまった。夏華は、自分の背後に人の気配を感じた。夏華は、こわごわと後ろを振り返った。そこに夏華が見いだしたのは狩場涼であった。


自分の知らないうちに、自分の背後にたち、黙って、私のスマホの動画を、コイツは私と一緒に観ていたのだ。夏華は、そう思った。


「へんたい!」


夏華は、心の中でそうつぶやいた。


夏華は、ベンチから立ち上がった。夏華は、ここから立ち去ることにした。


コイツ(狩場涼)の誘いに乗って待ち合わせの場所に来たのは間違いだった。そう思った。


狩場涼は、右手で夏華の右腕をとると、もう片手で、夏華の背中を押した。夏華は、狩場涼によって道路の方に突き飛ばされるかたちになった。


「ごめんよ」という狩場涼の言葉が、夏華の耳に残った。


「どうして私のこと突き飛ばすの? キヤーーツ」


突き飛ばされた瞬間、夏華の周りにあるはずの世界がまるごと消えてしまった。明るい朝の日差しも消えてしまった。夏華を、丸ごとをスッポリと闇が包んでしまったのだ。






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