界賊惑星、地球!
ただただ思いついた物を適当に書いただけの物。
起承転結とかはっきりしてません。
こんな物語を読んでみたいな、というだけの物です。
とある問題が世界中の頭を悩ませていた。
神隠し事件。
人種や地位なども関係なく、人々が忽然と消えてしまう事件だ。
当初は、よくある失踪事件だと思われていた。
遺族たちが理由がないと必死に訴えようとも、簡素な捜索手配をして終わりだ。
その程度の認識だった。
ある時、集団で消えてしまう事もあり、それから少しばかり本腰を入れて調べられるようになった。
現代の神隠しだの、メアリー・セレスト号事件だのと、マスコミが面白おかしく書き連ねた事で、世間の注目度が増した事も要因だろう。
だが、当事国の警察機構が必至の捜索をしても、何の手掛かりも得られなかった。
やがて熱が冷め、人々から事件の記憶が薄れ始めた頃に、決定的な事件が起きた。
国が、国連にも加盟している歴とした一つの国家が、国土ごと地球上から喪失したのだ。
忽然と、まるで最初からいなかったかの如く。
これは異常事態だ。
明らかな天変地異である。
宇宙人が侵略しているのではないか、とまことしやかに囁かれ、それを一切否定できない事態だった。
もはや一国の問題ではない。
地球全体に危害の及ぶ深刻な問題だと認識を改めた人類は、地球の叡智の総本山へと助力を求める事を決定した。
地球立「アリアドネ大学」へと。
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「結論から申し上げましょう」
難問を解き明かす名を冠した学舎。
地球人類の叡智をかき集めた、好奇心のみによって運営される狂人の巣窟。
その長が、各国代表の前で、堂々と断言する。
「消えてしまった人々、及び土地。
彼らは別次元法則宇宙……所謂、異世界へと転送されています」
ざわめく代表たち。
それぞれに顔を見合わせて、困惑を隠しもしない。
少しして、常任理事国の代表が一人、質問を投げる。
「あー、学長。君たちの事は信頼している。
だからこそ、少なくない維持費を惜しまず投入しているのだ」
「有難う御座います」
「その上で、訊くのだが……正気か?」
「はい。正気です。
そもそも、別次元法則宇宙の存在を、我々は一世紀ほど前に証明しております。
現状、行き来する手段がない為に、理論上の空想だと世界の皆様には取られておりますが、間違いなく〝ある〟というのが我々の認識です。
詳細な証明理論については公開されていますので、興味のある方はまず確認していただければ、と思いますが」
「ならば、対策を聞こう」
「ありません」
「何……?」
学長の言葉に、代表たちは剣呑な視線を送る。
「現状、防ぐ手段はありません。そう申し上げました」
「では、何か?
異世界とやらが、地球の資源を奪っていく様を黙って見ていろ、とでも?」
「我々は事実を申し上げるだけです。
それを使って、どうするのかを決めるのは皆さまです。
そして、報告を続けさせていただきます」
まだ終わりではない、という事らしいので、今は黙って聞く姿勢を保つ。
「防衛手段は確立されておりませんが、彼らの痕跡を解析する事で、限定的ではありますが、対象世界との移動手段を確立しました」
「ほぅ!」
「同時に、世界の何処で転送が行われるのか、時刻、及び規模を事前に把握する手段も完成しました。
これをどう使うのか、それは皆さまにお任せします。
私からは以上です」
それだけを言って、さっさと退場していく学長。
それを皮切りに、代表たちの間で騒乱にも等しい激しい意見のぶつかり合いが起きるのだった。
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結論を言えば、奪われる事を座して見る理由はなく、行動の報いはしっかりと受けて貰おう、という事になった。
対応は、それぞれに国に任せる、という事で。
それについて、どの様な内容であろうと、一切の文句を付けないというルールを科して。
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光が収まり、魔法陣の中に待ち望んだ人々の姿が現れる。
覇気を宿したその姿は、まさに救世の勇者に相応しい。
「ああ、勇者様方、よく参られました……!」
接待役としてその場に居合わせた、見目の良い少女は感動に目を滲ませながら、そう言う。
対して、召喚された勇者たちは、
「総員! 撃鉄を起こせ!
人道に配慮し、一応、手足を狙えよ!
てぇっ!」
容赦なく、機関銃を乱射した。
途端、血みどろの地獄絵図が発生する。
突然の暴虐に、騎士も、魔法使いも、抵抗する事も出来ずに血の海に沈んでいく。
少女も、同じだ。両手と両足を粉砕され、這いつくばりながら、周囲の惨状を見る。
「ひ、ひぃ……!?」
手足の痛みも忘れ、悲鳴を上げる彼女に、隊長が近付いてくる。
油断なく銃口を突き付けながら、彼ははっきりと告げる。
「抵抗するな。不審な動きをした場合、即時殺害する」
言葉を区切り、
「拉致誘拐、及び青少年の軍事利用の疑いで、この国を破壊する。
抵抗したければ好きにしろ。
我々は断固たる対応を取るまでだ」
パン、と軽い銃声と共に、少女の頭蓋が爆ぜた。
「隊長! 清掃が完了しました!」
「ご苦労。
……人道に配慮しろと言った筈だが、生存者がいないようだが?」
「抵抗がありましたので、我が隊の安全性を考慮し、止むを得ない措置を取りました」
「ならば仕方なし。
では、諸君、仕事に移ろう」
いつも通りに、迅速に動き始める隊員たち。
彼らは、平気で他国の民を拉致誘拐し、魔王討伐などという下らない事に命を懸けさせる野蛮な国家を、徹底的に破壊していく。
金品の奪取に始まり、指導者階層の抹殺、文化や技術情報、及びかつての拉致被害者たちの軌跡の収集。
そして、そんな手段を肯定してきた国民たちにも罰を加える意味で、村落を含めた全ての都市を爆破した。
一応、人道やら道徳とかいう物に配慮し、魔王討伐だけは行った彼らは、さっさと地球へと帰還していった。
後に残ったのは、焼け野原となった異世界で最も栄えたと言われる大国の残骸と、同じく瓦礫と化した魔王城だけだった。
文明を破壊されたこの世界では、二度と勇者召喚はできなくなったという。
日本国、別次元法則宇宙、特別対策部隊「NINJA」の仕業だった。
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「ほぅ。我が国のコマンド部隊を撃退したと」
「はっ。
報告によると、聖人とかいう進化人類が立ちはだかった模様であり、簡易パワードスーツでは相手にならなかったとの事です」
「ふむ。自らの手で自国を守る事すらできない劣等文明の分際で、舐めた真似をしてくれるな」
「仰る通りです」
「しかし、進化人類とは面白い。
今までになかったな?」
「はい。
これまでに奪取してきた異世界文明の中には、そのようなものはなかったかと。
発表されている限りでは、他国も持ち合わせていません」
「では、好機だ。
その進化手段、戴こう」
「どのようにして?」
訊ねる秘書官に、笑いながら言う。
「まずは懲罰の意味で、核の炎を一ダースほど送り付けてやれ。
ああ、魔法陣が壊れてしまってはいかんからな。
魔力付与はしなくて良いぞ。
流石の進化人類とやらも、それには耐えられまい?」
「観測した限り、携行武器が通用したようなので、問題はないかと」
「ならば、それで焼き払った後、出入り口を制圧して陸軍でも投入してやれば良い。
どれくらい送り込むかは責任者に任せる」
「承知しました、大統領。
早急に取り掛かります」
そして、宣言通りに核爆弾が送り込まれ、異世界側の入り口は焼き払われた。
その後、完全武装した陸軍の大部隊が突入し、対象異世界のあらゆる物資と情報を奪取し、念には念を入れて文明を破壊し尽くすのだった。
その成果として、アメリカ合衆国は、不老長寿の秘儀へと手をかけたとか。
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「異世界とは、実に素晴らしいものだな」
「まさに」
制圧し、支配した異世界の土地。
そこでは、奴隷のように働く人々の姿がある。
全て異世界人だ。
人間も、獣人も、魔族も、人種に一切の差別なく、全てが奴隷に落とされている。
その上に立つのは、養わなければならない民が多くなり過ぎて、破綻寸前に陥っていた国家だ。
「ここには面倒な条約もない。
口うるさい他国もいない。
何をやっていようとも、他国は知らん振りだ。
とても便利だ」
「おかげで、地球文明とも健全な関係を築けております」
「そうだな。その通りだ」
他国へと侵略する必要もなくなった為、条約や暗黙の了解に則った、大変にお行儀の良い関係を築けている。
衣食住揃えば礼節を知るのか、民にもマナーというものができ始め、世界からの評判は右肩上がりだ。
自分もハッピー、他人もハッピーで、機嫌も良くなる。
走り寄ってきた役人が、何事かを耳打ちする。
「ふふふっ、また一つ、植民地がちょっかいをかけてきたようだ。
占領計画の用意を頼むよ」
「御意に」
中華人民共和国と呼ばれた国は、大量の植民地を抱えた、大帝国へとなりつつあった。
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異世界神1「おい、お前んとこがやりたい放題なんだけど」
地球神「うちの人間を攫ってたのはお前らだろ」
異世界神2「だからって、あれはねぇだろ。なんとかしろよ」
地球神「うちは放任主義なんだよ。お前らだって、人間どもが勝手にやった事だからって、俺の文句を聞かなかったじゃねぇか」
異世界神衆「「「あ? やんのか、テメェ?」」」
地球神「かかって来いよ。いつまで経っても中世レベルまでしか発展させられねぇ雑魚に負けるかよ」
誰かインスピレーションを受けて書いてくれたりしないかな。
もしくは、何処かで誰かが書いたりしているのだろうか。