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黄昏の剣と盾  作者: イ尹口欠


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8.デーバーホルツの街

挿絵(By みてみん)

 新しい街はデーバーホルツという街でした。

 グレアリーハーフェンが北で海に接していたように、デーバーホルツは南西に大きな港を持っています。


 私たちはまず街めぐりをすることにしました。

 私は最初の街でさえ武器屋と服屋しか覗いていませんでしたが、ふたりはアイコンのあるところないところ、色んな場所を探索したそうです。


 とはいえクエストの受注などもあったそうですが、それより外に出てレベリングしちゃうあたり、私たちは気が合いますね。


 まずは武器屋です。

 これは私に配慮してくれたのか、ふたりも気になっていたのか、多分両方でしょう。

 ラインナップの更新された武器屋で、私は短剣を二本、新しくしました。

 こちらには更に高額な短剣もあるので、この辺りでレベリングした暁には、なんとか購入したいものです。


 次は服屋です。

 これは私とノドカの装備を見るためだけでなく、ファッション要素もあるのでミナトも興味ある店です。


 とはいえ私たちだとまだファッションに手を出さずに装備を更新するので手一杯ですね。

 クロースアーマーをレザーアーマーに更新しました。

 ファッションの方は初期チュニックとハーフパンツでいいかな。

 あ、靴や帽子は地味に防御力があるものが売っています。

 私に帽子は似合わないのでスルーしましたが、ノドカは帽子を気に入ったようで購入してました。

 私は靴の方を購入しておきます。


 神殿は死んだ際に復活する場所らしいです。

 レベルが20になるとクラスチェンジがあると匂わされているので、それがまずは目標になるでしょう。

 あと神官(プリースト)はここで幾つかクエストを受注できるそうですが、面倒なので後回しになっています。


 薬屋にはノドカがキュアで対応しようとしていた治癒薬が売られていました。

 どれも500Gと高価な薬なので、スキルポイント1で対応できる神官(プリースト)の仲間は控えめに言って神ですね。

 しかし肝心の神官(プリースト)が麻痺や石化したらと思うと、これらの薬も幾つかは購入しておかなければならないでしょう。

 こんな序盤からそんな邪悪なステータス異常が飛んでくるとは思いませんけど……。


「あれ? ギルド会館なんてのがある」


「ギルド会館? 最初の街にはなかったアイコンですね」


「なかったね。行ってみよう」


 どうやら服飾ギルドや錬金術ギルドなど、職業ギルドが並んでいる大きな建物のようでした。

 プレイヤーはクエストをこなすことで、加入できるようです。

 商人(マーチャント)用の建物でしょうか。


「でも私たちでも受けられそうだよ?」


「ですねえ。とはいえ生産に今の所、興味はないですが」


「うーん。商人(マーチャント)プレイだったら迷わずどっか受けたんだけどね」


 狩人ギルドは動物の剥製が飾られていて少し惹かれましたが、何の役にも立ちそうもないので立ち去りました。


 他にもサーカスという遊び人(トリックスター)用と思しき施設もありました。

 単純に観劇もできるようですが、お金がかかるのでしばらくは無理でしょうか。

 装備の更新が終わった後なら行けそうな金額なので、その時は三人で観ようと約束します。


 傭兵ギルドと魔術師ギルドと斥候ギルドという施設がギルド会館とは別にそれぞれ単独で存在しています。

 それぞれ戦士(ファイター)魔術師(メイジ)斥候(スカウト)のクラスで受けられるクエストなどがあるようですが、ノドカの言う通り面倒くさそうなので後回しにしました。


 ……やっぱり面倒が多いですね、街。

 外に出てレベリングしようか、という空気になったとき、子供の泣き声がしました。


「迷子かな?」


「そのようですね」


「イベントかな?」


 ノドカの言う通り、イベントかもしれません。

 というか、女子が三人揃っているのに迷子を放置するわけありませんね。


「どうしたのキミ? 迷子になっちゃったの?」


「アレ!」


「ああ、風船かあ~」


 見れば木に風船が引っかかっています。

 ここは身軽な私の出番でしょう。

 木登りは……特にスキルもないですがなんとか持ち前の敏捷さで登りきりました。

 そして風船を掴んで、――着地!


「はい、どうぞ」


「あ、ありがとう……蜥人族(リザードマン)のお姉ちゃん」


 子供はおずおずと風船を受け取りました。


「え? どこにお姉ちゃん要素あった?」


「え? 見分けられるのこの子?」


「黙らっしゃい」


 しかし風船を返した程度じゃクエストの発生も何もありませんでしたね。

 単なる強風で風船が飛ばされて、子供NPCが泣くとは。


 もしかしてこういうことが日常に起こっているのを、私たちが見過ごしているだけかもしれません。

 些細なイベントも生成されているのだとしたら、細やかなシステムなんだなあ、と三人で感心しあいました。


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