4.ミナトとノドカ
「え、双葉ちゃん『黄昏』やってるの?!」
「ていうか湊ちゃんもゲーマー!?」
「湊ちゃんどころかこの私、倉敷のどかもゲーマーだよ!! ていうかVRゲーくらいでゲーマーはヌルいよ双葉ちゃん!!」
前の席の落合湊ちゃんと後ろの席の倉敷のどかちゃん、実はゲーマーだったことが発覚。
というかVRゲームっていつの間にか一般的になってたんだね?
中学途中から行ってないから知らなかった……。
「え、じゃあ帰ったら三人でパーティ組んじゃう?」
「ていうか私たちはもう組んでるしぃ」
「双葉ちゃん加入決ってーい! ふたりから三人になるよ、やったね!」
マジか。
リアル友人とVRMMOとか……東京来て良かった。
「私、バタフーっていう名前でやってる」
「バタフーって! なにそれ可愛い!」
「双葉ちゃんらしいね! バタフー!」
「「「バタフー↑」」」
ふ~↑と語尾を上げながら私たちは即座にハモりました。
「でも私たちは普通にミナトとノドカだから!」
「ね! 名前、割とアリガチだし!」
「顔さえ弄ってやればバレないもんね!」
「ね~」
なるほど、どうやらふたりは本名プレイのようですね。
知ってたら私もバタフーなんて名前で始めませんでしたよっ!
お昼のお弁当を三人で食べながら、帰ってからゲーム内で待ち合わせ。
夢のような時間でした。
おおっと、忘れてたぜ、私は蜥人族だってことを!!
名前で分かるだろうけど、バタフー、これ完全に失念してました。
ふたりは顔を弄っているらしいから、まさか蜥人族という可能性は皆無。
というかふたりの間ですごく浮くのではこれ?
「バタフー!? なんでそんな顔になってるの!?」
「バタフー!! バタフー……くふふふふ、なんで蜥人族を選ぶのそのセンス!!」
「ミナト、ノドカ!? あなたたち……人間族と森人族か!!」
「そうだよ! なんでトカゲ……!」
「くふふふふ……双b……じゃなくてバタフー、面白い! 最高!」
三人で私の種族ネタで大盛りあがり。
ミナトが「おのれ人類の敵め!」とか言い出すわ、ノドカが「ほ~れここがいいのかここが」とか言いながら喉を撫で回されるわ、ああもう楽しい。
ちなみに三人のステータスはこんな感じです。
《バタフー 斥候Lv7/-/-
種族 蜥人族 性別 女
筋力 8 器用 13 敏捷 13+ 感知 13
知力 10 精神 8 魔力 8 幸運 13
スキル
【二刀流】〈隠密〉10〈バックスタブ〉10
スキルポイント0》
《ミナト 戦士Lv7/-/-
種族 人間族 性別 女
筋力 18 器用 12 敏捷 10 感知 10
知力 8 精神 10 魔力 8 幸運 10
スキル
【両手剣習熟Ⅰ】【金属鎧習熟Ⅰ】〈ウォークライ〉10〈挑発〉9
スキルポイント0》
《ノドカ 神官Lv7/-/-
種族 森人族 性別 女
筋力 10- 器用 12 敏捷 10 感知 10
知力 11+ 精神 11+ 魔力 12 幸運 10
スキル
【弓習熟Ⅰ】〈ヒール〉7〈キュア・ポイズン〉1〈ホーリーウェポン〉7〈ホーリーアーマー〉5
スキルポイント0》
「【習熟】って美味しいの?」
「トカゲに知力負けた!!」
「バタフーのステ振り極端すぎぃ!!」
「ねえ【習熟】って……」
美味しいの? って聞いているのにちょっと、ふたりともなんで私のステータス見て爆笑してるんですかね?
いやミナトのステ振りも十分、おかしいからね?




