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黄昏の剣と盾  作者: イ尹口欠


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30/42

30.アルジミーリッヒ解放戦線

 ヒドラとの戦いは三十分以上かかりました。


 もちろん結果は勝利。

 途中、HPがゼロになって戦闘不能になったプレイヤーがいましたが、司教(ビショップ)の〈レイズ〉で蘇ってきました。

 なるほど、司教(ビショップ)には戦闘不能を回復するスキルがあったのか……。


 脳筋に舵を切った私たちには得られないスキルですが、そもそも戦闘不能になるまで〈ヒール〉しない状況がないので、問題はありません。


 ヒドラの毒攻撃はみんな胡蝶マスクで防いでいたので、前回のイベントを真面目にやっていた人たちは楽勝でしたね。


 なにはともあれ、クエストクリアです。

 早速、クラン管理ギルドに報告に行きましょう!



 私たちがクラン管理ギルドに報告すると、クラン設立申請書というアイテムがひとつ、もらえました。


 ひとまずレイドは解散して、私たち三人はクラン設立をすることにしました。

 後回しにする理由はないですからね。


 問題はクランの名前とホームです。


 ホームとはクランの本拠地のことであり、実際に家を購入してそこを指定しなければなりません。


 わざわざ他の街に移動してホームを購入してから、この街に戻ってきて申請するのは面倒すぎます。

 なのでザンダレンガウで安い物件を探すことになりました。


 しかしみんな同じことを考えるのか、ザンダレンガウの格安物件と中小規模のホームは既に買い手がついている模様。

 死者の迷宮攻略で出遅れた私たちには厳しい状況……かと思いましたが、そこは運営も考慮済みです。

 中小規模のホームはクランタワーというインスタンスマップに無限に存在するらしく、私たちは無事に小規模のクランホームを購入することができました。


 そして申請ですが、悩んだのはやはり名前でした。


「ミナトとノドカとバタフー」

「ミナ……ノド……バタ……」

「ミノバ」

「ミドフー」


「「「…………」」」


 三人の名前をくっつけたりしてみましたが、しっくりきません。


 ふと私たち三人だけの共通点を見出しました。


「アルジミーリッヒの開放者を使うのはどうでしょう? この称号は私たちしか持ってませんよ」


「なるほど、ナイスバタフー。それはアリかもね」


「じゃあ少し変えて、アルジミーリッヒ解放戦線とか?」


「解放戦線! なんか格好いい!」


「ゲリラっぽい? なんかアブない響きですけど」


 そして既に開放されているのが問題です。


 しかし他に候補もないので、私たちのクラン名は『アルジミーリッヒ解放戦線』に決まりました。


 クラン設立申請書を消費して、私たちはクランを新設しました。


 さっそく、ホームにソファと机を持ち込み、お菓子パーティを開きます。



 ミナトとノドカは街で買ってきたものをテーブルに並べましたが、私はうろ覚えのレシピでドライフルーツたっぷりのパウンドケーキを焼きました。


「うおおお、バタフー、お菓子作れるの!?」


「意外な特技……女子力高し」


「いや……色々あって、料理とかは少し覚えてきたんですよ」


 お兄ちゃんに披露する前にVRワールドの中で披露することになるとは思いませんでしたけどね。


 ともあれ、祝、クラン設立! です。


 お菓子をパクつきながらジュースで乾杯し、私たちはソファでダラダラと過ごします。


「次はどうしようか?」


「クランは設立したから……行ってない街を回る?」


「あっ、ちょっとこれ見て」


 ノドカが開いたのは公式サイト。

 そこには次なるイベント開催が告知されていました。


 どうやら次はクラン対抗のレイドイベントらしいです。


「え、レイドイベントってことは3人しかいないクランの私たちって不利なんじゃ?」


「強さの違うボスが用意されているから、倒せるボスを狙えばいいと思うけど……」


「というか6人を超えるクランってそんなに数、ないでしょ?」


 私たちは来るイベントに向けて、レベリングをすることにしました。


 なんだかレベリングばかりしているような気がしますが、実際、VRMMOなんてレベルでできることが増えるわけですから、間違った遊び方じゃないと思うんですよね。

 さてそんなわけで、私たちは攻略サイトを眺めながら次にどこへ行くのが効率がいいのか、調べ始めました。


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