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黄昏の剣と盾  作者: イ尹口欠


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21/42

21.マルコトゥルム

挿絵(By みてみん)

 マルコトゥルムの街の中心には、大きな塔がありました。

 何の塔かといえば、PVP――プレイヤー対プレイヤー用の闘技場だとか。


「とはいえまだこの街に来ているプレイヤーって少ないよね?」


「ていうか最前線プレイヤーばっかじゃないですか? そんなのと戦いたくないですね」


「ガチなのが一杯いるに決まってるよね」


 というわけでヌルゲーマーの私たちは尻込みして塔はスルーすることに。

 面倒なクエストもスルーしているし、これでいいのか。


 いいんですよ、楽しければ。


 ミナトとノドカと一緒に冒険するだけで、それだけで楽しいんですもの。

 わざわざ辛いクエストやらPVPやらに足を突っ込むことはないのです。


 というわけでレベリングばかりすることになるわけですが……。


 近場のダンジョンの情報まではさすがにありません。

 仕方ないので街で聞き込みです。


「誰が知ってそう?」


「傭兵ギルドじゃない?」


「それだ」


 サクっと教えてくれるかと思いきや、どうも周辺にダンジョンらしいダンジョンはない模様。

 ということは周辺の野原でテキトーな魔物と戦えということになるのですが、実のところ道中で戦った感じ、楽勝なんですよね。


 というわけで行商を護衛しつつ次の街へ足を伸ばそうということになりました。


 次の街はギルグルント。

 一時間半ほど北へ歩いたところにある街だそうです。


 おっと、どこかで見た六人組がいますよ。


「あ、お前らも護衛クエストかよ。ていうか早いな……俺らが一番乗りのつもりだったんだが」


「こんにちは、よろしくお願いします」


《カルタシス ベテラン剣闘士》


《ソラ 斥候ギルド員》


《アイダ 孤児院のお兄さん》


《マタヒロ 信仰の徒》


《ミチノブ 魔術師ギルド員》


《リュウト 魔術師ギルド員》


 カルタシスさんが闘技場で得られる称号に変わっていますね……。


「そっちは塔でも見かけなかったが、PVPはやらないのか?」


「ガチ勢に敵うわけないじゃないですか」


「ああ、うん……確かにこの街にいまいるのはガチ勢ばかりだが、お前らも人のこと言えんぞ」


 確かに最前線の街に来て、周囲の敵が弱いとか言っているのはガチ勢感ありますよね。


 とはいえプレイヤー相手に戦うメリットも感じませんし。

 豪華賞品があったとしても、どうしてもやらなきゃならないものじゃないのならやりたくありませんね。

 それが三人の総意です。


「まあいいけど……しかしお前ら、レベルいま幾つだ? その様子だとかなり高いんだろ?」


「メインクラスがレベル30ですね」


「マジかよ……レベルだけならお前ら、トップクラスだな」


「そうなんですか?」


 どうやら六人とレベルはそう変わらない模様。


 そういえばモンスターを倒したときの経験値は分配式なので、同じだけのモンスターを倒せれば単純に彼らより倍稼げます。

 実際には六人のパワーでもっと多くのモンスターを狩るのでしょうけど……レベリングに勤しむのが趣味の私たちはかなりの経験値を稼いでいるようです。


 まあ彼らは先に進むことを優先している節がありますし、稼ぎプレイより攻略優先のようですが。


 私たちはクエストも放置してガンガンレベリングしているため、レベルが上がりまくっている状態にあります。


 案外、PVPでもいい勝負ができたかもしれませんね。

 だからといってやる気はないのですが。


 さて行商の護衛クエスト、開始です。


 六人とスキルの使い勝手について雑談しながら、新しい街を目指します。


 九十分は長いよ……。


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