12.vs死霊術師
「見えた! きっとあれが領主の館だね!」
「多分だけど、中はちょっとレベル高いのがウロウロしているっぽい」
「バタフー・アイが囁いているなら間違いない」
いや、目は囁かないから。
あとバタフー・アイって何。
領主館は半壊しており、庭にいるアンデッドのレベルはやはりワンランク上です。
さて、ボスの死霊術師はどこかな?
門扉を破壊して領主館の庭に侵入し、まずは庭のアンデッドの掃除からしました。
レベルは高くなっても、基本的な動きは変わりませんので、やることは変わらないですね。
私とミナトに〈ホーリーウェポン〉。
ミナトが〈ウォークライ〉と〈挑発〉で叫んでいたのがうるさかったのか、館の中からひとりのゴーストが現れました。
あれ? お前もう死んでるじゃん!
『私の庭で騒がしくしているのは貴様らか……この街は既に私の死霊術の支配下にある。アンデッドの住まう永遠の楽園アルジミーリッヒ。何人にも渡すわけにはいかない』
「この街の領主の娘さんが街を返せって文句言っているわけだけど、そこんとこどうなの?!」
「そうそう。あんたは滅んだ街に居座った死霊術師でしかないんでしょ?」
『確かに魔物に滅ぼされたアルジミーリッヒを見出したのは私だ。しかし死してなお領有権を主張しようとは、少々恥知らずなのではないか?』
ほほう、この街は魔物によって滅ぼされていたんですか。
「だからと言って、お前の所有物というわけでもないですよね? 話が分からないなら、死んでもらうしかありません!!」
「バタフー、よく見て。……もうそいつ死んでる」
「バタフー、そいつゴーストだから」
「あ、う、この世に留まれなくしてやるぅ!!」
「「よっしゃそれで!!」」
『馬鹿め! レイスとなったこの高位死霊術師に勝てると思うな……』
死霊術師はゴーストなので私とミナトには〈ホーリーウェポン〉をかけてもらい、ミナトはいつも通り〈ウォークライ〉と〈挑発〉で死霊術師を引きつけます。
『うるさい、お前の相手は後回しだ。まずは出ろ、スケルトンアーチャー!』
屋敷の中から弓を持ったスケルトンがわらわらと出てきました。
さすがにボスともなると、〈挑発〉に惑わされることなく配下のアンデッドを増やして戦力の増強を図ります。
しかし弓を持ったスケルトンですか、地味に厄介ですね。
私は素早く隠密しながら、スケルトンアーチャーの群れに飛び込みます。
そして背中を取った奴から順番に〈バックスタブ〉〈アクセルヒット〉で削っていきます。
お、意外とモロい?
私でも二発なら、すぐに掃討できそうです。
一方、死霊術師はミナトの〈ストームアタック〉でゴリゴリとHPバーを削られていきます。
ノドカも〈シャインストライク〉を撃ち込んでいますから、あっという間にHPバーの一本目がなくなりました。
……って、HPバーが複数あるだと!?
さすがボス、耐久度はかなり高めに設定されているようです。
私がスケルトンアーチャーを片付けていると、死霊術師は「出ろ、スケルトンナイト!」と叫びました。
あ、これこっちから出てくる奴だ。
思ったとおり、館の中から鎧をガッチリ着込んでハルバードを持った巨大なスケルトンが一体、私の方へ進み出ます。
うわあ、鎧だ……硬そう。
ゴウ、とハルバードが振るわれるのに合わせて、私は〈隠密〉しながら背後を取りに行きます。
〈バックスタブ〉〈アクセルヒット〉!!
……ってダメだぁ、こいつ硬すぎぃ。
HPバーがジリジリと削れましたが、こいつを倒すのには時間がかかりすぎるようです。
とはいえメインアタッカーのミナトはボスにかかりきりですし、ノドカの攻撃力では私と大差ない結果になりそうですし……。
私はスケルトンアーチャーを片付けると、素早くボス戦に合流することにしました。
早くボスを倒して、終わらせてしまいましょう。
スケルトンナイトが追いかけてきますが、無視です。
〈挑発〉でミナトの方を向いている死霊術師の背後を〈バックスタブ〉〈アクセルヒット〉でバッサリやります。
ああ、ちゃんとゴッソリHPバーが減りますね。
私がコイツの相手をしても良さそうです。
「ミナト、あのナイト硬いからボスを倒して終わらせよう!」
「オッケー、じゃあバタフーが背後を取りやすいように〈挑発〉しながら殴るね!」
「あの鎧は……確かに私やバタフーじゃ時間がかかりそう」
三人がボスの死霊術師に集中攻撃すると、みるみるうちにHPバーが減っていき、
『出ろ!! スケルトンナイト!!』
なんと二体目のスケルトンナイトを呼び出しやがりましたよコイツ。
マジかよ……。




