【03】幽麗搭
『残響のインフィニティXTH 邪眼師イツキキョウヤの最終決戦』はどうしたのかって?
知らねーよ!!!(逆ギレ)
そんな訳で今回は漫画『幽麗搭』について書こうと思う。
最近、某所でオススメされていて読んだら面白かったので。
全九巻という絶妙な長さで綺麗に完結している点もグッド。
作者は乃木坂太郎先生。
この作品は黒岩涙香の『幽霊搭』をベースに描かれた漫画だが、この涙香の『幽霊搭』がそもそも、アリス・マリエル・ウィリアムソンの小説『灰色の女』を基にしている。
ややこしや。
以下、あらすじ。
昭和二十九年の神戸。
うだつのあがらないニートの天野はひょんな事から出会った男装の麗人テツオと共に、大富豪が時計塔に隠したという莫大な財宝を探す事となった。
しかし、そのふたりの前には恐るべき連続殺人鬼“死番虫”が立ちはだかる!
果たして“死番虫”の正体とは……?
天野とテツオは財宝を手にする事が出来るのか?
この漫画をひと言で表すならば『童貞ニートの俺が男装のチート美少女と共にダンジョンへ潜ってトレジャーハントで成り上がる!』である。
……あえて、なろうっぽくしてみたが、なろう的な要素は薄いので期待しないように。
この作品に存在する要素は、妖しげな怪人や釣天井や落とし穴、秘密の通路といった大仕掛け、気球や名探偵、難解な暗号などなど……。
江戸川乱歩の通俗物のようなノリが好きならば、大ハマりする事間違いなしの傑作ミステリー漫画である。
そして、この漫画のもうひとつのキモが、性的マイノリティとの向き合い方というひとつのテーマだろう。
それは社会的なものであったり、個人と個人であったり、自己の内面に向けたものだったりと、物語のあらゆる局面でこの問題が提起される。
序盤こそエログロ的なエッセンスとしてちりばめられたそれらは、巻を追うごとに作品の中核へとすりかわってゆく。
ともあれ、猥褻だの異常だのとラベリングして日陰に追いやろうとしたところで、それらは確実に我々の社会に存在し向き合っていかなければならないものなのだ。
そんな事を教えてくれる漫画である。
……そういった訳だから、この作品には変態さんが頻繁に登場する。
その最たる者が、ラスボスといっても良いあの人であろう。
八巻のラストでその人物の目的が明かされた時、筆者は爆笑した。
何故なら、その人物があまりにもレベルの高すぎる変態だったからだ。
本当にこの漫画のラスボスは究極の変態である。
変態もここまでくるといっそ清々しい。いやもうなんか神々しい。変態神である。
むしろ一周回って変態じゃないのかもしれない(どんなんだ)
この大変態を拝むだけでも、この漫画を読む価値はあると断言できる。
そして、ジェンダーがどうこう……LGBTが云々……みたいな難しいテーマ抜きにしても、胸のすくような冒険活劇としてレベルの高い一作である。