【02】七つの魔剣が支配する
今回はライトノベル『七つの魔剣が支配する』である。
読んだ感想としては「やっぱ、プロの作品は全然レベルが違うな」だった。本当にこれに尽きる。もう語ることはない。
……という訳で、今回はおしまい。
次回はボクが中学二年生の時に執筆した超傑作『残響のインフィニティXTH 邪眼師イツキキョウヤの最終決戦』という作品について三万文字近く費やして熱く語ります。
ちなみにこの作品は、あの電撃文庫大賞で0次落ちした(応募すらしていない)傑作です!
お楽しみに!
……嘘です。まだ続きます。
作者は「ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン」シリーズの宇野朴人先生。
序盤のあらすじは以下の通り。
魔法の名門学校キンバリー。
そこは人道よりも魔道の探求が優先される魔境……。
そんな頭のネジが緩みまくったファッキンな学校にノコノコと入学してしまったイカれたメンバーを紹介するゼ!
・オリバー・ホーン。
自他ともに認める器用貧乏の癖に主人公やってるアブねー奴。
何かワケアリでキンバリーに入学したらしいが……。
特技はスベり芸。
・ナナオ・ヒビヤ。
この作品のメインヒロイン(多分)。
物理的な戦闘能力は本稿で紹介するメインキャラ六人の中では最強。
武士として暮らしていた為に生死観がちょっとおかしい。
言葉遣いも「ござる」でおかしい。
ある意味、メインキャラの中では、もっとも頭のネジがぶっ飛んでいるかもしれない。
しかし「私と死合いましょ(はあと)」とオリバー君を積極的に誘い「いや、そういうの無理だから」と断られ、ガチへこみするぐらいには乙女である。
・カティ・アールト。
この世界では、殆どの亜人種に人権が認められておらず、労働力や実験の材料、時には害獣として駆除されたりする。
そんな現状を愁い立ち上がったのが彼女である。亜人種人権擁護派期待の新星。
真面目な話をすると、この手のキャラは「綺麗事ばかり言ってる偽善者」になってしまいがち。
しかし、このカティはそうなっておらず(今のところは)厳しい現実にうちひしがれながらも決して折れずに理想へと突き進む、魅力的なキャラとして描かれている。
この子だけでも「プロって凄いんだな」と思う事うけ合いである。
・ガイ・グリーンウッド。
魔法農家のせがれ。
今のところはそこまで派手な活躍はない。典型的な主人公の友人枠に思えるだろう。
しかし、要所要所で大器の片鱗を見せつけてくれている。
兎も角、場の空気というか流れを読むのが上手い(騙る植物を笑わせた時やカティとの料理勝負など)
あと、彼の作った魔法植物の種が地味に活躍したり。
義理堅く男気もあるので人からも好かれ安い好漢であろう。
筆者個人の意見としては、キンバリーを無事に卒業できたら、メインキャラの中ではいちばんまともに出世しそうだと思っている。何かのビジネスとかで。
・ミシェーラ・マクファーレン。
褐色縦ロールの金髪お嬢様。父はキンバリーの臨時講師でやはり縦ロール。
魔法の腕前は本稿で紹介したメインキャラ六人の中で最強。
優秀すぎて周囲の人間を劣等感の炎で焼き尽くしてしまうタイプの優等生。
いろいろと周囲の人間による彼女への嫉妬がキツすぎるのが切ない。
しかし、それでも本人にひねくれた様子がまったく見られないのは(今のところは)彼女の優しさゆえだろう。
・ピート・レストン。
魔法の使えない一般家庭の出自でありながらキンバリーに入学した努力家のツンデレ眼鏡。
正直、一巻の時点ではさほど出番はなく「このキャラは必要なのか?」と思ったほどだが、二巻でとても大変な事になる。
もう一度言うが、とても大変な事になる。
……と、ファンの方に怒られそうなキャラクター紹介を終えた訳だが、この作品を簡単に言い表すならば「ダークなハリー・ポッター」である。
……まあ、本家ハリー・ポッターもまあまあダークな部分はあったが。
ともあれ、本作もボグワーツのような全寮制の魔法学校で繰り広げられる恋と友情と成長と……の物語である。
ただ上記にもある通り、この作品の舞台では人道よりも魔道の探求が優先される。
だから我々読者の価値観からするとサイコパスみたいな連中が割りと普通にゴロゴロいたりするのが恐ろしいところだ。
そもそも、このキンバリーという学校は、入学した新入生の何割かが卒業できずに死んでしまうらしい。でも、それがこの世界においては普通なのだ。
そんな環境で、メインキャラクターたちがどのような青春を送るのか。そこが物語の見所だろう。
そして話は最初に戻るが実績のあるプロならではの綿密な舞台設定やキャクター造詣は、本作品の魅力のひとつである。
もうなんかスキルとかステータスとか冒険者とかハーレムとか、そういうファンタジー飽きちゃったよー……でも剣と魔法は好き。
そんな方には特にお勧めしたい。
きっと、今の「小説家になろう」にはない面白さがあるはずだ。
最近もっとも期待しているライトノベルのひとつである。