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その少女はどこに向かう?  作者: 千紫万紅
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プロローグ

ストーリー展開に気に入らない部分があったので全消ししました

 私の名前は災花。

 私はいつも村の住民から酷い虐待をうけている。

 石を投げられることはいつもの事ですし、物陰で殴られることもありました。

 でも、やり返すとお母さんの立場が悪くなることを考えた私は、特にやり返しはしませんでした。

 そんな私でもお母さんは私の事を大切に育ててくれました。

 家族はお母さんだけでお父さんのことはよく知りません。

 お母さんにお父さんのことを聞いてもお母さんはいつも「災花ちゃんが大きくなったら教えてあげるわ」と言ってはぐらかすのです。


 ある日の夜、私の中の何かが狂った。

 その日は珍しく村の誰もが私に近づいてこなかったので、いつもより早く農業や薪集めを終わせることが出来た。


「今日は早いのね」

「誰も私の邪魔をしなかったから早く終わらせれたよ」

「お母さんにもっと力があれば災花ちゃんに苦労をかけないで済むのにごめんね」

「いいよ。今でも十分だから」

「そろそろ寝なさい。明日もあるんだから」

「お休みなさい」


お母さんにお休みのキスをし、自室に行きベッドに入り就寝する。

私はお母さんとの幸せな生活がずっと続く様、祈った。



 しばらくすると私はふと、目を覚ます。

 外がなぜか明るいのだ。

 私は不思議に思い外を見た。

 すると、外を見ると、松明を持ち武装した村の人たちが家を包囲していた。

 私は身の危険を感じ、お母さんを起こしにお母さんの部屋に行きお母さんを起こす。


「お母さん!逃げよ!村人が武装しているんだよ!」

「災花ちゃん、こっちに来なさい!」


 お母さんは私の手を引き、物置に連れて行く。

そ して、物置の中にあった木箱をどけると地下への階段が姿を現した。


「災花ちゃん、先に逃げなさい!お母さんも後から行くから!」

「や、やだ!一緒に行こうよ!」

「行きなさい!」


お母さんは私を突き飛ばしそのまま木箱でふたをしてしまう。

私は、木箱をどけようと必死に木箱を押すが少しも動かない。


「お母さん!お母さん!」


私は必死になって木箱を動かそうと体当たりをするが、木箱はピクリとも動く気配を見せない。

何度か木箱に体当たりをした時、私は階段から足を踏み外し、階段を転げ落ちる。

私は、お母さんを助けるため、出口に向かって痛む身体に鞭を打ち出口を目指した。

しばらく歩くと出口が見えてきた。

出口を抜けるとそこは、山の中だった。

私はふと村にはある伝承を思い出す。




この話が本当なら近くにその姉妹の工房があるはずと思い私は山のなかを必死に走り探す。


(こっちに...おいで?)


ふと、声が聞こえてきたような気がした。

私はあたりを見回すが誰もいない。


(こっちよ...いらっしゃい?)

「だれなの?どこに居るの?」


私は無我夢中で走りだし声のする方向に走り出す。

すると、そこには小さな小屋と工房があった。

2つの建物は両方とも朽ち果てており私は恐る恐る小屋に入る。

小屋の中は生活のあとが残っており、箪笥や料理器具がかたずけられた状態で残っていた。

しかし、小屋の中はホコリまみれでさらにはクモの巣がいたるところにあった。

私はたまらず小屋を出て、工房のほうに行く。

工房も小屋と同じでホコリまみれでクモの巣がいたるところにあり昔使われていたであろう鍛冶導具もホコリにまみれていた。

私はやっぱりたまらず工房から出る。


(クスクス...工房の裏に来なさいな)

「う、裏?」


私は恐怖心と闘いながら、声の言うとおり工房の裏にまわる。

そこには小さな祠が佇んでいた。

しかし、その祠はとても歪であった。

弱弱しく赤い光を発しながら扉から赤い液体を垂れ流しているのだがその液体は地面に触れるたびに蒸発して消えていく。


(さぁ...私を取って?)


その声が聞こえると祠の扉が勢いよく開き中から大量に赤い液体が出てくる。


「この臭い...血?」


私はあまりの鉄くさい臭いに鼻を押さえ、吐き気を我慢するので精一杯だった。

血がすべて出尽くすとそこには1本の刀が納められていた。


「これって...『刀』...?」

(...さぁ紅桜を手に取りなさい?)


私は恐る恐る『紅桜』を手に取る。

手に取った瞬間、私の頭の中に姉妹の記憶が入ってくる。

ほとんどが伝承どおりだったが一か所だけ違うところがあった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

姉が妹を抱きかかえ必死に介抱している姿が脳裏に流れてくる。


「ごめんなさい...ごめんなさい」

「お姉ちゃん...私が死ぬ前に...私を食べて...?」

「そんなこと...できる訳無いじゃない...」

「いいの...死ぬくらいなら...お姉ちゃんに食べてもらいたいの...」

「...わかった...」


そういうと姉は妹の心臓を引き摺り出し、一口で食べてしまう。

その直後、姉の魔力量が跳ね上がる。


「憎い...人間が憎い!憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!!!」


姉は狂ったように人間に対し呪詛を吐きながら武器を作り始める。

妹の血を桶に入れそこに自分の血をめいっぱいになるまで入れる。

そうやって刀を作っていく。

その刀の刀身はまるで血のように紅く、美しかった。

しかし、刀には血が足りず姉はその場で倒れ、その肉体は膨大な魔力に耐えきれず朽ち果てていった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ハァ!ハァ!」


私は鬼人の姉の死を境に現実に引き戻された。


(私たちの記憶見てくれた?今すぐ人間に復讐したいところだけど...待ってあげるわ。武器は手にした、さぁ助けに行きなさい?)


私はその言葉を皮切りに村に走って戻った。



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