「魔 女」
クスクスクスクス笑う声が響く。
「最も深い、一番目障りだった繋がりは真っ先に切り離した」
だってそれが「あなた」の望みだったのでしょう?
「あなた」はずっと気にしていたものね。
だから私が非難される謂れはないわ。
そうよね? 最初の英雄さん?
「誤解されたままなのは、ちょっと癪よねぇ……」
確かに、何もしていないとは言わないわ。少しだけ手を貸したことは事実だし。
でも願いは叶ったじゃない。それで勘弁してはもらえないかしら?
「……まあ、その辺りは追々考えましょう。
次に魔術師だけど、……無駄に長生きしてるわけじゃないのね」
気付いた途端に抵抗された。
ある程度の予想はしていたが、それ以上の魔力で抵抗されては手出しが出来ない。
「本当に忌々しい」
少しの隙でも見付からないかしら。
もう一度、動揺を誘うような何かがあればいいのだけども。
「……あぁ、古の盟約はまだ有効なのね?」
監視者はどちらに属してもならないなんて、さぞかし歯痒いことでしょうね。
中立であることと自身の感情は別物だもの。
だけどあの盟約、一体何時まで有効なのかしら?
「今はまだ、邪魔されないだけ良しとしましょう。
残るのは剣と守護者なのだけども……」
本音を言えば剣を優先したいのだが、そろそろ守護者も動き出す頃だろう。
可能ならば守護者の相手はまだしたくはない。
「やっぱり先に剣をどうにかするべきなのかしらねぇ」
クスクスクスクス魔女は笑う。
聖剣──或いは魔剣にだって限界はあるのよ?
その結果を英雄が示してくれたじゃない。
永劫なんて曖昧なものが存在するはずないのにね。
さて、小さな可愛い英雄さん。
今度の「あなた」はどうなのかしら。