不足
「声優の‥‥イベント‥ですか?」
「あぁ‥‥。」
小鳥遊さんは真剣な眼差しでこう呟いた。
「めっちゃ可愛かった。」
「やかましいわッ!!!!!」
流石の俺も壮大にツッコミを入れてしまった。
「まあとりあえず小鳥遊さんも改めて加わったことし、早速本題に入るぞー。」
兄貴が話を戻そうと皆の視線を自分の方へと向けさせた。
俺個人としてはもう少し小鳥遊さんを問い詰めてやりたいが、それは次の機会にしよう。
「知っての通り俺達は8連敗という窮地の後一歩手前まできている。これは太郎だけのせいではなく、俺達個人の意識の問題だと思っている。」
更に兄貴は話を続けた。
「‥‥俺たちの問題点はいま2つある。1つは圧倒的なピッチャー不足。ちなみにこれは解決しそうにある。」
解決しそう‥‥?誰か新しい選手を見つけたということなのか?
「2つ目はチームの団結力。これは太郎がスランプを抜け出せた時に考えるのでとりあえず今日は最初のピッチャー不足の問題を話そうと思う。」
「でも瀬文さん。ピッチャーって言ったって既に優秀な投手陣はもう他のチームに入っていると思うし。このタイミングで選手募集の張り紙をしても前みたいにロクな人たちしか来ないと思うんですが‥‥。」
裕翔の言うとおりだ。
以前、新しい選手を増やすべく入団テストを行ったのだが、8割方女性目当ての下心丸出し野球未経験野郎しか集まらなかった。
ちなみに俺が唯一目に止まった野球自体お世辞でも上手いとは言えないが、見るからにおっぱ‥‥度胸がでかい可憐な女性がいてマネージャーでもいいから入れようと推薦してみたのだが、何故か塔子ちゃんに断固拒否され呆気なくその子は落とされた。割と今でも根に持ってます。
「ああ、だからこの俺自らスカウトに行った。‥‥日本ではなくアメリカにな。」
「「ア、アメリカぁ‥‥!!??」」
1ヶ月ほど前兄貴が4日ほど行方知れずな時があった。
もしかしたらその時にアメリカへ行っていたのか。
「‥‥で、見つかったの?」
流石の普段無表情でいる塔子ちゃんも驚きの顔を隠せず尋ねる。
「流石の俺も計画なしに突拍子にアメリカ行って選手を見つけようなんて馬鹿なことはしないさ。」
ありそうなんですがそれは。
「事前にアポを取ってな‥‥あの生きる伝説のメジャーリーガー、マックイン・レッドホークに。」
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥は?
その発言に兄貴以外の全員が思考を停止した。