2 ミステリーランキングについて
さて、前回のミステリー小説ランキングを受けて、一体、これは何なんだ、と思った方も多いでしょう。そう、ランキングとは何人かが集まって決めてこそ意味があるものです。一人で決めて有益なものではない。基準も分からないし、どんなに分析しても、筆者の好みしか分からないというかなり疑問のあるランキングになっています。
それでも、とにかく、短編ならばドイルの『赤毛連盟』が一番良いというのは、皆さんにもご理解頂けるのではないかと思います。名作中の名作ですから!
クイーンの『Yの悲劇』が好きだとか、クリスティの『オリエント急行の殺人』と『そして誰もいなくなった』が好きだとか、このあたりは、古典中の古典ですので、そんなに変わった意見ではありませんね。
カーの『プレーグコートの殺人』と『三つの棺』も密室ものの古典ですから、これも独自性のある選択ではありません。
要するに、古典中の古典で、すでに評価の定まった名作が上位にずらっと並んでいるというランキングになりますね。
でも、好きなものは好きなのです。古典ミステリーが好きなのです。
国内に関しましては、最初、ランキングにしたら、高木彬光作品だらけになってしまったので、このあたりは、かなり調整しました。
実は筆者の趣味にはかなり偏りがあり、国内に関する限りは江戸川乱歩と高木彬光の作品で頭が一杯になっていました。
ですが、西村京太郎の『寝台特急殺人事件』『終着駅殺人事件』『京都感情旅行殺人事件』『日本一周「旅号」殺人事件』は、西村ミステリーの四天王だと思っています。本来ならば、この四作は間違いなく、ランキング上位ですよね。
それに、鮎川哲也の『リラ荘殺人事件』も入っていませんけど、僕が本格ミステリーにハマったきっかけの一つは『リラ荘殺人事件』なので、これもランキングとしてはおかしいのですが、何しろ読んだのが中学一年生だったもので、大部分を忘れてしまった為にこんな事態になりました。
ヴァン・ダインは『カナリヤ殺人事件』の方が『僧正殺人事件』より今では面白いと思っているのですが、ランキングでは逆になっています。歴史的評価に目が眩んだ結果なのでしょうかね。でも、読んだ直後の感想というものもありますから、ランキングを変えようとは思いませんでした。
こういうわけで、細かいことを言うと、我ながら、疑問の多いランキングなのですが、紹介されている作品は、本当に名作ばかりですので、是非とも参考にしてみてください!
なにはともあれ、自分の好みを細かくランキングにするのは今からしたらちょっと無謀かな、と思えます。
好みはある程度、平らにならして「絶対に読んだ方がミステリー百冊」とか銘打って、一冊ずつ、エッセイを添える方が適当でしょう。
そういうわけで、いつか「絶対に読んだ方がいいミステリー百冊」みたいなものも書いてみたいと思います!