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探偵小説の創作 〜ミステリーを書く時に心掛けていること〜  作者: Kan
第四部 ミステリーにおける諸問題
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3 つじつまの合う事実とは(ロジックとは似て非なるもの)

 本格ミステリにおいては「唯一の真相へと導くロジック」があるのと同時に、「真相を知ると、つじつまの合う事実」という要素も存在します。


 このような要素を、さまざまなタイミングで作中に入れておくと、真相の説得力が増すのと同時に、さまざまな違和感が説明づけられてゆく快感を与えることができるのです。


 たとえば、「ハンバーグと思って食べたものが、実は大きな鶏つくねだった」という錯誤点を用意したとしましょう。

 すると「ハンバーグだと不自然だけれど、鶏つくねならば自然」という状況を作り出すことが必要になります。このようなものは、手がかりと同じ要領で、情報を出しておくことで、効果的となります。


 真相へと導くロジックの手がかりには、読者にあらかじめ強調して示しておくものと、存在自体を巧妙に隠しておくものがあります。

 しかし、このような「違和感を与えておいて、真相を知るとつじつまが合う事実」については、過度に強調することが絶対に必要になってきます。

 たとえば「ハンバーグ好きの美食家が、鉄板皿の料理を口にした瞬間、憤怒して店を飛び出して行った」という話にしたとしましょう。彼が食べたのが本当にハンバーグであったならば、このシーンはとても不自然です。

 真相においては「この美食家は、小さい頃から、家で鶏を飼っていて、鶏肉を食べることに嫌悪感を抱いていた」という設定を用意しましょう。(これは僕が高校の頃に教わっていた美術の先生のエピソードです)


 このようにして「美食家はハンバーグを食べていると思われていたが、本当は鶏のつくねを食べていた」という真相の説得性を高めることができるのです。


 「真相へと導くロジックの手がかり」と異なる点は、手がかりに見えるようで、実際には手がかりではないので、絶対的なものでなくてもよいということです。


 つまり厳密には「美食家が食べたものは本当にハンバーグがであったけれど、単純に味が悪かったため、憤怒して店を飛び出した」という真相でもあっても本当は良かったわけです。こうした他の選択肢を払拭できなくてもよい、なぜならば、手がかりではないからです。これはたとえば、あの有名な横溝正史の「○○○」の「○○○○○○○○○○○」という有名な台詞にも見られる特徴です。


 結論、スパルタンなロジックが苦手な人は、犯人特定のロジックを一つ用意したら、あとはこのような「つじつまの合う事実」を量産し、物語に張りめぐらせることで、説得力を増させて、読者を納得させることができるのです。

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