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14.夕日

サッカー部に入ったからには試合で好成績を残してぼんらりとした会社員である父筒木をやる気にさせたい。


子供は増えないと思う…。


なんでもない。


「俺、やっぱひとりだな。」

なんかかっこいいとか言われ始めた。

よく分からない。


なんで?

「なんで?」

「え、藻ノくんはねー、かわいーところもあるから?かな」


「ありがと、星条。」


かわいーところ?

分かったこともない。


うん。



守理は、由々子の名前を思い付いたときと同じように愛おしむような目をして、星奈の手を握った。

「俺の方が強いからな、星奈。」


星奈は何も言えずに、驚きながら早志のことを見た。


ふたりは夕日に照らされる校舎の中でふたりきりになり、そのまま倒れてしまいそうだった。

寂しくなんかなかったのは、守理くんのおかげだ。


星奈はそう思った。

まだ幼い手が握られながら紅潮して、薬指が鋭く守理の心に突き刺さった。


守らなければいけない、かも知れない。


それだけの存在は初めてで、意味が分からなかった。


愛を求めないところがお気に入りだった。


「…星奈?」

「なに?うん。」


そのままふたりで倒れて、夕日の中で明日を待ちそうだったのが、終わっていく空気の無さからしてよく分かっていた。


「俺、すごいだろ。」「うん。」



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