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紋章の勇者  作者: 新
一章 異世界
3/41

4話 ピンチ&盾

今日三話目になります。


感想お待ちしています。

一人と一匹は睨み合っていた。


一人の人間は少しずつ後ずさっている。そう、悠斗である。


もう片方の一匹は鳴き声をあげながら突進してくるネズミ。


「ぢゅぅぅぅぅ!」


突進してくるネズミをサイドステップで避ける悠斗。


「よっと」


再度ネズミは悠斗の方へ向くと突進を仕掛けてくる。


そう、さっきからこれの繰り返しなのだ。


(いい加減同じことするのも疲れてきたな……)


悠斗は度重なるアクシデントで精神的に疲労し、なおかつ今行っている回避運動。


疲れないほうがおかしい。


かといって、回避以外に悠斗に出来そうなことがなかったりする。


「よっ……と。ほっ……と」


(駄目だ……これだとジリ貧になる。どうにかしないと……)


そんなことを思いながら回避を続けていく。


しかし、終わりは唐突にやってくる。


もう何回目かもわからない回避を続けていた悠斗は少しずつ、少しずつ後退していた。


「よっと。ほっ…………ッ!?」


悠斗はバランスを崩し、転倒してしまった。


「……痛っつぅ……一体何が……?」


悠斗がこけた理由、それは岩だった。


平原にはまばらに岩がある。


その岩に悠斗は少しずつ近づいていたのである。


その結果がこれである。後方不注意というやつだ。


つまり、悠斗がこけたことにより均衡が崩れた瞬間でもある。


そのチャンスを逃さず、ネズミは突進を仕掛けてくる。


「ぢゅぅぅぅぅぅぅ!」


「!?……ヤバいッ!早く起き上がらないと……ぐぁ!?」


悠斗の腹にネズミの突進が突き刺さる。


「うぅ……ゲホッ……」

(マズい……マズい……早く立ち上がらないとまた突進が……!)


悠斗は特に鍛えていたわけではないので、ダメージはかなり身体に負担をかけた。


ネズミは突進を仕掛けてから距離をとり、再度突進の準備をしている。


「ぢゅぅぅぅぅぅ!」


突進を再開する。


(!……きた!)


悠斗はのろのろと横に転がって突進を回避する。


「危ないっ……ゲホッ……」


悠斗の方が圧倒的に不利である。


(どうしよう……これじゃぁ突進を避けきれなくなってしまう)


悠斗はなんとかフラつく体を必死に足で支え、立ち上がる。


(このままじゃやられてしまう……なら!)


悠斗は賭けにでることにした。右手の甲のしるしを使うことにしたのである。


(このしるしは光っていた……つまり、目くらましに使えるってことだ!目くらましをした後どこかの岩に隠れる!)


そんな、あやふやとした根拠で目くらましに使えると思い込む悠斗。


精神的に疲れ、身体的にも疲労が溜まっていた。そこにネズミの突進である。


悠斗の正常な判断力は落ちていたのである。


「こいよ! ネズミ! 相手してやる!」


悠斗は強気にそう叫んだ。


「ぢゅう……」


ネズミは低く身体を沈め、

「ぢゅぅぅぅぅぅぅ!」

突進してきた。


(もう少し引きつけて……今だ!……あれ? そういえばどうやったら光るんだ?)


「光れ!」


反応はない。


「光れって!光ってくれ!」


ネズミはどんどん迫ってくる。


悠斗は絶望した。


「ちくしょう……!光れ!光れ!光ってくれ!光ってくださいお願いします!」


どんなに頼み込んでもうんともすんとも言わないしるし。


ネズミはもう目の前に迫っていた。


(もう……だめだ……)


ネズミの突進が当たる直前、悠斗目はをつぶり、無意識にこう叫んだ。


「僕を『守って』くれぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


すると右手の甲から少し光が漏れ


バキィ!


という音がした。


「………?」


(なんだ……?衝撃がこない…?)


悠斗はつぶっていた目を開ける。


ネズミが悠斗の目の前で、頭から血を流していた。


「ぢゅ……ぢゅぅぅぅ……」


ドサッ


ネズミは倒れてしまった。


「一体何が……?」


悠斗は不思議に思った。なぜ自分から突進したネズミがダメージを負っているのかと。


すると悠斗の右手から肘にかけてなにかが輝いているのが見える。


「………? 光ってる……?」


悠斗は目を凝らして見てみるとそこには、半透明の盾が出現していた。


「!?」


悠斗は静かに呟く


「これか……? これのせいでネズミはダメージを負ったのか……」


悠斗の右手からでたと思われるこの盾。ネズミの突進を防いだとなると、それなりに防御力があるのだろう。

ネズミがダメージを負ったのは、自分の体重と突進速度によるものである。


「けど……助かった……」


悠斗は安堵した。二度目の突進をくらえば二度と起き上がれなくなると確信していたのだ。


「それにしても、ホントにこのしるしはなんなんだろう?」


悠斗は右手の甲しるしを見つめる。ほのかに光っている。


「それに、少しだけ熱を感じるな……」


あまり気にならない程度の熱であるが、心配になる。


「大丈夫かなぁ?爆発したりしないよね?」


そんな物騒な事を考え、移動を始めようとした悠斗だが。


「!!!! 痛ったぁー……」


(さっきのネズミのせいでお腹が……)


腹を痛めた悠斗は、ゆっくりとした速度で移動を開始しようとし、思い出す。


「そうだ…ネズミは……?」


ダメージを負ったネズミは倒れたが、一応生死の確認をしようと悠斗はネズミに近づいていく。


「いた……しかもまだ生きてる……」


ネズミは虫の息だった。

今にも死にそうだったネズミだが悠斗を見ると


「ぢゅぅ…ぢゅぅ……ぢゅぅぅぅぅ!」


襲い掛かってきた。


「うわぁぁぁ!?」


悠斗は咄嗟に、右手の盾で殴りつけた。


ボギャ!


ネズミは吹っ飛び、転がっていく。


「ぢゅっ!………」


その鳴き声を最後に、ネズミはこと切れた。


「はぁ……はぁ……」


(怖かった……この盾があってホントによかった……)


悠斗は涙目になりながらそんなことを思った。



補足します  ネズミの体長は1m 体重は25キロほどです。


ダメージ受けたのは結構なスピードで盾にぶつかったためですね。


9/15 23時頃 文章を少し改善しました。



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