表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紋章の勇者  作者: 新
二章 前兆
27/41

26話 対人戦

少し遅れました! 今回はバトルメインになってます。


それでは、どうぞ!

俺は走りながら背中に背負っている剣を抜く、その勢いで男に斬りかかった。

金属がぶつかる音が響く。

「っとぉ。あぶねーあぶねー」

上段から斬りかかった剣はその男に受け止められた。俺は力任せに剣を押していく。

「はあ? お前みたいなガキが……!?」

闘気を纏っている俺は、普段より身体能力は上がっている。さっき斬りかかったときに受け止められたのは驚いたが。それでも闘気を纏った俺は中級冒険者にも負けないと自負している。あの二人は……難しいかもしれない。 そんな無駄な事を考えていたら


――俺の体は男の左斜めに(・・・)飛び出していた。


「ったく、あぶねぇな。俺じゃなかったら真っ二つだぞ?」

 そんな言葉を発して俺は蹴り飛ばされた。

「がっ!」

地面を転がる。だが直ぐに起き上がり、男を睨む。一体なにが起きた? あの一瞬で……

俺が睨みながら思考している様子を見て男は驚いていた。

「おいおい。【紋様闘術】で強化して蹴ったのにピンピンしてやがるな、さてはてめぇ……」

スッと目を細めて俺を見てくる。なんだ? なにをする気だ……

すると男はため息を吐き、再度俺を見ながら口にした。

「……お前、闘気を纏ってるな? それも結構な量だ……。普通じゃねぇな……なにもんだ? お前」

「はっ! さっきも同じこと聞かなかったか? ボケてんのかおっさん」

とりあえず挑発してみる。これで激昂して襲い掛かってきたらカウンターを決めてやる。

「……そういうことじゃねぇ。どう見ても下級冒険者には見えねぇんだよ、お前のオーラ(・・・)はよ」


オーラ……だと? マロー師匠と同じような目を持っているのか……? だがそこまで位の高い魔術が使えるようには見えない。黙って男を睨んでいた俺に、その男は話を続ける。

「俺の力は珍しいだろ? 天紋(ギフト)っていうらしいぜ。これの力のおかげでここまでこれたもんよ」

なるほど、天紋(ギフト)か。それなら納得がいくな。オーゼンさんも言ってた珍しい紋様の力か。だけど関係ないな。そのオーラが見えるだけなら特に問題はない。闘気で体を強化してたたみかける、ただそれだけだ。……だがその前に


俺は男のいる方角へ向かって走る。

「お? また突撃か?」

男は剣を正面に構えて俺を迎え撃つつもりのようだ。だが、俺はそのまま男の横を通り過ぎていく。

「は?」

そんな間抜けな声が洩れていたが、どうでもいい。俺はそのまま、先にいる女の子の後ろに斬りかかる。

女の子の後ろにいたのはさっきナイフで攻撃した男たちだ。俺たちが戦っている間に女の子に近づいていた。どうせ人質にでもするつもりだったんだろう。

「ひっ! バレたぞ!?」

「く、くるならきやがれ!」

一人は逃げようとし、もう一人はナイフを構えているが腰がひけている。なんだ、俺が怖いのか?

だけど、もう怖がる必要はない。ここでお前の意識はなくなるんだから。

上段に構えた剣を振り下ろす。野太い声の男はナイフで受けようとしたが、無理がある。闘気を纏っている俺の一撃をそんなちっぽけなナイフで受けれるわけないだろ?

案の定。ナイフは折れ、そのまま剣が頭にめり込む。

「ぎゃぁふっ!」

奇怪な声を出して後ろに倒れる。そのまま高い声の男に追撃を仕掛けようとしてめり込んでいる剣を取る。

けど、その男は追撃を仕掛けるには少し遠かった。 あの一瞬でずいぶん遠くまで逃げたな。まぁ、いいか。とりあえず女の子は守れた。俺は振り返ってチラッと床に座っている女の子を見る。が、すぐさま視線を前方に戻して走り出す。

「一人は殺されてもう一人は逃走。ったく、使えねぇ奴らだな」

呑気に喋りながら歩いてくる。

「お前も今すぐ使えねぇ奴にしてやるよ!」

俺は大きな声で叫びながらその男に斬りかかった。

「まぁたそれかよ、学べよなぁ」

呆れた風に剣を構える男。俺は上段に剣を構えて斬り――かからずに腰を落とす。

「なっ!?」

腰を落とした俺は、剣をすくい上げるようにして男の脇腹を狙う。

だが、ギリギリで男にバックステップで避けられた。けど、掠ったみたいだな。当たると思ったが、そう簡単にはいかないか。

男はこちらを見ながら口角を上げる。

「ったくよ、あぶねぇじゃねぇか。しかもちょっと斬れてるしよぉ。今度は俺からいっちまうぞ~?」

そう言った瞬間に、男は爆発的な速度でこちらに向かってきた。

「ちっ!」

舌打ちをして迎え撃つ。カウンターを決めてやる。もし外しても闘気を纏った拳で殴り飛ばしてやる。そう意気込んだ俺は剣を正面に構え直す。

「っひゃぁ!」

男は勢いよく突きを放ってきた。それを避けると次は斬り払い。そのまま滅茶苦茶に剣を振ってきた。

「おら! おら! さっきまでの威勢はどぉーしたぁ?! ああ!?」

叫びながら斬りかかってくる。うるさい男だ……。にしても、カウンターを決める隙が無いな……こいつ、俺より戦いなれてやがるな……。

すると突然蹴りを放たれた。それも避けると男は舌打ちをし、攻撃の速度を上げてきた。蹴りも混ざってくる。

「俺はなぁ! 我流だからよぉ! 普通の剣術とは思うんじゃねーぞぉ!」

我流、か。俺の剣も我流だ。師事してくれる人がいないのが一番の理由だが……。

「考え事してる暇はねぇぞオラぁ! 【ダブルスラッシュ】!!」

さっきまでの剣速より、あきらかに速い速度の二連撃が俺に襲い掛かってくる。それを避けれないと判断した俺は、一撃目を剣で受け止め、二撃目は咄嗟に左手に盾を顕現し、それで受け止める。

「は、はぁ!?」

男は驚愕の表情を浮かべて、動きが一瞬止まった。その隙に蹴り飛ばし、もっている剣を男に向かって投げた。

「っらぁ!」

男に向かって投げた剣は、真っ直ぐに飛んでいく。

「っ!!!」

その剣は弾かれたが、俺は投げた瞬間に走っていた。そして手には白銀の大剣が握られている。

「てめぇ! 一体いくつの紋様使ってやがんだぁ!?」

立ち上がりながらそう叫び、俺を待っている。関係ない……叩き潰してやる。

いつかの、ファザーラットとマザーラットとの戦いの時のように、大剣に闘気を集中させる。

「くらえぇぇぇぇ!」

上段からの斬り下ろし。その剣を受け止める男。

「く、くくっ……。なんてオーラ纏わせてやがる! ……どらぁ!」

大剣を受け流された……!? マズい! ……くそ! 最初のあれはそういうことか!

今気づいた事実に驚くが、致命的な隙を晒していた。

「脇ががら空きだぜクソガキィ! 【スラッシュ】!!」

男の剣が俺の脇腹を切り裂いていく。

「ぐぅ!」

咄嗟に地面を蹴って横に転がる。

「あー? しぶてぇやつだな」

転がった俺に追撃をかけてくる。

「この剣が邪魔くせぇなぁ!」

俺が手に握っている大剣を蹴り飛ばす。結構な重さのはずだが、【紋様闘術】で強化していたのだろう。

男は大剣を蹴り飛ばした後、地面に転がっている俺の右腕にナイフを刺した。

「ぐあああ!」

「んでほいっと」

左腕は男の足で地面に拘束された。

「これで、止めだ。じゃあなクソガキ!」

剣を振りかぶる。 体の力が入らない。

さっきの一撃で勝負を決めるつもりだった俺は、闘気を大剣に集中させていた。その結果、体に必要な闘気が集まらない。マザーとファザーに止めをさした時と同じだ。

なにか手はないか考えるが、なにも浮かばない。完全な油断だ。


ああ、俺の人生はここまでか……。高校生活、楽しみたかったなぁ。来世で、高校生になれるといいなぁ。

迫ってくる剣を見ながら、静かに考えていた。



――突然、男の体が横に傾いた。

「あ?」

剣が俺の顏の横に突き刺さった。

「ちっ!」

すぐさまその剣を抜こうとする男。だが、その隙を俺は見逃さなかった。

「うおおおお!」

この一瞬でいい! 少しでも力を!

俺は左腕に残り少ない闘気を集め、足による拘束を解く。

「なっ!?」

そのまま手に白銀の槍を顕現し、男の喉に向かって突き出す。


――槍は、男の喉に刺さっていた。


「ごぼぉ……」

血を吐きながら、俺に覆いかぶさるように倒れてきた。

「……なんとか、なったな……」

弱弱しい声で呟くと、そこで俺の意識は途切れた。



戦闘描写はどうでしたか? そこらへんの感想もらえると参考になります。


誤字やおかしなところがあれば修正します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ