19話 【天の紋章】&街への帰還
どうも、新です。
前話、決着2&白い世界のことなんですが、ゼリウス王国の姫の説明が足りなさ過ぎたので、説明を追加しました。もしよろしければ読んでもらえるとありがたいです。読まなくても理解している人もいるかもですが……。
それでは、どうぞ。
――紋章の力? あの武器とか出せる能力のことですか?
「はい、その通りです。正確には力の一部ですね。【天の紋章】にはまだ力が備わっていますよ。あなたは既に使っているようですが?」
――既に使っている? 武器を出す、はもう知ってるし……。なんだろう? うーん……。
「わからないなら教えますね。5つあるのですが、【武具顕現】【言語理解】【文字理解】【高自然治癒】【疲労高回復】などですね」
――うおお……色々あってすごい。けどやっぱりこの世界には独自の言葉があったのか。紋章の力が働いてよかった……なかったらどれだけ苦労したか。
「【言語理解】と【文字理解】は後から付け足されたものになりますね。異世界人を呼ぶ前提だったのでしょう。ちなみに【言語理解】があればあなたも無意識にこの世界の言葉を話せるようですね」
――なるほど。付け足した人ありがとうございます! ……けど、後の二つはなんとなくで発動してたのかな?
「そうなりますね。【高自然治癒】と【高疲労回復】は常時発動型みたいです。あ、でもそれぞれ魔力と闘気を消費しますね。【高自然治癒】は魔力、【高疲労回復】は闘気になってます」
――そんなことまでわかるんですね~。流石女神様ですね。
「えっへん! ちなみに【武具顕現】も魔力を消費しますよ。こちらはイメージしたものによって消費量が変わるみたいですね」
――ほ~。あの時は大剣を出した後だから魔力がなくなったのかな? だとしたら今度から気をつけないいけないな。
「……そのことなんですけど。あなたは、戦闘中に性格が変わりませんでした?」
――そういえば、戦うのがすごく楽しくて、俺とか言っちゃってたな……。今思うと恥ずかしい……。
「すいません、その原因は私が与えた力にあるのです。決して害があるものではないのですが、性格がまるっきり変わってしまうのがちょっと……」
――僕としてはあの性格は少しありがたいですけどね。けど力?
「確かに、容赦が無くなりますからね、これから必要でしょう。私もそう思ってあなたに魔闘変化の力を授けたのです」
――魔闘変化ですか。というと性格が変化する力?
「いえ、少し別の話になるのですが、実は普段のあなたの身体には膨大な魔力が宿っています。魔力があるということは魔術が使える、ということですね。反対に、魔闘変化をすると、魔力がほとんどなくなってしまうのです」
――ええっ! それってすごいデメリットじゃないですか! だからナイフが出なかったのかな……。
「いえ、ちゃんとメリットもあるのですよ? 魔闘変化後は魔力がほとんど無くなりますが、代わりに闘気が爆発的に増えます。つまり、身体能力を上昇させることができるんですよ。もちろん、通常時も闘気は宿っていますが、戦闘に使うには物足りない程度しかないのです」
――ほー。ちゃんと考えられてるんですね。つまり、通常時には武器や防具を出せて、魔術も行使できるんですね。そのかわり身体能力は低いと。魔闘変化後は身体能力を上げることによって近接戦闘が楽になると。
「はい、大雑把に言うとそんな感じです。どうですか? 使いこなせそうでしょうか?」
――まぁ、はい。なんとなくですけど感覚は掴んでいるので、これから活用していきたいですね
「任意で切り替えが出来るので、状況に合わせるといいかもしれません。あともう一つ奥の手があるのですが……」
――奥の手? どういうのです?
「それはですね……―――
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「ん……」
何かに揺られながら悠斗は目が覚める。
「お、目ェ覚めたか?」
前から声が聞こえる。
「バーキィさん……? あの僕は……」
「あの二匹を倒した後ぶっ倒れてたんだよ。んで今ハルトを背負って街へ帰る途中だぜ」
「ありがとうございます……」
揺れていたのは背負われていたからだった。大きな背中に悠斗は感謝の言葉をかける。
「いいってことよ。にしても、元に戻ったか?」
「元に……? あ、あ~……」
「おう。いきなり口調が変わるからびっくりしたぜ。体はもう大丈夫なんだな?」
「はい、ご心配をかけて……すいません」
申し訳なさそうな声で返事をする。
「いや、特に体に異常が無いならいいんだがよ。口調の事は気にすんな。なんかわけがあんだろ?」
妙に察しがいいバーキィ。
「はい、僕の特殊な事情ということで……」
「おう、わかったぜ。とりあえずオーゼンにもハルトが目を覚ましたって言っとかないとな」
(そういえばいないな……)
悠斗は揺られながらキョロキョロまわりを見渡す。
「おーい! ハルトが目ェ覚めたぞォ!」
と前方に向けて大声を出す。すると小走りで近づいてくる足音がしてくる。
「ああ、ほんとだね。体は大丈夫かい?」
「俺がそこらへん聞いといたからもういいぞ。異常は無しだってよ」
「そっか。じゃぁ僕は警戒に戻るね」
そう言って前に走っていった。
「オーゼンには先行して警戒とかやってもらってんだ。今俺がハルトを背負ってるからな……」
そこで言いたいことを理解する。
「あの、もう僕歩けると思うので降ろしてもらっていいですよ」
「そうか? ならゆっくり降ろすぞ」
バーキィはゆっくりとかがんでいく。
「……はい、立てました。歩けそうです」
地に足をつく。つま先で軽く地面を叩くがふらつく様子はなかった。
「おう! なら俺たちもオーゼンのとこへ行こうぜ」
そう言って走っていく。
「ですね……って早いですよ~」
そのあとを追いかける。
「あれ? 前来て大丈夫なの?」
近づいてくるバーキィに気づく。
「おう。ハルトは歩けるようになったから一緒に警戒しようかと思ってよ」
バーキィの後ろを見る。悠斗が必死に走っていた。
「はぁ……はぁ……。僕、歩けるって言っただけで走れるとは……はぁ……はぁ……」
息絶え絶えだった。闘気がまだ回復していないのだろう。補足だが、闘気は使い切ってしまっているので【高疲労回復】は発動しない。辛うじで歩ける、といったところだった。
「馬鹿、ハルト君すごくしんどそうじゃないか。早く背負ってきなよ」
「あれ~? 歩けるって言ってたんだが……」
「走れるとは言ってないでしょ。いいから背負ってこい!」
まくしたてる。
「ったく、うるせー奴」
そうぼやいて悠斗に近づき、
「はぁ……はぁ……わわっ!」
ヒョイっと背負った。
「わりィなァ! 走れねぇとは思ってなかったぜ!」
「ふぅ。助かります……。ちょっとだけ休ませてください……」
「おう、別にハルトは重くねぇからな。いくらでも休ませてやるよ」
そう豪語する。
「今日は世話になりっぱなしですね……。大変なこともありましたけど……」
さっきの戦いの事を思い出して目が遠くなる。
「がはは! いきなりであれは悪いと俺たちも思ってんだよ! だから街へ帰ったらお詫びの印になんか奢ってやるよ!」
悠斗の方へ顏を向けながら言う。
「それは……嬉しいですね」
ニコッと笑顔を見せる。
「おう! 楽しみに待ってろよ!」
グッと親指を立てた。
「二人とも~、街が見えてきたよ」
前を歩いていたオーゼンにそう声をかけられる。
もしかしたら一部文字修正するかも……。
次の投稿は明日の16時になる予定です。




