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紋章の勇者  作者: 新
一章 異世界
18/41

19話 【天の紋章】&街への帰還

どうも、新です。

前話、決着2&白い世界のことなんですが、ゼリウス王国の姫の説明が足りなさ過ぎたので、説明を追加しました。もしよろしければ読んでもらえるとありがたいです。読まなくても理解している人もいるかもですが……。


それでは、どうぞ。

――紋章の力? あの武器とか出せる能力のことですか?


「はい、その通りです。正確には力の一部ですね。【天の紋章】にはまだ力が備わっていますよ。あなたは既に使っているようですが?」


――既に使っている? 武器を出す、はもう知ってるし……。なんだろう? うーん……。


「わからないなら教えますね。5つあるのですが、【武具顕現】【言語理解】【文字理解】【高自然治癒】【疲労高回復】などですね」


――うおお……色々あってすごい。けどやっぱりこの世界には独自の言葉があったのか。紋章の力が働いてよかった……なかったらどれだけ苦労したか。


「【言語理解】と【文字理解】は後から付け足されたものになりますね。異世界人を呼ぶ前提だったのでしょう。ちなみに【言語理解】があればあなたも無意識にこの世界の言葉を話せるようですね」


――なるほど。付け足した人ありがとうございます! ……けど、後の二つはなんとなくで発動してたのかな?


「そうなりますね。【高自然治癒】と【高疲労回復】は常時発動型みたいです。あ、でもそれぞれ魔力と闘気を消費しますね。【高自然治癒】は魔力、【高疲労回復】は闘気になってます」


――そんなことまでわかるんですね~。流石女神様ですね。


「えっへん! ちなみに【武具顕現】も魔力を消費しますよ。こちらはイメージしたものによって消費量が変わるみたいですね」


――ほ~。あの時は大剣を出した後だから魔力がなくなったのかな? だとしたら今度から気をつけないいけないな。


「……そのことなんですけど。あなたは、戦闘中に性格が変わりませんでした?」


――そういえば、戦うのがすごく楽しくて、俺とか言っちゃってたな……。今思うと恥ずかしい……。


「すいません、その原因は私が与えた力にあるのです。決して害があるものではないのですが、性格がまるっきり変わってしまうのがちょっと……」


――僕としてはあの性格は少しありがたいですけどね。けど力?


「確かに、容赦が無くなりますからね、これから必要でしょう。私もそう思ってあなたに魔闘変化(チェンジ)の力を授けたのです」


――魔闘変化(チェンジ)ですか。というと性格が変化する力?


「いえ、少し別の話になるのですが、実は普段のあなたの身体には膨大な魔力が宿っています。魔力があるということは魔術が使える、ということですね。反対に、魔闘変化(チェンジ)をすると、魔力がほとんどなくなってしまうのです」


――ええっ! それってすごいデメリットじゃないですか! だからナイフが出なかったのかな……。


「いえ、ちゃんとメリットもあるのですよ? 魔闘変化(チェンジ)後は魔力がほとんど無くなりますが、代わりに闘気が爆発的に増えます。つまり、身体能力を上昇させることができるんですよ。もちろん、通常時も闘気は宿っていますが、戦闘に使うには物足りない程度しかないのです」


――ほー。ちゃんと考えられてるんですね。つまり、通常時には武器や防具を出せて、魔術も行使できるんですね。そのかわり身体能力は低いと。魔闘変化(チェンジ)後は身体能力を上げることによって近接戦闘が楽になると。


「はい、大雑把に言うとそんな感じです。どうですか? 使いこなせそうでしょうか?」


――まぁ、はい。なんとなくですけど感覚は掴んでいるので、これから活用していきたいですね


「任意で切り替えが出来るので、状況に合わせるといいかもしれません。あともう一つ奥の手があるのですが……」


――奥の手? どういうのです?


「それはですね……―――



~~~~~~~~~~~~~~~

「ん……」

何かに揺られながら悠斗は目が覚める。

「お、目ェ覚めたか?」

前から声が聞こえる。

「バーキィさん……? あの僕は……」

「あの二匹を倒した後ぶっ倒れてたんだよ。んで今ハルトを背負って街へ帰る途中だぜ」

「ありがとうございます……」

揺れていたのは背負われていたからだった。大きな背中に悠斗は感謝の言葉をかける。


「いいってことよ。にしても、元に戻ったか?」

「元に……? あ、あ~……」

「おう。いきなり口調が変わるからびっくりしたぜ。体はもう大丈夫なんだな?」

「はい、ご心配をかけて……すいません」

申し訳なさそうな声で返事をする。

「いや、特に体に異常が無いならいいんだがよ。口調の事は気にすんな。なんかわけがあんだろ?」

妙に察しがいいバーキィ。

「はい、僕の特殊な事情ということで……」

「おう、わかったぜ。とりあえずオーゼンにもハルトが目を覚ましたって言っとかないとな」

(そういえばいないな……)

 悠斗は揺られながらキョロキョロまわりを見渡す。

「おーい! ハルトが目ェ覚めたぞォ!」

と前方に向けて大声を出す。すると小走りで近づいてくる足音がしてくる。


「ああ、ほんとだね。体は大丈夫かい?」

「俺がそこらへん聞いといたからもういいぞ。異常は無しだってよ」

「そっか。じゃぁ僕は警戒に戻るね」

そう言って前に走っていった。

「オーゼンには先行して警戒とかやってもらってんだ。今俺がハルトを背負ってるからな……」

そこで言いたいことを理解する。

「あの、もう僕歩けると思うので降ろしてもらっていいですよ」

「そうか? ならゆっくり降ろすぞ」

バーキィはゆっくりとかがんでいく。

「……はい、立てました。歩けそうです」

地に足をつく。つま先で軽く地面を叩くがふらつく様子はなかった。

「おう! なら俺たちもオーゼンのとこへ行こうぜ」

そう言って走っていく。

「ですね……って早いですよ~」

そのあとを追いかける。


「あれ? 前来て大丈夫なの?」

近づいてくるバーキィに気づく。

「おう。ハルトは歩けるようになったから一緒に警戒しようかと思ってよ」

バーキィの後ろを見る。悠斗が必死に走っていた。

「はぁ……はぁ……。僕、歩けるって言っただけで走れるとは……はぁ……はぁ……」

息絶え絶えだった。闘気がまだ回復していないのだろう。補足だが、闘気は使い切ってしまっているので【高疲労回復】は発動しない。辛うじで歩ける、といったところだった。


「馬鹿、ハルト君すごくしんどそうじゃないか。早く背負ってきなよ」

「あれ~? 歩けるって言ってたんだが……」

「走れるとは言ってないでしょ。いいから背負ってこい!」

まくしたてる。

「ったく、うるせー奴」

そうぼやいて悠斗に近づき、

「はぁ……はぁ……わわっ!」

ヒョイっと背負った。

「わりィなァ! 走れねぇとは思ってなかったぜ!」

「ふぅ。助かります……。ちょっとだけ休ませてください……」

「おう、別にハルトは重くねぇからな。いくらでも休ませてやるよ」

そう豪語する。

「今日は世話になりっぱなしですね……。大変なこともありましたけど……」

さっきの戦いの事を思い出して目が遠くなる。

「がはは! いきなりであれは悪いと俺たちも思ってんだよ! だから街へ帰ったらお詫びの印になんか奢ってやるよ!」

悠斗の方へ顏を向けながら言う。

「それは……嬉しいですね」

ニコッと笑顔を見せる。

「おう! 楽しみに待ってろよ!」

グッと親指を立てた。


「二人とも~、街が見えてきたよ」

前を歩いていたオーゼンにそう声をかけられる。



もしかしたら一部文字修正するかも……。


次の投稿は明日の16時になる予定です。

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