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紋章の勇者  作者: 新
一章 異世界
17/41

18話 決着2&白い世界

どうも、新です。昨日は投稿できなくてすいませんでした。言い訳は活動報告に………。


今回は結構長めに作りました。ちょっと説明回?

途中一人称になってます。

それでは、どうぞ。

悠斗が倒れてから時間は少し遡る。


挑発して襲い掛かってくる二匹をカウンター狙いで待つ。

「おりゃぁぁ!」

ギリギリまで接近されたところでで大剣を振り回す。だがカウンターは失敗。二匹は左右に距離をとった。

「ちっ!」

悠斗は地面を蹴ってファザーとの距離を詰める。その勢いのまま大剣を振りぬいたがバックステップで躱された。

マザーはジッとして悠斗を観察している。その横にファザーが戻る。

「……挑発で怒ったと思ったけど勘違いだったな。全然冷静だわ、お前ら」

肩に大剣を置いて二匹を睨みつけた。

(さて、すばしっこいこいつらをどう仕留めるか……)

倒す算段を考える。

(中々賢い魔物っぽいしな、ただ武器を振り回すってだけじゃ無理そうだな)

うーんと唸る悠斗。その間に二匹はじりじりと近づいてた。

遂には目を瞑って思考し始めた悠斗。


「「ぢゅっ!」」

隙だらけの悠斗に二匹が飛びかかっていく。

「かかったな馬鹿が!」

(考えるフリをしてカウンターをぶち込む、避けれないだろ!)

大剣を振り上げる。

「ぅおらぁ!」

渾身の一撃を振り下ろす。


ドゴォ!


砂煙が舞う。

だが、

(……外した、だと?)

生物を斬った感触がない。地面を叩いただけだった。

砂煙が晴れていく。

悠斗は前方を凝視する。

なんとマザーが宙に浮いていた。

「なに…!?」

悠斗は驚き一歩飛びずさる。だがよく見てみると

マザーの腹に尻尾が巻き付いている。後ろにはファザーが佇んでいる。

「やっぱり賢いなお前ら。咄嗟に攻撃を中断させるなんてな」

悠斗は気づいた。あの一瞬、マザーが先にハルトに飛びかかっていったが後ろにいたファザーだけは警戒していた。

悠斗が大剣を振り上げた時に素早くマザーの腹に尻尾を巻き付かせて止めたのである。


「ったく、大道芸かよ……」

そうぼやく。しばらく宙に止まっていたマザーは地面に降ろされる。だが、いまだ尻尾は離れない。

「ハッ……そんなに心配なら首輪でもつけたらどうだ?」

鼻で笑ってそう挑発する。言葉を理解しているとは思えないが。

するとマザーが腰を左の方へ捻りだした。

(なんだあの動き? なにするつもりだ?)

その疑問が解かれるのはすぐだった。

マザーは左に捻っていた腰を勢いよく右にまわす。

「ッ!! マズい!」

咄嗟に大剣で身を守る。

「ぢゅあっ!!!」

衝撃。

悠斗は大剣でファザーを受け止めたが、耐えきれず吹き飛ばされる。

「ぐあっ!」

(油断した……。あそこから自分を飛ばさせるとは……)

吹き飛ばされながらさっきのマザーの行動を理解する。マザーは腰の回転を使ってファザーを飛ばした。

まるで鉄球投げのように。そこからさらに吹き飛ばされた悠斗を追うようにマザーが突進してくる。

「ぢゅぅぅ~~!!」


「ちっ……! 調子に乗るな!」

悠斗はナイフをイメージする。ナイフを投擲して突進を止めるためだ。

だがナイフは手元に現れない。右手の紋章が少し点滅して消える。

「イメージは出来てるはずだ! くそっ!」

ナイフが出せないとわかると大剣で再び防御する。


ドガッ!


「くぅぅ!」

今度は踏ん張る。さっきの一撃よりは軽い突進だ。

「……っらぁ!」

大剣で押し返し、転倒するマザー。そこに追撃を仕掛ける。

「くらえ!」

マザーに斬りかかる。

ガギッ

ファザーが悠斗とマザーの間に飛び込み、尻尾で大剣を防いだ。

「くると思ったぜ。だが、俺の剣を受け止めたな(・・・・・・)?」


ニヤリと笑った。悠斗は武器から手を離す。その行動に一瞬驚いたファザーだったが次の瞬間吹き飛ばされる。

悠斗の右手には闘気のオーラが、否。体全体(・・・)をオーラが覆っていた。

「俺の拳の味はどうだ?」

そう言いながら大剣を拾ってファザーに接近する。

「今度はこっちのばんだぜ!」

大剣に闘気を纏わせる。

「ずあああああ!!!」

気合を発しながら横に一閃。だが今度はマザーの尻尾に防がれた。徐々に斬撃の勢いが落ちてくる。そこについでとばかりに起き上がったファザーも尻尾で大剣を押し返そうとする。

「「ぢゅぅ!」」

「しつこい奴らだな……もっと力だ。力を込める……!」

悠斗の闘気が吹き上がる。大剣に纏わせていた闘気は収束している。これは消えているのではなく、闘気の密度を無意識に高めていた。

「これで……どうだぁぁ!」

大剣を力いっぱい振りぬく。するとマザーとファザーの尻尾が徐々に切れていき、

「「ぢゅぢゅ!?」」

二匹の体を横に真っ二つにした。血が噴き出す。辺りの地面は真っ赤になった。


絶命。二匹は平原にその命を散らした。


大剣が手元から消える。


「ふぅ。案外あっさり決まったな。けど、やっぱり二匹相手はきつかったか? まぁ倒せたからいいか」

(にしても、ナイフがでなかったな……)

ナイフをイメージする。が、やはり手元には現れなかった。

「これも要検証ってとこか」

そうぼやく。

「んじゃ二人のところに加勢でも………あれ?」

突然視線が下がる。

「あ~?」

悠斗は膝をついていた。力をいれようとしても入らない。体が前へ倒れていく。

「………」

(こりゃぁ、いったん休まないとだめそうだなぁ……)

平原の草の上に倒れながら悠斗の意識は落ちていった。


~~~~~~~~~~~~~~~


――そこは、白い空間だった。どこまでも広く、どこまでも白い、そんな場所。

僕は夢を見ているのかな?

手を動かそうとしても存在しない。口もそもそもない。まるで意識だけが存在するみたいだ。不思議な夢だなぁ。

ていうか夢ってこんなに考え事できたっけ? ……まぁいいか。

適当にボーっとしていると目の前の空間が光に包まれる。

なんだろ? 人でもでてきたりして。

その予想は当たっていたようだ。


光がおさまると少女が現れた。

しゃがんで泣いていた。

「ぐすっ……ぐすっ……」

――どうして泣いてるの? って喋れないんだった。

「申し訳ないのです……別世界のあなたを巻き込んでしまって」


――へぇ~僕巻き込まれてこの世界に来たんだ。ってあれ、今返事返したの?


「はい、ここは私が作った世界なのです。だからここにいるものの思考は全部聞き取れます。けど、世界と言っても、あなたとの対話をするために作っただけなので、あなたは思考することしかできないでしょう」


――それなら喋らせてくれてもよかったんじゃないですか?

少女はスッと顏を上げた。とても美人になりそうな子だ。

「……心を読むって、凄いと思いませんか? 普通に喋るより心を読むほうが特別扱いしてくれそうだったから……」

――案外子供っぽいですね。というか見た目子供ですね。率直に聞きますけど神様とかですか? 僕を日本に返すことはできますか?


「あの……いっぺんに質問されると答えずらいです。一つずつ答えますね。まず、私は子供ではありません。姿形は自由に変えれますよ、さっきあなたが考えた美人にもなれます。あと、こう見えて1万年は生きてます。正確な数字は忘れましたが……。次に、あなたの言う通り私は神です。この世界の女神ですね。そして最後の問の答えですが、わかりません」


――そう、ですか。まぁそんな気はしてました。まぁいいです。それでなぜ僕との対話を?


「スパッと切り捨てましたね……。対話をする理由ですが、さっきも言ったように、巻き込んでしまったことへの謝罪です」


――ああ、巻き込まれた、ですか。つまり僕は選ばれたとかではないと?


「はい。向こうの世界であなたが見つけた小さな穴は転移門と呼ばれるものです。その転移門の上に紋章があったでしょう?」


――これですね、って見れないんだった。確か、円の中に翼が書かれている紋章ですよね?


「はい、その通りです。その紋章は昔この世界で争った二つの種族、【天族】と【魔族】、あなたの右手に刻まれているのは【天族】の種族が掲げた紋章です。勿論、他の種族もいますが、飛びぬけて強い力を持っていたのは【天族】と【魔族】なんです」


――へぇ~。なら質問しますけど、なんで僕にこんな紋章が?


「そう、ですね。簡単に言うと、近いうちこの世界を滅ぼす強大な敵が現れると思うのです。勘みたいなものですが、これは私の力の一つと思ってもらって構いません。その敵を倒すためにあなたはここへ転移させられたのです」


――それってもしかして【魔族】とかいうやつですか?


「いえ、まだどの種族に敵が出現するのかわからないのです」


――わからない、ですか。なら質問を変えますね。僕を転移させた(・・・・・)のは一体どこの誰なんですかね?

「……この世界にある四つの国の一つ、ゼリウス王国の王都ヴェンゼス。そこに住んでいる王家の姫があなたを転移させました。その姫は巫女という役職も担っており、私の勘が神託として伝わってしまったのです。しかし、転移門を作って転移させたまではよかったのですが、転移場所を誤ったらしいです」


――ああ、だから僕はあんな小屋の中にいたんですね。納得納得。ここってゼリウス王国って言うんだ……。じゃあ僕はその敵を倒すための戦士とかですか?


「正確には【勇者】と言われるそうですが……。私はそこまで世界を観ているわけではないので詳しくわかりませんが。その【勇者】には右手の甲に【天の紋章】が刻まれるそうです」


――ほー。僕が勇者、か。なんだか実感がありませんね。ただの新入生だった僕がね……。


「それは……。そうでしょう、まだあなたはこの世界に来て二日しか経っていません。実感がないのも当然でしょう」


――まぁ、慣れてくしかないんでしょうね、この世界に。それじゃあ僕はその王都ヴェンゼス?に行けばいいんですか?


「そう、なりますね。今頃姫は国中を探していると思いますよ? 大した手掛かりがないので苦労しているでしょう」


――そりゃ大変だ。近いうちに王都に行かなきゃ!


「……逃げても、いいんですよ? あなたとこの世界は関係ないんですから……。勝手に転移させられて戦いを強制される。それが嫌なら……。もし、滅ぼされる時が来れば、私の作った世界へと導きますが……」


――僕だって、逃げたいですよ。痛いのは嫌だし、生き物を殺すのも嫌だ。けど、だからってこの世界が滅ぶのを見ているだけなんて嫌ですよ。人が死ぬんでしょう? 今まで平和に暮らしていた、かはわかりませんが。救える命は救います。それなら僕はこの世界で勇者になってやる。

勇者になって救うんだ。この世界の人々を。元の世界に戻れないなら今できることを精一杯するだけです。


「……いい覚悟ですね。あなたならきっと……いえ、なんでもないです。

それと、一つ訂正しときますね。元の世界への帰り方は分からないと言っただけで、ないとは言ってないですよ?」


――そこも情報を集めながら過ごしていきたいですね。できるなら帰りたい。


「ならあなたに役立つ情報をあげますね。と言っても一部なのですが」


――情報ですか?


「はい、その【天の紋章】の力についてです」




次回投稿は明日の16時です。


アルファポリスに登録してみました。


9/29 12時頃 一部文章を追加しました。

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