17話 戦闘&決着1
はい、新です。
今回はバトル描写を頑張ってみました。もしかしたら追加するかも…。
下手だったらすいません。
前の後書きで投稿日時書くの忘れてましたすいません。
今回も同じで、四時投稿です!
それでは、どうぞ。
「よし、アレにするか」
二匹の攻撃を避けつつそう言ってイメージしたのは、両手持ち剣のような大剣である。刀身以外は真っ白で悠斗の背を軽々超えてる大きさだ。
「ん~。やっぱり軽いなぁ……。これだけ大きい剣を出してもこんなもんか……」
一旦距離を取る。少し離れたところでブンブンと素振りをする悠斗。大剣を扱ってるようには見えない速度だ。
「ま、いいか。さっさとあいつらぶっ殺すとするか」
大剣を肩に担ぐ。
「こいよ」
クイ っと指をまげて挑発する。
「「ぢゅぅうううう!」」
その挑発を理解したのかわからないが、二匹同時に襲ってくる。
「そうこなくちゃなあ!」
大剣を両手で構えて迎え撃つ。
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「ほんとにあいつ、どうしちまったんだ……」
呆然と呟く。
「危険になる前に加勢しにいくよ」
オーゼンは真面目な顏でバーキィに言った。
「……おうッ! とりあえずあのラット達をブッ倒してハルトから洗いざらい聞いてやる!」
二人は悠斗に向かって行こうとした
が。
「ぢゅおおおおお!」
「ぢゅぢゅぢゅーー!」
後ろから鳴き声がする。咄嗟に後ろを振り向いた二人。
「チッ! もう一組いやがったか……。オーゼン!」
「ああ、わかってるよ。さっきの大群の中にこいつらの子もいたんだろう。さっさと片づけて加勢にいくよ!」
その言葉が終わった瞬間オーゼンに二体が襲い掛かってくる。
ビッグラット達と同様突進をしてくるが、スピードは段違いだ。そこに重量も相まって当たれば大ダメージは免れないだろう。しかし
「当たらなければ意味はない……ってね」
オーゼンはスルリと突進を避けながら切りつけていく。
(浅いな。やっぱり皮も堅いようだね)
位が高くなるにつれ魔物は身体能力が上がっていく。マザーラットとファザーラットは中級の魔物。
それなりの武器でないと傷すら付かないだろう。もっとも、この二人も中級だ。武器もそれ相応のものを使用している。
二度目の二匹による突進。避けざまに切っていく。だが傷は浅い。そんな繰り返しがいつまでも続くわけがなく。ファザーラットは鳴き声を発す。
「ぢゅ!」
「ぢゅう!」
二匹は鳴き合う。するとオーゼンの前にファザー、背後にマザーがつく。
「……マズいな」
一旦【疾風】で距離をおこうとしたオーゼンだがすでに遅い。二匹はオーゼン目がけて突進を開始する。
間近になってその突進を横に避けようとしたが気づく。
「ッ!」
オーゼンの左右にはそれぞれファザーとマザーの尻尾が退路を遮っていた。四角の中心にオーゼンがいるように囲まれている。
だがこれで諦めるオーゼンではない。咄嗟にファザーの尻尾の下を潜り抜けようとする。が。
ファザーの尻尾が下に降ろされ、押さえつけられる。どうやら罠だったようだ。
「くっ……」
(僕としたことが……。この距離じゃ【ファイア】も間に合わない……)
ファザーの顏が近づいてくる。抵抗できない。あの牙に咬まれるとあの世へまっしぐらだ。
「どっせェェェェェい!!!」
突然そんな叫び声が聞こえたかと思うと、ファザーの顏が急速に離れていく。吹き飛ばされたようだ。尻尾の拘束も解ける。
「てめェも邪魔だァ!!」
ついでと言わんばかりにマザーもファザーの方向へ殴り飛ばす。
拘束を解かれたオーゼンはその背を見ながら立ち上がる。
「大丈夫かァ?」
近づいてきたバーキィは腕と足に白いオーラのようなものを纏っていた。
「……ちょっと遅いんじゃない?」
バーキィをジロっと睨む。
「しょうがねェだろ。【部分強化】はすぐに発動できねェんだからよォ」
「それは君が闘気を練るのが下手だからじゃ……」
「うるせェ! 間に合ったんだから文句言うな!」
「……はぁ。助かったよ」
「それでいいんだよ! それで!」
フス―とバーキィの鼻から息が洩れる。ドヤ顏だ。
それを呆れ顔で見るオーゼン。だがすぐに真剣な顏に戻る。
「それじゃあ、バーキィの準備も整ったし」
「あぁ、あいつらを」
ファザーとマザーは起き上がってこちらに走ってくる。
「「ぶっ飛ばす(よ)!」」
二匹を迎え撃つ。
「僕はマザーの相手をするよ」
「んじゃ俺はファザーだな。今度は助けられねェぞ?」
「大丈夫、一対一なら負けないよ……」
そんな言葉を残してオーゼンは静かに、尚且つ速くマザーに接近して横腹を切りつけていく。
「おーおー。相変わらずスピードは半端ねェなァ」
「ぢゅおおおお!」
呑気にオーゼンの戦闘を見ていたバーキィに近づくファザー。
「おォっと、こっちもいたんだったな」
軽い調子で突進を手で受け止める。
「ぢゅ!? ぢゅぅ~~~!」
「どうだ? 動かないだ……どわァ!」
突進を止められたファザーはすぐさま尻尾の攻撃に変えた。
バーキィの顏を狙って尻尾の先端を当てようと突いてくる。
「おっ! くっ! ……いい加減にしやがれェ!」
必死に首を動かして避けていたが、たまらず受け止めていた手を離して後ろに一歩ステップする。
「ぢゅおおおおお!」
バーキィが離れたことを確認したファザーは飛びかかっていく。
「……バーカ。離れたのは溜めを作るためなんだぜ!」
バーキィは肘を引き、脇腹に拳を持っていく。まるで日本の武術、空手の正拳突きような構えだった。
「【剛拳】!!!」
闘気を溜めていた拳を放つ。飛びかかってきて空にいるファザーの腹へ突き刺さった。
「ぢゅお!!」
ファザーの中で闘気のエネルギーが荒れ狂う。内臓はズタズタに、体中の骨は砕かれていく。
「オォラァァァ!!!」
刺さった拳をそのまま振りぬく。
「ぢゅぼぉうぅぅう?!!!」
口から血を吹き出し、奇声を上げながら吹き飛んでいく。
10セルトほど飛んでいったファザーは滑りながら徐々に止まる。
腹と口から血を流し、ピクリとも動かなくなっていた。
「っし! 決まったぜ」
バーキィの戦いは一撃で決した。そもそもファザーラットとマザーラットは中級の魔物の中でも低レベルの魔物だ。中級一位のバーキィの相手には少し物足りないだろう。
「オーゼンはくたばってねェかなァ……っと。お、いたいた」
少し離れたところにオーゼンが戦っていた。
「……げぇ。血だらけじゃねェか」
手出しはせずに遠くから戦闘を眺め始めた。
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オーゼンは今、確実にマザーの体力を奪っている。
「…………」
「ぢゅ!ぢゅ!」
無言でマザーの体を切りつけていく。接近戦になったマザーは、尻尾で応戦しているが全く当たらない。
この流れはさっきから続いていたため、マザーの体中のいたるところまで血が流れだしている。
(小さな傷でも血はでる。血が足りなくなったらどうなるかな……)
マザーは尻尾での攻撃をやめない。気づいていないのだ、自分の異変に。
「ぢゅ……」
突然マザーは眩暈がしたため一瞬動きを止めた。止めたがため、隙を与える。強者に。
「……【疾風】」
そう呟いてマザーの顏へ飛んでいく。マザーの肩へ足を乗せると
「光を失うけど、いいよね」
無表情で言う。その言葉が意味する事とは。
――斬。
マザーの両目を横一文字に切りつける。
「ぢゅぁあああぁぁぁ!!?」
叫びながら顏の前の空を手でひっかく。が、既にオーゼンはそこから飛び降りている。
「これで、君は目が見えなくなった。鼻は効くだろうけど、もう終わりだよ」
怒りで口の端に泡がついている。荒い鼻息。
必死にそこらを嗅ぎ、臭いで敵がいるだいたいの場所を見つけると、突進を開始する。
「ぢゅぢゅぢゅぢぢぢぢぢぢち!」
さっきの突進よりスピードが上がっていた。当たれば瀕死は間違いなしだろう。
「ただ真っすぐ突っ込むなら牛でもできるよ? ……【疾風】」
敵の正確な場所がわからないマザーは尻尾での攻撃は不可能だった。
マザーよりさらに速く接近し、横を抜けざまに首を深く切りつけていく。
「【スラッシュ】……これで止めだから強めに切ってあげたよ」
マザーの首から血が噴き出る。
「ぢゅ……う……」
その鳴き声を最後に、グリンと白目を剥いて後ろに倒れていった。
「ふぅ」
顏を腕で拭う。血を落としてから鞘にナイフをしまう。
「よう。普通に勝ったな!」
バーキィが近づいてきていた。
「一匹なら問題ないよ。動きも単純だしね。バーキィのほうは? ああ、ここにいるんだから」
「おう、ブッ倒してきたぜ。あそこに転がってらァ」
親指でファザーの方を指す。
「うん、こっちは終わったね。それじゃぁハルト君のほうは……」
そういって周囲を探す。少し離れたところに悠斗は仰向けに倒れていた。
「ハルト君が!」
「ちっ! やられちまったか!?」
駆けつけようする。
「……いや。待って、胸が上下してる。息をしてる証拠だ。それにハルト君だけじゃない。もう一組のファザーとマザーも倒れてるよ」
悠斗にだけ目がいっていたが、よく見ると悠斗の周りに死体があった。どちらも真っ二つで。
「すげぇことになってんな……」
「うん。とりあえずハルト君の様子を見ないと」
急いで悠斗のところへ駆けつける。
次回は明日の16時に投稿したいと思います!
最近ブックマークが少し増えました。それだけで嬉しい作者です。
感想、ご指摘お待ちしてます。
9/27日 一部文字修正しました。




