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紋章の勇者  作者: 新
一章 異世界
11/41

12話 宿屋の御飯&同伴者

はい、投稿させてもらいました!


次くらいに戦闘が入ると思うので、楽しみにしててください!


それでは、どうぞ

下に降りて行った悠斗は二人を探す。

「二人とも、どこ行ったんだろう? 食堂みたいなのがあるのかな?」

きょろきょろしていると、後ろから声がかかる。

「あら、部屋は見終わったのかい? なら料理ができてるからこっちへきな」

入り口から左側にある廊下から手招きする。ちなみに右側に階段、正面に受付だ。

女将についていく。ついていった先は食堂のようだった。

その食堂に居たのはバーキィとオーゼンの二人だった。


「やァっと来たかハルトォ! 待ちくたびれたぜ!」

「これで料理にありつけるね」

「えっと、どういうことです?」

二人の反応を不思議に思い聞いてみる。

「どうもこうも、女将が『あの坊やが来るまで料理は運ばない』って言われたんだぜ」

「それは……すいません、遅くなってしまって」

申し訳なく思い謝罪する。

「別に構わないよ、まだ料理はきてないしね。ハルト君も席に座って一緒に食べよう」

「おゥよ、 ハルトを待ってたんだからな!」

「はい、それじゃあ失礼して」

イスに座る。

「女将~! ハルトが来たぜ! 料理早く持ってきてくれよォ!」

「そんな大声出さなくても持っていくよ!」

厨房らしき所の奥から返事が返ってくる。

「今日の女将の料理は豪華だろうなァ~……」

ジュルリと涎を垂らすバーキィ。

「ちょっと、涎垂れてるよ」

「おォっと、すまんすまん。けどよお前だって楽しみだろ?」

「……まぁ、楽しみだよ」


「ほらなぁ!」 と若干からかった風に返す。


足音が聞こえてきた。厨房から女将さんが大きな皿を持ってこっちへやってくる。

「はいよ、お待ちどうさん」

ドン! と置かれた大皿には悠斗が見たことがない鳥が乗っていた。

「ロックバードの焼き鳥じゃねェか! 女将、奮発したなァ!」

バーキィが目に見えて喜ぶ。

「ロックバードってなんですか?」

小声でオーゼンに聞いてみる。

「ロックバードっていうのは、ここより離れた森に棲んでる魔物だよ。そんなに強くないんだけど奥地にいるから探すのが手間なんだ。けど、一番厄介なのは運ぶ時さ」

街より先へ行ったら森があったのかな? と考えていた悠斗。

「運ぶのが厄介? なぜですか?」

「今は調理されてるからわかんないと思うけど、本当はロックバードは体全体が石で包まれてるんだよ。だからね、すごく重い」

なるほど、といったふうに得心する。

「そのせいであんまりロックバードを狩る人がいないんだ。探すのも大変、運ぶのも大変とくると、誰も探さなくなったんだ。まぁ、希に市場に数羽出たりするけどね。値段はもちろん高いよ」

「へぇ~。けど、なんでこの鳥がロックバードってわかったんですか? もう石なんてついてないただのデカい鳥にしか見えないんですが……」

「それはね、頭を見るとわかるよ」

「頭ですか? どれどれ……」


頭には目がいってなかったな、と思い注視する。

頭には数字の【6】に見えるようなトサカがついていた。

「……6? あぁ、ロック……6ね……」

「わかったかい? あの特徴的なトサカがあるとすぐわかるんだ」

「はい……よくわかりました」

ほんの少し寒いギャグを見せられた気分になる。

(ああいう魔物はまだいるのかなぁ? ……いそうだなぁ……)


「二人で喋ってないではやく食べな、冷めちまうよ?」

と女将に催促される。

「では……………美味しい!」

思わず叫ぶ。

女将はニヤッとした。

「女将が作る料理はうめェだろハルト! ロックバードは元々美味いが女将が作るとさらにうめェ!」

「はい! ものすごく美味しいです!」

「そいつは結構。今回はその鳥しかないけど楽しんで食べな」

そう言って女将は厨房に戻っていった。

「うん、美味しい。」

オーゼンも手を付け始めた。

「けど、なんで今日はこんな高級な鳥を料理に出したんですか?」

疑問を感じる。入手が困難なロックバードをこの宿はいつも晩御飯に出しているのだろうか?

「そりゃおめェ、祝いだからよ」

「祝い……?」

「バーキィ、それだと伝わらないよ。ハルト君。これは冒険者になった君へのお祝いの料理なんだ」

「僕の……お祝いですか」

「そうそう、だから遠慮せずどんどん食べてね」

料理を勧める。

「女将が『祝い料理くらいだしてやるさ!』って言って奮発したんだ。有難く食べろよ?」

「……そんな偉そうなこと言ってるけど、半分くらいもう無くなってるよ?」

料理を食べる速度が落ちる。

「……ハルトの分は残すから心配すんな!」

「僕の分も残してほしいんだけど……」

呆れ顔になる。

「あはは! じゃあ僕もいっぱい食べますね!」

嬉しい気持ちになった悠斗は勢いよく食べ始めた。

「俺も負けねェぞ!」

バーキィも勢いを戻した。

「ちょっと! だから僕の分がなくなるって!」

オーゼンは慌てて食べ始める。


この夜、食堂に三人は残り、騒ぐ。大半はバーキィの声のせいだが。

途中で酒も飲み始めるが、悠斗は酒を遠慮して自分の部屋へ戻っていった。

部屋に入ると悠斗は倒れるようにベッドに入る。

すぐに寝息が聞こえてくる。色々あって疲れていたのだろう。

「……すー……すー……」

そんな寝息が、部屋の中で静かに聞こえる。


~~~~~~~~~~~~~~~


パチっと目を開けた。

「んー…朝か……」

起きたばかりの悠斗は

上半身だけを起こして何分かボーっとする。

「………よし」

昨日は着替えもせずこのまま寝てしまった悠斗の制服は、少し皺ができていた。

もっとも、着替えは持っていないのだが。

「……お風呂って、この宿あるのかな」

とりあえず下に降りて女将さんに聞くことにした。


下にいこうと階段を降りる途中に女将さんに出会う。

「あら、坊やは早起きだねぇ。どこかいくのかい?」

「えっと、この宿お風呂とかありますか?」

「風呂? そんな豪華なもんはこの宿にはないよ。宿の裏に井戸があるから、そこで水浴びでもしてきな」

「あっそうですか、教えてもらってありがとうございます。行ってきますね」

「はいよ。あたしはあの二人を起こしてくるから、水浴びが終わったら食堂に来ておくれ。朝食くらい出すからさ」

「わかりました」

悠斗は短く返すと階段を降りていく。


宿の裏へのドアに手をかけてあける。

そこは庭のようだった。確かに井戸がある。

「確か、この桶みたいなので水を汲むんだっけ……」

そんな独り言を言いながら水を汲む。

「よし………うー! やっぱり冷たい!」

井戸の水はそこそこ冷えていた。

「でも、段々慣れてきたし、気持ちいいな」

水浴びをしながら顏も洗う。



水浴びが終わった悠斗は食堂に足をむけた。


食堂には昨日と同じ席で二人が喋っていた。

(あれ……?)

近づいてみると、少し喧嘩している風だった。


「ハルトには俺が付き添う、お前は後でいいだろ」

「最初が肝心なんだよ? バーキィだと……」

「俺だとなんなんだよ?」

「……なんでもない」

そこで悠斗が来たことによって会話が終了する。

「なんのお話をしてたんですか?」

二人に訊く。

「ああ、ハルトの依頼の事でな。どっちがついていくか決めてたところなんだ」

「依頼ですか。確かに、最初だから不安ですね」

「だろ? だから、どっちがついていくか決めてたところなんだが……」

そこで間をおいて、オーゼンを見る。

「ハルト君、君はどっちについてきてほしい?」

オーゼンにそう聞かれた。

「えっと……僕は……」

悠斗が答えたのは





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