12話 宿屋の御飯&同伴者
はい、投稿させてもらいました!
次くらいに戦闘が入ると思うので、楽しみにしててください!
それでは、どうぞ
下に降りて行った悠斗は二人を探す。
「二人とも、どこ行ったんだろう? 食堂みたいなのがあるのかな?」
きょろきょろしていると、後ろから声がかかる。
「あら、部屋は見終わったのかい? なら料理ができてるからこっちへきな」
入り口から左側にある廊下から手招きする。ちなみに右側に階段、正面に受付だ。
女将についていく。ついていった先は食堂のようだった。
その食堂に居たのはバーキィとオーゼンの二人だった。
「やァっと来たかハルトォ! 待ちくたびれたぜ!」
「これで料理にありつけるね」
「えっと、どういうことです?」
二人の反応を不思議に思い聞いてみる。
「どうもこうも、女将が『あの坊やが来るまで料理は運ばない』って言われたんだぜ」
「それは……すいません、遅くなってしまって」
申し訳なく思い謝罪する。
「別に構わないよ、まだ料理はきてないしね。ハルト君も席に座って一緒に食べよう」
「おゥよ、 ハルトを待ってたんだからな!」
「はい、それじゃあ失礼して」
イスに座る。
「女将~! ハルトが来たぜ! 料理早く持ってきてくれよォ!」
「そんな大声出さなくても持っていくよ!」
厨房らしき所の奥から返事が返ってくる。
「今日の女将の料理は豪華だろうなァ~……」
ジュルリと涎を垂らすバーキィ。
「ちょっと、涎垂れてるよ」
「おォっと、すまんすまん。けどよお前だって楽しみだろ?」
「……まぁ、楽しみだよ」
「ほらなぁ!」 と若干からかった風に返す。
足音が聞こえてきた。厨房から女将さんが大きな皿を持ってこっちへやってくる。
「はいよ、お待ちどうさん」
ドン! と置かれた大皿には悠斗が見たことがない鳥が乗っていた。
「ロックバードの焼き鳥じゃねェか! 女将、奮発したなァ!」
バーキィが目に見えて喜ぶ。
「ロックバードってなんですか?」
小声でオーゼンに聞いてみる。
「ロックバードっていうのは、ここより離れた森に棲んでる魔物だよ。そんなに強くないんだけど奥地にいるから探すのが手間なんだ。けど、一番厄介なのは運ぶ時さ」
街より先へ行ったら森があったのかな? と考えていた悠斗。
「運ぶのが厄介? なぜですか?」
「今は調理されてるからわかんないと思うけど、本当はロックバードは体全体が石で包まれてるんだよ。だからね、すごく重い」
なるほど、といったふうに得心する。
「そのせいであんまりロックバードを狩る人がいないんだ。探すのも大変、運ぶのも大変とくると、誰も探さなくなったんだ。まぁ、希に市場に数羽出たりするけどね。値段はもちろん高いよ」
「へぇ~。けど、なんでこの鳥がロックバードってわかったんですか? もう石なんてついてないただのデカい鳥にしか見えないんですが……」
「それはね、頭を見るとわかるよ」
「頭ですか? どれどれ……」
頭には目がいってなかったな、と思い注視する。
頭には数字の【6】に見えるようなトサカがついていた。
「……6? あぁ、ロック……6ね……」
「わかったかい? あの特徴的なトサカがあるとすぐわかるんだ」
「はい……よくわかりました」
ほんの少し寒いギャグを見せられた気分になる。
(ああいう魔物はまだいるのかなぁ? ……いそうだなぁ……)
「二人で喋ってないではやく食べな、冷めちまうよ?」
と女将に催促される。
「では……………美味しい!」
思わず叫ぶ。
女将はニヤッとした。
「女将が作る料理はうめェだろハルト! ロックバードは元々美味いが女将が作るとさらにうめェ!」
「はい! ものすごく美味しいです!」
「そいつは結構。今回はその鳥しかないけど楽しんで食べな」
そう言って女将は厨房に戻っていった。
「うん、美味しい。」
オーゼンも手を付け始めた。
「けど、なんで今日はこんな高級な鳥を料理に出したんですか?」
疑問を感じる。入手が困難なロックバードをこの宿はいつも晩御飯に出しているのだろうか?
「そりゃおめェ、祝いだからよ」
「祝い……?」
「バーキィ、それだと伝わらないよ。ハルト君。これは冒険者になった君へのお祝いの料理なんだ」
「僕の……お祝いですか」
「そうそう、だから遠慮せずどんどん食べてね」
料理を勧める。
「女将が『祝い料理くらいだしてやるさ!』って言って奮発したんだ。有難く食べろよ?」
「……そんな偉そうなこと言ってるけど、半分くらいもう無くなってるよ?」
料理を食べる速度が落ちる。
「……ハルトの分は残すから心配すんな!」
「僕の分も残してほしいんだけど……」
呆れ顔になる。
「あはは! じゃあ僕もいっぱい食べますね!」
嬉しい気持ちになった悠斗は勢いよく食べ始めた。
「俺も負けねェぞ!」
バーキィも勢いを戻した。
「ちょっと! だから僕の分がなくなるって!」
オーゼンは慌てて食べ始める。
この夜、食堂に三人は残り、騒ぐ。大半はバーキィの声のせいだが。
途中で酒も飲み始めるが、悠斗は酒を遠慮して自分の部屋へ戻っていった。
部屋に入ると悠斗は倒れるようにベッドに入る。
すぐに寝息が聞こえてくる。色々あって疲れていたのだろう。
「……すー……すー……」
そんな寝息が、部屋の中で静かに聞こえる。
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パチっと目を開けた。
「んー…朝か……」
起きたばかりの悠斗は
上半身だけを起こして何分かボーっとする。
「………よし」
昨日は着替えもせずこのまま寝てしまった悠斗の制服は、少し皺ができていた。
もっとも、着替えは持っていないのだが。
「……お風呂って、この宿あるのかな」
とりあえず下に降りて女将さんに聞くことにした。
下にいこうと階段を降りる途中に女将さんに出会う。
「あら、坊やは早起きだねぇ。どこかいくのかい?」
「えっと、この宿お風呂とかありますか?」
「風呂? そんな豪華なもんはこの宿にはないよ。宿の裏に井戸があるから、そこで水浴びでもしてきな」
「あっそうですか、教えてもらってありがとうございます。行ってきますね」
「はいよ。あたしはあの二人を起こしてくるから、水浴びが終わったら食堂に来ておくれ。朝食くらい出すからさ」
「わかりました」
悠斗は短く返すと階段を降りていく。
宿の裏へのドアに手をかけてあける。
そこは庭のようだった。確かに井戸がある。
「確か、この桶みたいなので水を汲むんだっけ……」
そんな独り言を言いながら水を汲む。
「よし………うー! やっぱり冷たい!」
井戸の水はそこそこ冷えていた。
「でも、段々慣れてきたし、気持ちいいな」
水浴びをしながら顏も洗う。
水浴びが終わった悠斗は食堂に足をむけた。
食堂には昨日と同じ席で二人が喋っていた。
(あれ……?)
近づいてみると、少し喧嘩している風だった。
「ハルトには俺が付き添う、お前は後でいいだろ」
「最初が肝心なんだよ? バーキィだと……」
「俺だとなんなんだよ?」
「……なんでもない」
そこで悠斗が来たことによって会話が終了する。
「なんのお話をしてたんですか?」
二人に訊く。
「ああ、ハルトの依頼の事でな。どっちがついていくか決めてたところなんだ」
「依頼ですか。確かに、最初だから不安ですね」
「だろ? だから、どっちがついていくか決めてたところなんだが……」
そこで間をおいて、オーゼンを見る。
「ハルト君、君はどっちについてきてほしい?」
オーゼンにそう聞かれた。
「えっと……僕は……」
悠斗が答えたのは




