九話「初めての、魔法陣と言う名の魔法」
目の前に並ぶ、そこら辺で見つけた葉っぱに乗せた大量の肉、防具の素材になるらしい大量の鱗、武器の素材になるらしい爪。
内臓はかなり気持ち悪かったので骨と一緒に埋めてしまった。
飢餓を知る者が見たら殺されそうな理由と行動である。
「あっ!
味…というか調味料がないッ!」
一応金属らしい「銀龍の鱗」を鉄板として銀龍の血でいい感じに湿ってた土をこねて作ったかまどにはめ込み、適当にそこら辺の木をそれにぶち込んでから消費魔力10くらいの炎を放って、熱くなった鉄板に十徳ナイフで小さく切った龍肉を乗せ、十徳ナイフでそこら辺の枝を削り、マイお箸が完成した時にそれに気づいた。
貰ったのは食料と水なので、塩も醤油も味噌も無いのだ。
オマケに現在地は森の中な為、調達するのも難しい。
行くなら海がよかったなぁ、塩取れるし。
しょうがないので、支給された食料にあった中でも味の濃そうな「サバには味噌っ!!」と書いてある缶を十徳ナイフで開け、汁以外を全部平らげ、その汁をタレ代わりにして食う事にした。
焦げ目の付いた龍肉をサバ味噌ダレの中に入れ、箸で掴んで口に放る。
サバ味噌ダレと肉汁の混ざった物が龍也の口の中に広がった瞬間、
ボォッ
龍也の全身から爆炎が迸る。
「こ、これはッ!?
まさか、銀龍の肉が俺の適合食材だったのかッッ!!!」
……。
虚しい。
見てる人いないとつまんねー。
にしてもこの肉美味い!
噛むと血の塩分の所為か濃厚で深みのある、スープのような肉汁が広がる為、一口目でサバ味噌ダレは不要になっていた。
その後、俺は気分が悪くなるまで龍肉を食い続けた。
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木の棒でタブレットで調べた「亜空間操作」の魔法陣を地面に書く。
「亜空間操作」は一度使った後でも魔力を流せば何度でも使える優れた魔法陣の一つ…らしい。
「あ!アホか、俺……」
書き上がった所で気づいた。
地面に書いたら持ち運びできねえ。
放置したら通りすがりの誰かに消される可能性すらある。
えぇ…何で書こう?何に書こう?
材料は、龍の血がいいな。
……何に書こう?
直接体に書くか?
服に書くか?
龍也は寝る時はパジャマではなく普段着で寝る派の為、着てるのはTシャツと短パンとトランクスだけだった。
結局、悩んだ末に俺が「亜空間操作」の魔法陣を書いたのはーー
ーー「サバには味噌っっ!!」の缶詰のフタだった。
缶の方は一応、サバ味噌ダレを入れたままにしておいた。
出来上がった魔法陣のサイズが小さかった為か亜空間の入り口はあまりにも小さく、龍の肉は物凄く食べやすいサイズになった。