四話「俺の運」
『お主らに配布した魔具は中級から宝具まである。
上級以上だった者はかなりラッキーじゃぞ。
ちなみに宝具は二つか三つしかないから壊さんようにな』
「やった![雷光のイアリング(上級)]って強そう!」
「うわっ、俺の"虹"とか付いてんのに中級なんだけど………」
「さ、[簒奪のナイフ(上級)]………」
金色の指輪の説明には[爆炎の指輪(上級)]とあった。
爆炎って何だろうか?
強めの炎という認識でいいのだろうか?
それとも爆発の時の炎なんだろうか?
武器の時も二等級だった事から俺は運が良いようだ。
にしても、
「またお前か、デュランダル。運良すぎだろ」
「マジふざけんなよ……。
俺なんて錆びた鎌で中級魔具だぞ」
「いやいや、俺なんて木刀に中級だぞ」
「それは悲惨だな」
「だろ?だからどっちか交換してくれよー」
「嫌に決まってんだろ!」
デュランダル君が大声で叫ぶ。
[聖剣 デュランダル]に続いて"簒奪"なんて言うテンプレチートの武器を手に入れてしまったらしいデュランダル君は、ひたすら人々の嫉妬と羨望を集めている。
前はカツアゲされそうだと思ったが、あの二つが有れば返り討ちにできそうだ。
『それではスキルの方のチートを授けるぞ。
ほい!』
「「「…………」」」
何も変化がない。
え、これ本当にチート貰えたの?と誰もが思っているだろう。
「あの!」
誰もが戸惑っている中、声を強張らせながらもゼウスに話しかけたのは"俄かの人"だった。
『なんじゃ?』
「どんなスキルかってどうやったら分かるんですか?」
『ああ、そういえば言っとらんかったの。それで反応が薄かったんじゃな。紅いタブレットの赤外線を自分に当てたらステータスが見れるぞ。
……うむ、せっかくじゃから今から一時間自由時間を与えよう。
人に危害を加えなかったら何をしてもよいぞ』
「「「!!!」」」
ゼウスがそう言った事により、魔具を選んだ者はすぐに、スキルの者はタブレットで確認してから、各々自分のチートで様々な事をし始め、あっという間に騒がしくなってしまった。
「おっ、【音速】ってチートなんじゃね」
「【光魔法】!魔法使える!」
「よっしゃ、黒龍◯撃ってやるぜ!」
「じゃあ俺は霊◯かな」
「僕はかめは◯波だあああああッッ!!!」
「エクスペクト・パトローナ◯ゥゥウウウッッ!!!」
俺は人の少ない、つまり中心であるゼウスから離れた所でそれらを見ていた。
うわっ、あのカード並べてる人は絶対良い能力持ってるよ。
チラッとカードに「神の左手悪」とかあるの見えたし。
絶対「神の左手悪魔の右手」だろ!
どういう効果だ?治療と攻撃、かな?
くそっ!赤外線が届かん!
あ!あの挙動不審気味の人!
あのブレスレットなんか高そうだし、宝具か?
……同じく赤外線が届かん。
要注意だな。