二話「行き先は無人島ならぬ無人界」
起きた者の中には混乱して暴れ出す者もいたが、おっさん達に説得された結果、現在静かにこの状況の変化を待っている。
……………
………
…
ピカァァアアッッ
「うおっ!……なんだ?」
全ての人が起きてからどれだけ経った頃だろうか。
突然、人が集まってる場所のだいたい真ん中辺りが光りだす。
そして、そこに髪も髭も服も真っ白な70歳くらいのお爺さんが現れた。
お爺さんは全体をぐるりと見回した後に『うむ、全員起きておるな』と口を動かさずに言った。
感覚としては脳に響く感じだった。
他の人もそう感じたらしく、近くの人に驚きを露わに話しかけている者は少なくない。
『儂はお主らが神と呼ぶ存在の一人、大伸ゼウスじゃ』
神キタァァアアア!!!
そして、なんとゼウスゥゥウウウ!!!
龍也以外の者たちも、ほぼ全員が似たような反応をしていた。
それもその筈、彼らのほとんどが異世界云々書いてあるアンケートに真面目に回答するような厨二病患者なのだから。
『お主らも薄々感づいているであろうが、この場に呼ばれているのは昨夜のアンケートで最初に「YES」に丸をつけ、最後まで記入した者たちだ。
まず、あれが本気で書いたわけではない者、帰りたい者は帰してやるので手を上げよ』
それを聞き、一部の者たちが手を上げていく。
その数、一、二、三……七人。
納得できるが納得できない数である。
かく言う俺も、何を書いたか覚えていないと言う不安、どんな内容だったか覚えていない不安、家族と今生の別れになるかもしれない不安などでかなり迷ったが、結局は「元の世界で退屈な毎日を送るよりこっちの方がいい!」「こんなチャンスは二度とないに違いない!」という考えから手を上げない事にした。
実際は「手を上げたら不興を買って殺されるかも……」という思考が8割を占めていたが。
『……七人か、意外に少ないの。
ほい!』
ゼウスがそう言った瞬間、
「「「!?」」」
彼ら七人は消えていた。
ゼウス以外の全員が驚愕の声を上げる。
この瞬間、全員が目の前の白髪のお爺さんが神である事を信じていた。
『うむ、今のでほとんどの者が儂が神である事を信じたな。
それでは、アンケートの内容がうろ覚えの者もいるであろうから簡単に説明するぞ』
ええっ!
説明無しよりはありがたいけど細かく説明して欲しいんですけど!
『まず、お主らが行く異世界に人間はいない』
……え?
『その異世界は最近生まれたてで、ある神によって住む星を作られ、お主らの世界や別の世界から動植物や魔物を連れてきたのだが人間がいない。
その為、その世界に行く人間が必要なのだ。
それがお主らだ。
わざわざ言語が違うと困ると思って日本人限定にしたんじゃ、感謝せいよ』
………人いないんかいッッ!!!