一話「イヤな予感」
(俺、神崎龍也の朝は早い。
早起きしないと犬の散歩をする時間が無くなるからだ)
そんな事を考えられるほど意識がハッキリした状態で起き上がった時、ある事に気付いた。
……布団が無え、枕も無え、ベッドも無え、部屋も無え。
………ていうか白ッ!そして眩ッッ!
俺は白い光の空間にいた。
「う、うぅぅ」
しかも他に人がいた。
たぶん100人くらい。
ほぼ全員がパジャマなどの寝る時の服装である事から彼らも寝ていたようだ。
「おう、お前も起きたか」
そしてすでに起きてる人も何人かいた。
話しかけてきたのは会社員とかやってそうなおっさんだった。
え〜、その横の"できる女"っぽい人に話しかけられたかったなー。
言わないけど。
「あ、はい」
「ちょっと聞くぞ。
俺や他の起きてる奴もそうなんだが、お前昨日異世界云々書いてあるアンケートに答えたか?」
……頭大丈夫かな、この人…たち。
でも周りの人たちも真剣そうだから正常なんかね?
「え、ちょっと記憶に無いですね」
「昨日の12時にきたメールに覚えは?」
12時、12時かー。
…………ああ!
そういえばあったなー。
異世界云々書いてあったよたしかに。
……ただ、記念すべき100回目の異世界関連アンケートの次の次の次の次くらいだったから印象薄すぎて忘れてた。
「……たしかにあった気がします」
「そうか、ありがとう」
そう言って、おっさんは次の目が覚めた人のところに歩いていった。
首を縦にブンブン振ってる様子から、どうやらその人もアンケートに回答していた模様。
………え、あのアンケートマジで異世界に行くヤツなの?
やっべえ、何書いたか覚えてねえんだけど。