召喚獣装備
たっぷり2時間練習をした結果早撃ちについてはかなり程度の自信ができた。今は0.5秒あれば魔力弾を撃つことができる。
「早撃ちはできるようになったけど…やりすぎたかな?」
結果を手に入れる代償に目の前は穴だらけになっていた。
「穴って動物が住処にしたりするから大丈夫かな?」
無理やりだが自分に言い訳をしてその場を離れ、今度こそクエストに向かう、ターゲットを探してみるとすぐに見つかった。今俺の目の前には三匹のゴブリンが武器を構えている。今回は早撃ちの成果を試すためもあり正面からやりあうことにした。ゴブリンの見た目は150cmほどの身体にボロボロの布を纏わせている。武器はそれぞれ湾曲した短刀、弓、棍棒といった具合で前衛2人がでてきて後衛である弓持ちは後ろから狙い撃つつもりだろう。
「意外と統率が取れているな。でも、関係無いな。」
瞬間手を動かして発砲。後衛にいたゴブリンの頭が吹き飛んで赤黒い血が吹き出す。前衛にいたゴブリンは何があったのか理解出来無いまま硬直、その隙を逃さずに連続で発砲すると弓持ちと同じ結末を迎えた。
「呆気なかったな、あと17匹か。ゴブリンの魔石は胸だったかな?」
そう言いながら剥ぎ取り用のナイフで胸から一つずつ魔石を取っていき、ゴブリンの素材も剥ぎ取る。魔物の討伐には魔石の納品が必要だ。魔石とは魔物が体内で生成したもので一般的に魔物の“心臓”となる。とはいえ頭を吹き飛ばしたり呼吸出来なくしたりと人と同じような末路を辿らせることができ、種で魔石の波長が異なるらしいので仕分けも可能だ。また普通の動物が魔物になる事も良くあるらしいがその辺りのメカニズムはよくわかっておらず、未だ研究されているらしい。初戦を終えた後、すぐさま他のターゲットを探すとこれがまたすぐ見つかること。見つけた端から瞬殺していくとあっという間に20の魔石が手元に揃った。これでゴブリンの討伐は完了だ。まだまだ日没には時間があるので次はオーガの討伐に向かう。次のクエストで少し試しておきたいことがあるのでクーロンを召喚する事にした。
¨バハムル召喚¨
「おや、主殿久しぶりじゃの。」
「久しぶり?別れてから半日しかたってないぞ」
「おお、忘れておった。この世界と魔界とは時間の流れが違うんじゃったな。」
クーロンから聞くと魔界では1ヶ月もたっていたらしい。その為召喚されて戻っても大した時間は過ぎないとのことだ。クーロンに試したい内容を話した後オーガを探す、今度はゴブリンほどホイホイと見つからず一体探し当てた時には15分経っていた。身長が3mもある筋肉ダルマで頭には角がついている。鬼を彷彿とさせる容姿だ。
「さぁて、やりますか。準備はいいか、クーロン。」
「いつでも構わぬぞ」
¨汝の力を我が身に宿し共に戦わん¨
そう唱えると俺の体から膨大な魔力が噴出した。その魔力を身体に纏わせるようなイメージをすると徐々に形を伴っていく。噴出した魔力を全て纏うのにそこまで時間はかからなかった。全ての魔力を身体に纏えたと感じたあと身体を見ると全身に龍の皮膚を思い浮かべる模様を刻んだ黒い鎧を着込んでいた。背中に違和感を感じ見てみると翼が生えており、両手には刃渡り25cm程で龍の爪のような鋭い短剣が握られていた。鎧だが重くはないし動きを阻害するような感じもない、むしろ動きやすくなったようにも感じる。翼に意識を向けるとパタパタと動くが思うようには動かないようでこちらは練習が必要そうだ。そう、今回俺が確認したかったのは召喚獣装備だ。これでどの程度纏えるのか、どんな姿になるのか等を確認してみたかったからだ。
色々と確認していると不意にドタドタと重厚な足音が聞こえてきたので目を向けるとオーガが走ってきていた。
「まぁ、近くであんなことしたらこうなるわな。」
自嘲気味に呟き、物は試しとラリアットを仕掛けてくるオーガをよけながら腕を短剣で切り抜いてみる。
すると空ぶったのかと思うぐらいすんなりと抵抗なくオーガの腕が切断されていた。
「おお、これは凶悪だなぁ。」
「主殿、油断は禁物じゃぞ。」
感激しているとクーロンから注意されたので腕を切断され悶えているオーガに急接近、飛び上がって首を短剣で跳ね飛ばす。するとオーガの頭から血が吹き出し、身体から力が抜けて倒れた。その後はゴブリンと同じ容量でオーガからも魔石と素材をはぎ取っていく。
「召喚獣装備って凄いんだな...」
「いや、すごいのは主殿だと思うぞ?普通は知っての通りまともに纏えはせんしその為に本来の力も引き出せないものばかりだというのに主殿はそれをして涼しい顔をしているのじゃからな。」
イマイチ実感湧かないがそう言う事だろう。とりあえず翼の使い方を習得すればもう少し戦いの幅が広がりそうだ。
8話目完でございます。
時間あけて申し訳ないです。
ちょっと色々用事が重なりまして、、、
スバルの下地作りが続きますがパーフェクトラビット戦に向けて徐々に盛り上げていこうと思います。頑張ります。