教室で
結局私達は同じクラスだった。解せぬ。
「えー、このクラスの担任になりました、黄昏春香
です!皆さんと仲良くなれたらいいなぁ、と思っているので気軽に話しかけて下さいね!」
あの先生は私の敵かもしれない。
どうも、露木律です。開幕早々見たくないもの見ちゃったよ。あー、ありえん。
何がって黄昏先生とかいう先生のスタイルがボンッキュッボンッ、何ですよ。それに比べると私は……あはは、何でだろう目から熱い物が零れて来た……
「私の紹介はコレまでにして、皆の事教えて欲しいな!まずは1番君からよろしくね!」
黄昏先生がポン、と相田君、だっけかの席に手を置く。
自己紹介なんてめんどくさいなぁ、と思っていると聞き慣れた声と名前が聞こえてきた。
「僕は蒼風ユウ。趣味は歌うことで特技はバク中!」
えっ、蒼風君!?
蒼風ユウ
家は大金持ち、お父さんは超有名ファッションブランド社長、お母さんは有名小説家。
皆がいう王子様の様な存在で優しくて可愛い系イケメン。深い青色の瞳と藍色のピンで纏めてある艶やかな黒髪に憧れる女子は多い。
そんな蒼風君が同じクラスなんですねぇ。いやぁ、これは女子が放っておきませんね……
「蒼風君ってもしかして……」
「だよね……?」
ザワザワとざわめきだした女子。
「仲良くしてくれたら嬉しいなっ。よろしくね!」
可愛い。と言う声が後ろや前の席から聞こえてきた。
「うわぁ、すげぇ人気だな……」
それ。本当にそれ。
「これは……ラノベ展開を期待」
なんか言ってるけど聞こえないふり聞こえないふり。
巡り巡って私の番が来た。
「露木律です。趣味は読書、特技は早口言葉です」
「おいおい固いぞ」
言葉使いの事だと良いな。だって理音、私の胸見ながら言ってるし。
「ついでに胸も固いぞ」
「うるさいわこのドルオタめ!!」
どうせ私はアンタみたいに柔らかくないやい!
いいもんいいもん、私は絶壁でもいいもん!
「オレはキミみたいな子、好きだよ」
その声のした方を見るとサラサラの赤髪とルビーの様な赤い瞳。まだ少し幼い顔立ちの男の子だった。
しかもイケメン。さらに隣の席。
「…………理音、席代わってくれない?」
「断る」
やっぱりダメか。
そりゃあ大輔と隣の席になれたんだから簡単には譲ってくれないよね~。
「次は……オレか。オレは赤山誠。趣味は将棋、特技は太極拳だ。よろしく」
ニコリと微笑む赤山君。ヤバい。私この人苦手かもしれない。
終わった……
私の学校生活終わった……
「露木、露木は部活何に入るんだ?」
「私?いやぁ、帰宅部でいいかなぁって」
赤山君の問いにこう答えると赤山君は私の手を掴んだ。
「じゃあオレと同じ陸上部に入ってくれないか?」
「ダメダメ、りっちゃんは僕と同じ部活に入るんだからっ」
ギュ、といきなり抱かれる。
「……蒼風君!?」
状況の判断が出来なかった。
なんで私は蒼風君の腕の中にいるの!?
「ひゅーひゅー、律モッテモテー」
「理音死ね」
「ひっどいなぁ」
ちょ、止めて女子が怖い目で見てる。
「ねー、りっちゃん」
「え?あぁ、いや私は部活に入る気なんてサラサラないしそもそも運動嫌いだし何よりあなた達のことがどうでもいいので丁寧にお断りします」
一息で言うと理音、赤山君、蒼風君はそれぞ
れの表情でこちらを見ていた。
理音は呆れたような表情、赤山君は驚いていて蒼風君は気にもとめてないようだ。
「でも僕は小説部に入るんだけど……」
「お断りしますっ!」
私が彼を押し返すと蒼風君はしょんぼりとした。可愛い。じゃなくて。
「どうして私なんですかっ!」
私の問いかけに二人は顔を見合わせる。そしてしばしの沈黙の後、二人は私を見つめて言った。
「一目惚れってやつ」
「……ふざけんなーっ!」
女子からの嫉妬に満ちた視線と男子からのからかうような視線に私の怒りはデットヒート。理音が大爆笑をしているのを見つけた私は理音を叩いて笑うな!と叫んだ。