隕石投稿
1;名無しさん
隕石w
『東京都上空に巨大な隕石が確認されました。
都民はいち早く避難してください』
レポーターの声が響く。
何度もマイクを落としそうになりながら、必死に状況を伝えている。
少しだけ楽しそう。
俺は、PCに浮かぶ文字列を眺めていた。
2:名無しさん
アホw
3:名無しさん
やばいってw
4:名無しさん
もっとやれw
5:名無しさん
いや、俺達も死ぬぞ?
6:名無しさん
まじやん
7:名無しさん
やばいって
8:名無しさん
>>1マジでお前ふざけんなよ。
死んでも恨むわ
9:名無しさん
>>1孫子の代まで呪ってやる
クソが
10:名無しさん
俺、アメリカに住んでるからモーマンタイwwwwwww
11:名無しさん
アメリカにも落とすよ
12:名無しさん
>>10 は?死ね
俺はコーヒーを飲みながら、再びキーボードを叩き始めた。
目標はロンドン・パリ・北京・ニューヨーク・デリー・カイロ。
満遍なし。
100:名無しさん
隕石w
PCを閉じた。
背もたれによりかかる。
「はぁ」
一人ため息をついた。
天井を見ると、小さなシミがいくつかあった。
「東京・ロンドン・パリ・ニューヨーク⋯⋯」
呟きながら指を指す。
一つずつ消滅していくことを妄想する。
笑みがこぼれた。
このまま部屋の中にいよう。
テレビは見ない。
どうせ騒いでいるだけだ。
混乱はいらない。
この充足感が大切だ。
立ち上がった。
台所に向かい、冷蔵庫を開ける。
冷凍のハンバーグを取り出した。
何の変哲もないシンプルな冷凍食品。
子どものころ、母親が作ってくれた弁当によく入っていた。
新潟の実家にはもう五年は帰っていない。
母は、何をしているだろうか。
ハンバーグを取り出し、レンジに入れる。
四分でセット。
ボタンを押す。
レンジの中が赤く光った。
燃える街のように見えた。
ハンバーグはぐるぐると回っていた。
時計の音が響いた。
一定のリズムを刻んだ。
霧に包まれた時間が過ぎる。
あと一分か。
俺は、タイマーの数が減っていくのを眺めている。
じっと、ただそれだけ。
10
9
8
くだらない。
7
6
5
4
どうでもいい。
3
2
あと一分あったほうが良かったかも?
1
ハンバーグは隕石に押しつぶされた。




