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無料で報復?  作者: ねこまんまときみどりのことり


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2/13

領地への支援

 洪水の後、領地をどうして良いか分からず、ギャマイラス伯爵夫妻は悲嘆にくれていたそう。領地には代官もいるそうだが、こんなの大きな損害は初めてで慌てるばかりだと言う。



 かと言って、夫妻も資金繰り(お金を借りる為)で領地へ行けず、息子のダグラスは王宮から戻らないと言う。

(家が潰れても良いのかしら、ダグラスは? この案件早まったかしら?)


 そんなことを思いながら、準備を始めるレアナ。



 レアナは伯爵に幌付きの馬車を準備して貰い、彼女の従者のハルと共に、最低限の食料や荷物を持って被災地へと向かった。彼女は揺れの強い、幌の中に揺られながら移動をする。


 幌から見える景色は畑の緑が目に優しく、とても穏やかに思えた。

(被害のない場所は、何て豊かなのかしら? 報告だとかなり被害は大きいのよね)


 そして憂いを帯びたため息を一つだけ溢した。




 朝に出て夕方に到着する、そう遠くはない場所だ。





「みなさん、遅れてごめんなさいね。私はギャマイラス伯爵家の嫁レアナと申します。

 まずは皆さんに食料とスープを渡します。全員分ありますから、まずは並んで下さい」


「助けに来てくれたのですね。あぁ、神は私達を見捨てていなかった……」



 領地の村人達が少し安堵しているのが分かった。

 村長の近くにいた初老の代官ゴルドンも、走り寄り頭を下げてきた。


「奥様、申し訳ありません。私の力が及ばず」

「謝罪は後よ。まずは食料を配りましょう」

「はい。お任せ下さい!」




 レアナとゴルドンは、食料配布を声を張り上げて呼びかけた。


 乗って来た馬車の幌の中には、大きな日除けの布の下に食べ物がいっぱいに積み込まれていた。


 丸パン10個とスープの入った保温水筒のセットを一人一人に手渡す。


「人数分ありますから、一列に並んで下さい」


 再度声をかけながら、ゴルドンと食料を手渡していく。列の整理は従者のハルが行う。


「ごちゃごちゃしてると、渡すのが遅くなります。数はあるのでならんで下さい」


 20歳前後に見える黒髪の青年従者は、荷台から簡易テーブルを出して来て、レアナと村人達の間に置く。




 配給された者は「こんなに良いのか? 全員に当たるのか?」と、心配そうに見守っていた。


 村人の仲は悪くないようで、少し安心する。


 レアナは馬車の方に時々移動して、何か独り言を言っているようだった。片手にメモがあったので、個数を確認しているのかもしれない。


 可能馬車から配給セットを取り出し、借りた二輪車にそれを積んでテーブルに運ぶ。先に食料を食べた婦人達が、自主的に手伝ってくれたので、どんどん作業は進んでいった。


 

「こんなに食料を運んでくれるなんて。集めるのも大変だったでしょうに。感謝します!」


「倉庫の小麦も流されて……。ゴルドンさんが小麦と調味料を買い付けてくれて、畑に残っていた野菜を煮て食べていたのです。でもそれも尽きかけて、殆どお湯の雑炊で過ごしていました。本当に、本当にありがとうございます」


「この水筒は魔道具なのね。温かくておいしい」

「ありがたいねぇ。うっ、うっ、美味しい」



「ありがたいなぁ。でも、いつ結婚したんだろう?」




 水筒は冷温保温が効く魔道具だ。どれも新品ではないが、買えばかなり高価な物だった。


「水筒は返さなくて良いわ。私も前に働いていた所で貰ったのよ。明日はスープを作って、それに入れて渡しますから、忘れないようにね」


「「「「ありがとうございます。奥様」」」」




 結果として、被災地から動けなかった村人は100人。逃げられる者は、他の場所へ非難をしたようだ。


 馬車がない者や子供や老人など、徒歩で遠くまで移動できない者が残されていたようだ。


 集会所には家を失った30名が寝泊まりし、家が残っている者はそこへ寝に戻る。


 けれど洪水後の堤防が直っておらず、雨や水位の上昇で再被害が起きる可能性がある為、変化があれば伝える見張りを交代で行っていた。


 寝ずの番で起きている若者達は、フラフラしていた。




 老代官ゴルドンは出来る限り頑張っていた。

 予算を使って食料を買い、婦人達と炊き出しをしていたが、もう資金は底を突いていた。

 伯爵夫妻に連絡をしたが、未だ返答がないと言う。


 いくら優秀と言えど、彼一人では対応出来ないのも頷ける。伯爵夫妻は伯爵夫妻で、必死で資金調達に走り回っているのだろう。


 そもそも伯爵家の資金がカツカツだったのは、ダグラスの散財だと言う。40(歳)近くに奇跡的に生まれた子供を甘やかした結果らしい。

 その為に人件費もケチっていたようで……。




 レアナは思った。

 早く対応出来て良かったと。



 彼女は村人達が食事をしている間、幌馬車へと乗り込み、ブツブツと呟いていた。

 すると先程まで空だった車内に、暖かな毛布がどんどんと積み上がっていった。おおよそ200枚以上。


 それはレアナが、車内で使っていた毛布と同じ素材のだった。そっくりそのままの。


 車内の奥には小麦の入った大きい麻袋と、人参と芋、玉ねぎ、干し肉の入った袋が1つずつ置かれていた。


 



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