表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法絵師のミーラークルム  作者: 涼森巳王(東堂薫)
八章 あの日、ほんとは誰だったのか?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/53

42話 街の下に



 これはショックだ。

 ララベラ姫さまと仲よくなったし、アンディラさまの結婚もうまくいってほしいし、ジルブラン家には肩入れしてたのに。何かしらの陰謀にこの家が加担してる?


 フィーリオさんはチラリと室内を流し見て、まだ姫さまがニヤニヤ笑ってるのを確認すると、小声でささやいた。どうでもいいけど、この人、大人の色気がある……兄さまより?


「ジルブラン家じたいはおそらく、誰も関与していませんよ。ただね。古地図を見ると、この家には一つのきわめてめずらしい特色があるのです」

「古地図? 特色?」

「おかしいとは思いませんでしたか? ヴェネルティア神殿から不正に持ちだされた品物が、どこで保管されているのか。密輸出するにも天候だとか、相手との約束の日取りだとかあるはず。一時的にはどこかへ置いておかなければならない」

「でも、貴族のお屋敷なら、地下室や屋根裏や、人目につかない場所はいくらでもあるんじゃ?」

「貴族の屋敷には大勢の召使いがいる。完全に人目につかない場所なんてないんですよ」

「うーん」


 ごもっともだ。となると、どこへ?


「そこで、古地図です。この街は石灰岩の上に築かれている。石灰岩の性質をご存じですか?」

「えっと、チョークの材料?」

「それは石膏です。石灰岩はやわらかく、雨に溶けるんですよ。だから、この街の下は穴だらけなんです」

「穴? ほんと?」

「地下洞窟です」


 あ、それは子どものころ、父さまから聞いたかも? この街には洞窟がたくさんあって、古い家なんかはそれを物置がわりにしてるとか。うちの工房の地下にも貯蔵庫あったけど、あれはもともと天然の洞窟だ。


「そっか。洞窟か。そこに隠してるんだね」

「それだけじゃありません。古地図によれば、街の地下にある鍾乳洞はかなりの範囲におよび、古にはそれを利用した秘密通路がもうけられていたのです」


 秘密通路! なんか、スゴイ。やだ。ロマンチックぅー。きっと貴族のお姫さまと騎士が駆け落ちするのに使ったんだぁ。


「駆け落ちに《《も》》使われたかもしれませんね。ですが、もっと現実的に言えば、戦の折、王家の人々が万一のとき、逃げ道に使ったようです」


 ……やだ。なんで、わたしの考えわかったんだろ? フィーリオさんって魔法使い?


「魔法使いじゃなくても、君の考えてることなんてわかりますよ。その点は昔とまるで変わってない。夢見がちで妄想癖のお姫さま」


 あれ? 優しい感じでニコリとされると、ドキリとする。困るなぁ。兄さまと同じ顔だからって。

 それだけでもないんだけど。ドキリとしたのは、嬉しかったからだ。フィーリオさんって、ちょっと本心がわからないとこあるけど、その笑顔には本物の愛情がこもっていた。わたしは小さかったからちょっとしか覚えてないけど、きっと、昔、ほんとに妹みたいに可愛がってくれてたんだ。そう思うと、とても嬉しかった。兄さまにフィーリオさん。わたしにもまだ大切な人たちが残ってたんだって。


「え、えっと……それで、その洞窟がなんなんですか? 王さまたちがナイショで使ってたからって、このジルブラン家とは関係ないよ」

「古地図によれば、秘密の通路は洞窟を利用して、街のあちこちに通じていた。そのうちの一つの出口が、この伯爵家のどこかにある。私はそれを探しているんだ」


 納得。たしかに、その通路をベルディナル子爵たちが悪用してるなら、盗まれた品物の保管場所をつきとめられる。なんなら、そこに見張りを立てておけば、子爵たちをその場で捕まえることだってできるんだ。山中ではずっと見張りを置けないし、一網打尽にするなら、こっちのほうがいい。


「そのこと、ジルブラン伯爵は知ってるの?」

「いや、伯爵家の人たちは誰も知らない。秘密の通路で使う鍵らしきものは見つけたが。通路が使用されてたのは、もう何百年も前だからね」

「王家の秘密通路ってことは、王宮に出入り口があるんじゃ?」

「どうやって宮殿に入るの? ちょっと忍びこんでってわけにはいかないでしょう?」

「たしかに」

「ほかの場所も探してみたが、道が崩落して進めなくなっていた。望みをたくせるのは、あとはこのジルブラン伯爵家の出入り口だけなんだ」

「じゃあ、絶対、見つけないと」

「そう」


 うーん。秘密の通路。隠された扉があるとか、そういうことだよね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ