男爵令嬢以外がお花畑になった国の話
私はダキア、貧乏男爵家の養女、やっとこさで貴族学園に入学できたわ。
しかし、私の叔母は王都一の酌婦だ。
叔母からいろいろ学んだ。
男をたらし込む術だわさ。
手始めに、学園の食堂で帽子を被っている奴の頭をいきなりはたいた。
「何、食堂で帽子を被ってんだわさ!マナーを知らない田舎者は立って食えだわさ」
ポンと帽子が飛んだ。金髪があらわになった。呆気にとられている。
男はツンを見せれば上手く行く。夜もじゃじゃ馬だと思うのだろう。
シーンと食堂は静まった。
ここでデレを見せてはいけない。餌は巻いた。退散する。あたしの髪はピンクブロンドだ。目立つ。再会は容易だ。
また、いつも天気の事を話している奴には。
「まあ、王都の男って天気の話題しかないだわさ!」
と聞こえるように言った。
また、剣を誇らしげに見せる男には。
「最近の学説だと、剣を誇らしげに見せる男って、あれが粗末なんだわさ!」
と言ったら。学園の講堂で皆が注目する中で、公爵令嬢たちと対峙することになった。
・・・・・・・・・・・・・・
「マルガリッタよ。ダキアをいじめたな!」
何でか。食堂で帽子を被っていた男が王太子ヘンドリックで、天気の話をしていた奴が、宰相の息子オルトグスで。
剣を見せびらかせていた奴が近衛騎士団長の息子マックスだった。
「ダキアは軍事訓練で軍帽を食堂で脱ぎ忘れた我を注意してくれた!誰も見て見ぬふりを決め込んだのに・・」
「僕はいつも人に嫌われるのを恐れ無難な会話しか出来なかったのをダキアが教えてくれた」
「俺も剣ばかり自慢していた未熟者と教えてくれた」
「「「そんなダキアが大好きだ!」」」
この三馬鹿に対峙しているのは公爵令嬢マルガリッタと各婚約者だ。
私は小金持ちの貴公子をはめたかっただけだ。
あたしは悪女、どうすれば良い。
分からん。こんな事態は想定していない・・・
すると、マルガリッタが口を開いた。
「殿下は男爵令嬢のダキアを王妃にするおつもりですか?」
「・・・・必要だ。彼女の笑顔は民を明るくする」
馬鹿野郎。私は小金が欲しかっただけだ。後、身分は低いが金持ちの男だ!
「左様でございますか。なら、陛下とお父様のお話合いになるでしょうね」
だから、私は介入した。このまま王妃になれる気が少しもしない。
「何言っているだわさ!だいたいね。初恋と結ばれる確率は限りなく低いだわさ!それが一回ぐらいの浮気にもならない子供の恋愛ごっこで何諦めているだわさ!
その可愛げのなさが、あたしに付けいる隙をつくっただわさ!」
「何ですって!このピンク頭!」
「ほら、それ、やっと本音が出ただわさ。その調子で殿下に可愛らしい嫉妬の一つでも見せやがれだわさ!」
「盗人猛々しいとは良く言ったわね!」
「フ~ンだ!」
あっかんべーをしたら、陛下が現れた。
「国王陛下の登場でございます」
「うむ。この騒ぎは一体何だ!」
陛下は白々しく言いやがる。
「カゲから報告を聞いたが、浮気をしているそうだな。ヘンドリックよ。廃嫡の上、北の塔に生涯幽閉、その他は屋敷預かりになる。ダキア嬢は修道院送りになるな」
どうせ修道院送りになるのなら思いの丈をぶつけてやる。
「じゃあ、陛下の責任は?カゲの情報で知っていただわさ。
ここまで殿下を自由にしておいて、北の塔に幽閉やるのおかしくない?」
「な、何を言うか!」
「隣のオーハン王国だとね。王子が浮気しただわさ。それをカゲから聞いたオーハン陛下は熱病なのに即馬車で学園の寮に急行して、殿下を叱りつけて・・・・
それでね。その時の気の激高が原因で陛下は崩御されただわさ!」
「何・・・その話、聞いた事がある」
「その殿下が私の父上がだわさ。後悔して、身重の母を捨てたのだわさ!大金を払ってこの国の男爵の養子にしただわさ!
男って、男って・・・グスン、グスン!」
あら、嫌だ。つい身上を話してしまっただわさ。
「だから、子が過ちをしたら正してやれだわさ!それが親の愛ってもんじゃないだわさ。
母は踊り子だっただわさ!母は承知で殿下に近づいただわさ。親の愛のためならば、不義の子のあたしはいくら不幸になってもいいだわさ・・・いや、男爵の養子にしくれた父に感謝だわさ!」
「・・・何か、ごめん」
「陛下が謝罪したぞ!!!」
「グスン、ダキア様に、そんな過去が・・」
「マルガリッタよ。すまない」
「いいえ。殿下」
何だ。皆、仲直りを始めている。
この隙に逃げるか。
と思ったら、マックスに止められた。
「グスン、この悲劇の王女殿下を胴あげた!」
「ちょっと、感動の筋がわからないだわさ!」
「「「ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!」」」
結局、婚約破棄は起きなかった。
それぞれ愛を育み関係を再構築しているらしい・・・
私は皆の尽力で・・・実父と会うことになった。
☆☆☆オーハン王国
「現オーハン国王陛下の庶子、ダキア様でございます」
「・・・うむ。ゆるりと過ごすが良かろう」
「顔見たからすぐに帰るだわさ!」
気まずい実父との再会を果たした。
これも頭お花畑になった陛下達の働きかけだ。
当時の浮気された婚約者は王妃殿下か。これも困った顔をしている。
隣の王子王女たちも表情がない。
帰ったら何と報告しようか。
『感動の再会だっただわさ』と言うしかないのか?と悩む日々だ。
最後までお読み頂き有難うございました。




