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その12

今日も変わらず、探偵社に行く準備をする。

顔を洗うため、洗面所へ。最近なんだか水がおかしい。

妙にざらついて、ネットリと落ちる気がする。

水質、で、も……


「それ」に気づき、寝癖もパジャマも気にせず車を出した。


――探偵社。


「凛! 凛! 凛!」

「こ、これ見て!!」

急いで凛を呼び出し、「空中に浮遊している水泡」を見せた。

両手が青白く光っていた。


「な、なんか、魔法出た!」

「しまえ。はしたない。」

そう言って凛に軽く殴られる。

ぱしゃん

水泡の制御が切れ、床を濡らした。


……魔法ってはしたないものなんだ。


俺は水道で再確認した。やはり、水泡を作って、空中でふよふよ浮かせられている。

水泡を頭に持ってきて、寝癖を直す。

そうして水泡を上げると、髪の毛は程よくしっとりしていた。

タオルいらず。


「水魔法使えるなら先に言えよ。」

凛は不満げな顔をしていた。

「いや、今朝起きたらなんか使える様になってたんだって。」

「そんなアホなことがあるかよ。」

「大人が使えても、それはガキのことから使い続けた人間だけなんだよ。」

そんなこと言われても、突然使えるようになったし……


深く息を漏らす凛。

「まあ、なんにしてもほどほどにしとけ。魔力切れるぞ。」

そう言われ、素直に水泡の制御を切った。


「魔力って、寝れば回復するの?」

凛は失笑しつつ答えた。

「なわけがあるか。」

「魔法を撃つときには、感情エネルギーを魔力に変換してから撃ってんだよ。映画でも見てろ。」


…… 感情 → 感情エネルギー → 魔力 → 魔法、ってわけか。

だから魔力を貯めるには情動が必要だ、と。


「あと。」

凛は言った。

「着替えてこい。いつまでパジャマでいる気だ。」


――


「そういえば、」

「桃。元気してました?」

咲希はただただ純粋にそう尋ねた。

正直、とても言いづらいことを聞かれたな、と思った。

「まあ、元気そうには見えたよ。」

含みを持った言葉に、咲希は疑問を持った顔をした。

「……魔法。まだ使えないんだとさ。」


凛が苦虫を噛むように聞いてきた。

「……というか、あいつの職業って?」

「ペットショップの店員。」

俺の言葉に怒号にも似た驚きが返ってきた。

「はぁ?!! ペットショップの魔導士だぁ?!」

「あ、あの人、A種魔導士だったんだ……」


「……A種魔導士ってそんなにすごいの?」

咲希は唖然としながら答えた。

「A種は実技があるんで、ちゃんとした魔法使いしか通らないんですよ。」

「で、ペットは癇癪で魔法がでちゃうでしょ? だからそれを止められるA種の魔導士が欲しいんですよ。」


……そんな魔導士が魔法使えなくなった、と。

事の重大さがわかってきた。

彼女の「あの」表情もさもありなん、だ。


そんな彼女にとって、自分の魔法とはどんなものだったんだろうか。

その魔法で人を殺してしまったとき、何を思ったんだろうか。


……空気を変えたくて、テレビを付けた。


テレビでは不知火医師のニュースがやっている。

「あ。凛。成功してますよ?」

「じゃなきゃ困る。このために昔から匿名の告発垢回してんだからな。」


あのグール事件の顛末。

不知火婦人には、「旦那が何か機密性の高い研究をしている」とだけ伝え、

その上で不知火医師の日誌や現場の写真をインターネットにばらまいた。


「結果は医者が捕まって万々歳……か。」

俺は奥歯を噛みしながら言った。

「ずいぶん痛い目見させられたんだ。精々、ムショで冷たい飯食ってろ。」

凛はしめしめと笑っていた。


……これで保釈金積まれて出てこられたら、もうどうしようもないけどね。


さて、

ペットショップに行く覚悟をしよう。

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