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幻想奇譚

滝に五月雨

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


天気予報が外れて、本日は五月雨の様です。時折強く吹く風が左右に揺らめき、全ての温度を奪い去るのです。それでも本日の予定を果たす為に、私はお気に入りの傘を持ち、街へと繰り出します。

最寄り駅に着いて、出口から傘を差そうと致しますと、大きく風が吹き込んで、霧雨に打たれた如く、しっとりと体を濡らしました。もしかすると本日お会いする方の御加減は優れないのかも知れません。別のお方がお呼びになっているかも知れません。けれども会いたいと思ってしまったのです。

そうして辿り着いた先、鳥居を潜ると神楽音の音が聞こえて参りました。溜まる雫に足を付けて、水の弾ける音と共に一歩、一歩。お会いする方の御加減が比較的宜しい事を感じながら、登りあげると、黒の貴人がいらっしゃいました。

「久し振りだね。渡」

「お久しぶりで御座います。梅香の君、暫くお会いしておりませんでしたので参りました。本日の御加減は如何で御座いましょう?」

そう申し上げると柔らかな微笑を一つ浮かべて下さいます。どうやら何かお楽しみがある様で。

「悪くないよ。渡、今日はきっと素敵なものに出会えるよ。その為に縁を結んだんだ」

そう仰ると、霧雨のように優しく、私の頬に触れて下さいました。

梅香の君と別れて帰りの鳥居を潜る際、男坂が御座います。私が出会って来た中では真っ直ぐに伸びた急な坂、という認識。雨天時に下るには少々危険が伴いそうな為、少し躊躇いながら手摺を握ります。するとふと、せせらぎが。梅香の君の庭にも滝は御座いますが、此処から聞こえるとは思えません。視線を動かすと、間近に滝が御座いました。

翳りの差したその真下、苔むした階段の水路から、止めどなく水が流れております。これだけの雨なのです。不純物さえ洗い流し、注がれるのは清らかな純水。山奥に存在する滝が、雨天時のみに姿を現しました。濡れた手摺にしがみつき、その音に耳を済ませます。

五月雨のような天候なのです。付近に人はおらず、木霊するのはただ自然の男坂のみ。今だけの特権。

「気が付いたかな?」

「ええ。私も貴方様と同じ気持ちで御座います」

この雨打たれて、全て洗い流してしまいますよう。

幻想奇譚で、あと二つ程書きたい話があるのですが、今は一つに留めて起きます。

一つはまたきっと行きます。だって第二の故郷なので。

もう一つは書けない気がします。一年に一度なので。


雨の日の参拝は当たり前ですが人が少ないんですよ。

また違った一面を見れて楽しいです。

そうしてたまたま帰り際に見た、小さな滝が綺麗だったのでこの話です。


~書けなそうな、一年に一度の話~

呼ばれたのには意味があると思って参ったんですよ。

ちゃんと意味がありました。

開かれた本殿と神楽殿に感嘆し、祭囃子に恍惚としました。

気を使って下さっていることも感じました。

ただ寒くて……本当寒くて……。

勘違いかも知れませんが、時間になっても始まりそうになかったので、すごすご帰りました。

もしかしたら神楽殿ではなく、本殿だったのかも知れません。

祈祷だと思っていたのは、※宵宮だったのかも知れません。


凄く好きだけど、必ず何処かで擦れ違う。

こんな関係性です。三緒様とは。


※宵宮とは

お祭りの前夜に行われるお祭りの事。

大きな祭の前日に多いそうな。

クリスマス・イブと言ったらしっくり来そうですね。

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