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000 最後の日
息が詰まるような静けさの中、少年は目を開けた。
視線の先にはゲートがひとつ、何も言わずに佇んでいる。
『彼』の言うことが本当ならば、あの奥に、このセカイの核となる空間が広がっているはずだ。
・・・自分はそこで、悠久の時を過ごす。
足が震えていた。
覚悟はずいぶんと前に決めたはずなのに、やはり、僕は弱い。
「大丈夫かい?」
隣に立つ青年が、少年に声をかける。
「君が嫌なら、世界を全て見捨てる選択だってできる。」
突然、ゲートが、ガタガタと音を立てて揺れ出した。
あの奥にあるものが、溢れ出ようとしている。
もうここも、長くはもたない。
「僕は、守るためにここへ来た。・・・行こう。」
「やっぱり君は強いんだね。」
少年は一歩踏み出す。
・・・この行動の先に、僕の未来はない。
それでも、大切な人たちの未来を少しでも守れるなら。
ゲートに手をかける。
少年の物語が今、終わろうとしていた。