私と妃華姉ちゃん
この作品は、昨日、黒楓がやらかした“真っ黒ストーリー”のフォローのお話です。
ブクブクブク
真っ黒いドブ川に真っ黒い毛並みの私の体が沈んだ。
薄く開いた瞼から覗いている瞳はやはり真っ黒。
でも、口から僅かに出たままになっている舌は真っ赤。
もう動かなくなった私を……“私”は少し上から見ていた。
考えてみれば水の中なのに……おかしな話なのだけど、見ていた。
死んでしまった私を。
“おうどん”というものを、つい食べたくなってしまったのだ。
毎朝、店先に並べられる“おうどん”は陽の光を受け、白くツヤツヤしていて私がいつも口にする物どもとはまるで違っていた!
なので、私はそれをちょいちょいと引っ張りながらパクン!としたかったのだ。
でも、罰が当たった。
お店のおばあさんに追われた私はタイヤの下敷きに……
「うにゃああああん!!!」
悲しくて鳴き叫んだらギューッ!!と抱きしめられて、私は温かでお花の香りがする胸の中で目が覚めた。
「暖和! 大丈夫?!」
「おねーちゃん! おねーちゃん!! おねーちゃん!!!」
泣きながら縋り付く私の頭を妃華姉ちゃんは撫でてくれる。
「怖い夢を見たの?」
「うん……死んだ時の……」
「可哀想に……暖和は私とは違って本当に痛い思いをしたから……」
妃華姉ちゃんは2段ベッドの「上の段」に棲息していて、私の鳴き声に反応してベッドをスルリン!と下りて来てくれたのだ。
そう、私達二人は、元は野良の子猫。
三毛猫だった妃華姉ちゃんはとても寒い冬の夜、寝床にしていた田んぼに取り残された藁ごと凍り付いて亡くなり、その次の夏、黒猫だった私は車に轢かれて死んだ。
私達“2匹”は本来、不幸な事故で子供二人を同時に亡くされた東雲ご夫妻の元へ“保護猫”として遣わされるはずだったのだけど、その前に二匹とも死んでしまったのを不憫に思われた神様がご夫妻の娘二人の人生に私達を“接ぎ木”してくれたのだ。
実はこのような事は決して珍しい事では無く、接ぎ木されて命を得た者たちは、その命の尊さを忘れないために前世の記憶が残されるのだ。もちろんこれは、本来は自分の胸だけに納めて置くものだけど、私達姉妹は同じ境遇なので姉妹の間では特別に話すことが許されているのだ。
ただ、この時はまだ……別の人として転生された“お二人”と私達が出会う事になるなんて思いもよらなかったけれど……
私はまだ、人の新しい環境に慣れてなくて心細さが募り、頭を撫でてもらうだけでは足りなくて目で妃華姉ちゃんに訴えた。
お姉ちゃんは「後で人間らしくお顔を洗うのよ」と私の鼻を指でチョン!と突いてから、私の顔を柔らかな舌で“猫なめ”してくれた。
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お姉ちゃんと二人、お揃いの制服でお母さんの前に立つと、お母さんは愛情いっぱいのハグとお弁当をくれる。これが毎朝のお父さん、妃華姉ちゃん、私の儀式だ。
「行ってきま~す!!」と家を出る頃には私もすっかり元気で、一つ上の学年のお姉ちゃんから来週行く宿泊研修について色々と聞いていた。
お姉ちゃんもそうなのだが、子猫の時の私の記憶は“幼児的記憶”で、今の学校生活では“元の暖和さん”の記憶をフル活用している。
“暖和さん”は私と気が合う活発なよく笑う女の子だったみたいで楽なのだけど、妃華姉ちゃんは本来は私に負けず劣らずのやんちゃぶりをおくびにも出さず“姫様”と呼ばれるくらいおしとやかにしている。その分、お家では随分と“ネコらしい”
「お家でのお姉ちゃんをみたら男の子達はきっとギャップ萌えだよ!」ってからかったらネコパンチされた。
そんなお姉ちゃんの“大好物”はキーボードとピアノで、学校では専らこの二つと戯れている。
「暖和のお姉さんが音楽室でピアノを弾いているのを見たわ! ホント、お姫様みたい!! いいなあ~あんなお姉さんがいて」と前の席のしーちゃんから言われて、私もまんざらではない。
本当は軽音入って『SHISHAMO』の曲をキーボードで弾いている方がお姉ちゃんらしいんだけどね……
とにかく来週の宿泊研修はしーちゃんとも同じ班! 人間になってから初めての外でのお泊り……少し不安だけど、はっちゃけちゃお!!
。。。。。。
イラストです。
暖和ちゃん
妃華ちゃん
今のところ考えてはおりませんが、続きが書けそうなお話ですね( *´艸`)
因みに、お話を思い付いたのが今朝でしたので、この二人のイラストが間に合わなくて、過去に描いた全然別のキャラクターの元画からAIに作ってもらいました。
そしてこの画を見ながら二人のキャラクターを作りました。(#^.^#)
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