第4話 心奏(かなで)に降りかかる試練~心奏の"大切な宝"の守護編~
これは、もう1つの日本が舞台の物語。魔法も異能力も使える様になった世界。
特別なその力を、悪事に利用する組織が現れてしまう。それに対し主人公である御堂心奏が数々の事件にに立ち向かうストーリーである。
そして今日も、また異能力を悪用した事件が起きてしまう、、、。
【前略】マリンやレンたちと理解を深め楽しい学校生活が始まろうとしていたが矢先…
まさかこんなことになるとは。。。
私立蕾学園の裏庭で・・・
当学園の教師である伊那美と心奏が互いに敵対視していた。
伊那美と心奏の間には、稲妻がバチバチと走り、臨戦態勢が続く。
その様子を離れたところから見ているマリンたちは何が起きるか予想すらできない状況にあった。
‟あたしは、貴方が許せない。‶と伊那美に向かい言い放つ心奏。
それに反論する様に‶お前程度では、我には勝てない。‶と伊那美が言い返した。
次の瞬間・・・二人が物凄い勢いで衝突する。
二人の拳が正面からぶつかり合い衝撃波が発生し地面にヒビが入る。
校庭には二人の衝突による轟音が響き渡る。
何度も何度も二人は衝突しその度に衝撃波が発生して周辺に被害が出始める。
そんな戦いを目の前で見ながら呟くように一言呟く。
"なんて戦いなの?"とマリンが驚きのあまり心の声が、漏れ出てしまう。
その一方で心奏は、激しい戦いで徐々に、体力をすり減らしていた。
(やばい…このままだとあたしが先にやられる。)と心の中で思いながら、戦況に危機を感じていた心奏。
だがしかし...激しい衝突を繰り返してもなお、余裕な表情で心奏を見る伊那美は、戦いに一呼吸置くと…
「このまま決着をつけるのもいいが…今はやめておこう。」と言う。
その言葉に驚き思わず反応する心奏。
「どういうつもり!?貴女は、何がしたいの?伊那美先生。」と理由を投げかける心奏。
すると、伊那美は一瞬迷った様な表情を見せるが…。
即真剣な眼差しで心奏を見て口を開く。
「我は……BOSSの理想郷を作る為に必要な、あるべき世界を創造する。それが、我に託されたBOSSからの命令だ。そして…何もかもが、BOSSの思いのままに動く理想郷。そして、それを邪魔をするものは、例え神に匹敵する存在で、あろうと容赦はしない。我はBOSSに全てを賭けることができる。例えそれが...命であってもだ。」と伊那美が語る。
心奏は、伊那美の目的に物凄く驚いたが冷静に次の質問を投げかける。
「お前の言うBOSSは...一体何者?」
心奏の問いに眉を一瞬だけ顰め答える伊那美。
「ひとつだけ言っておこう……BOSSの名は、"M"だ。」
伊那美からBOSSに関しての情報をひとつ手に入れた心奏であったが。。。
この後に起きる出来事がまさかのものであるとは、この時知る由もない。
明くる日。。。
伊那美との激しい戦闘に一時終止符を打った心奏であったが…。
あまりに身体へ負荷が掛かる程の攻防戦を繰り広げた心奏は、自身の魔力と体力の回復に徹していた。
”ねぇ?お兄ちゃん…大丈夫?”と兄の心奏を心配する妹の心湊。
”流石に少しこれは...参ったよ。身体も思うように動かせないのは本当に、厄介ね。”と返答する心奏。
激しい戦闘により魔力消費の反動で、身体の自由があまり効かなくなっていた心奏。
そこに、保健の月夜見先生からメールが届く。
”拝啓 御堂心奏様。
理化学部の南聖奈様より、伝言を預かっておりますので、心身ともに万全な状態で、登校が可能になり次第、理化学兼物理部の部屋までお越しください。
追伸…貴方様の秘密は最重要事項として扱うよう、お伝えしておりますので御安心頂けると幸いです。
養護教諭 月夜見茉莉花
敬具。
と書かれていた。
月夜見先生からのメールを見ながら"なんだろう?一体?"と思い耽る心奏。
数日後。。。
心身ともに万全な状態になった心奏は、学園にある理化学部へと急いだ。
”ココが理化学部か…初めて入るから緊張する”と内心不安な心奏。
”リラックスしなきゃ。お兄ちゃん。”と兄の心奏を落ち着かせようとする妹の心湊。
すると、目の前の部屋の扉が開き中から南 聖奈が姿を見せる。
「初めまして、御堂心奏さん。いきなりですが渡したい物があります。コレをどうぞ。」と黒い箱を渡される。
不意に聖奈から渡された黒い箱を開ける心奏。
「これは...腕輪ですか?」
心奏が渡された黒い箱を開けるとそこには...腕輪が入っていたのだ。
「それは、月夜見先生より依頼を受け作成しました。制御装置です。」
聖奈は、月夜見先生から直々に依頼を受け作ったと説明する。
この時、心奏が受け取った腕輪は、理化学部にできる最大限の技術を使用した心奏にしか適合しない腕輪型の魔力制御装置を、開発することができたのは・・・。
南聖奈率いる理科科学等に、精通した部員たちによる賜物であった。
心奏の顔色を少し伺いながら、聖奈が心奏に提案を持ち掛ける。
「少し、試されてはどうですか?使い勝手や癖を見つけるためにも...」
聖奈に提案をされた心奏は、学園内にある訓練室に向かい制御装置の試運転をするのであった。
「では、試運転と参りましょうか。心奏さん。」
聖奈に案内され訓練室の中へとやってきた心奏は、多少の緊張感を持ちながらも制御装置の試運転を始めることに・・・
「魔力、解放!!」そう叫んだ心奏の周りに紫色のオーラが現れる。
心奏から少し離れた場所にいる聖奈が心奏に使用感について尋ねる。
「どうですか?心奏さん。 使用感の程は…。」
それに対し”無駄に魔力消費されてないからあまり負担に感じないし、身体が楽だよ。”と返答する心奏。
そして、更に聖奈は提案を心奏に持ち掛ける。
「それでは、少し実践してみては如何です?耐久面等を見ておきたいので…お願いできますか?」
だが、心奏は少し疑心暗鬼になっていた。
「分かりました。聖奈さん。大丈夫なんですか?幾ら訓練室とはいえ、全力を出してしまうのは…。」
心奏からの疑問について丁寧に、説明する聖奈。
「いえ、問題はありません。この訓練室自体、核弾頭の爆発の衝撃を受けても、傷ひとつ付かない耐久性が有りますのでご遠慮なさらずに...」
数秒間合間を置き…心奏が口を開く。
「では、お言葉に甘えて。今出せる全力を…」
すると聖奈は、心奏に近付き耳元で囁く。
「それでは私たちは、離れた部屋で様子を見ておきます。」
そう心奏に伝えると妹の心湊を連れて別室へ移動をした。
それから、部屋に誰もいないと確認した心奏は現状出せる最大限の力を解放する。
「全開放!神竜の咆哮!」と叫ぶ。
心奏の構えた右手の手の平から特大のレーザー光線が発せられ、訓練室の壁へとぶち当たる。
ドカンと爆発音と衝撃が訓練室内中へと伝わる。
「これがあたしの力…。なんて威力なの。」
心奏は、自身の解放した全力があまりにも強大なことに、驚き一瞬現実ではないのかと、錯覚していた。
少しすると、妹の心湊と聖奈が訓練室に戻ってきた。
開口一番に”お兄ちゃん?大丈夫?すごい衝撃だったけど…”と話しかける妹の心湊。
”これでも、抑えた方なんだけど…流石にやばかったかな?”と心配する兄の心奏であった。
心奏は、制御装置で身体に掛かる負担を最小限に抑えながら本気を出すことが可能となったのだが。。。
それ以上に心奏は、考えなくてはいけない新たな問題点が見つかるのであった。
果たして、見つかった新たな問題点とは一体何だと言うのか。。。