第3話 心奏(かなで)に降りかかる試練~理解への道程編~
これは、もう1つの日本が舞台の物語。魔法も異能力も使える様になった世界。
特別なその力を、悪事に利用する組織が現れてしまう。それに対し主人公である御堂心奏が数々の事件にに立ち向かうストーリーである。
そして今日も、また異能力を悪用した事件が起きてしまう、、、。
大幅な魔力消費の副反応によって、身体が女性化してしまった心奏。
次に待ってた試練は、心奏にとってまさかのものであった。
二人は保健室でのやり取りを終え、教室へと戻る途中に心奏の幼なじみの三雲マリンに出会うのであった。
「あ、心湊ちゃん。おはよ…って隣にいる美少女は誰?」
マリンは目をぱちくりしながら妹の心湊に兄の心奏の事を聞いてしまう。
妹の心湊は迷うことなく"私のお兄ちゃんだけど。"と返すとマリンは目を丸くしながら驚いた様子で言葉を発する。
「噓…。かなちゃん!?えっ可愛すぎるんだけど…一体どゆこと?ねえねえどゆこと?」
更に疑問が増すばかりのマリンに当事者である兄の心奏が一連の流れを説明するのだが…。
「説明をすると長くなるから端的に言うと...魔力消費の副作用で女の子になってしまったんだけど…。うぅ…あたしやっぱり説明するの苦手だわ。」
いざ説明をしようとすると声が小さくなってしまう兄の心奏。
その様子を見ていたマリンは、"成程ね"と状況を理解して頷いたのであったが...
「ふむふむ。大体は察する事できたよ。けど・・・”あたし”って言うかなちゃん可愛い♡」
”あたし"と言ってしまった事をマリンにからかわれてしまった兄の心奏は思わず赤面してしまう。
そこへ何やらかの風の噂を聞きつけた心奏のクラスメイトである水瀬レンがやってきた。
「おーい。三雲。なーにかわい子ちゃんと仲良く話してんだ?」
テンション高めの雰囲気でマリンに話しかけるレン。
「え?なんだぁ…水瀬か。見てわかんないの?かなちゃんだよ。」
心奏を指さしながら話すマリン。
しかしレンはマリンの言葉を聞くが早々"ニヤリ"と心奏を見つめてはいやらしく
「ほう。この美少女があの心奏…だと…?ふむふむ。それにしては...中々上玉やないですか。誰かさんと違って」
口を開ければニヤニヤしながら下心ありげな態度で心奏を見つめる続けるレン。
そんなレンの態度に嫌気がさして来た兄の心奏は思っていることを口にする。
「え?なに?そんなにジロジロ見てんの?ℍ!!」
心奏は加減を忘れてガチトーンでレンに対して言い放ってしまうのだが…
"はぁ?そんなんじゃねーから。"と誤魔化そうとするレンであった。
そんな感じのたわいもない普段通りの会話をしながら学校生活を普段通りに送っていた心奏にある魔の手が迫っていた。
それはその日の昼休みであった。心奏たち四人は学園の屋上で仲良く昼休憩を過ごしていた。
"かなちゃん。どう?慣れた?”と兄の心奏を心配する様子のマリン。
”だいぶ慣れたよ。色々と手伝ってくれてありがとマリン。”と返す兄心奏。
”それじゃあ、そろそろ教室に戻るか心奏。
友人の水瀬レンが言い出し皆で学園の屋上を後にしてそれぞれの教室へと戻る心奏たち御一行であったのだが...
教室へと到着した心奏は何やら異変に気付き声を上げる。
「ん?あれ?…おかしいな。確かこのカバンの中に入れてあったのに」
カバンの中を出しながら探し物をする心奏。
「どうしたの?かなちゃん。何探してるの?」
心配そうに心奏に問いかけるマリン。
心奏は、探し物をしながらマリンの言葉に返答をする。
「”大切な宝”が入った小さな箱がないんだよね。いくら探しても見つからないんだよ。困ったな。」
焦りをあらわにしながら至る所を探す心奏。
そこへいつも、クラスの端の席に座っている。
ある女子生徒から心奏たちが驚くようなことを聞いてしまう。
「あのー。私。そのカバンを開けてる人見ました。二人でカバンを囲うようにして、なんかしてるのはわかったんですが…その後に、校庭の方に逃げるように走っていきました。」
ある女子生徒から大きな情報を聞き手に入れた心奏たちは急ぎ足で校庭へと向かった。
校庭に到着するとそこには...怪しげな五人組が心奏のカバンから盗んだ箱を持って話しているのが見えた。
″頭。例のものを盗ってきました。これで奴は終わりですね。″
そう奴らが話しているところへ到着する心奏たち。
すると、五人組がこちらの気配に気付き心奏の方を見る。
″どうしてここがわかった。″と取り巻きの一人が叫ぶ。
対して心奏は冷静に
「ウチのクラスメイトが偶然見ていたからね。事細かに詳細は聞いた。」
五人組の一人が頭を抱えながら叫ぶ。
「くっそー。迂闊だった。仕方ない...こいつらを消さなければ」
ある一人の取り巻きの叫びにプツンと怒りを覚え、心奏は深呼吸して五人に対して言い放つ。
「そうはさせないわ。早くあたしのもの返してくれない?それはあたしにとって大切なものなのだから!早く。」
強めな口調で心奏が取り巻きたちに対して叫ぶが...
「ならば、ここにいる五人全員を倒せたら考えなくもないな。」
取り巻きのリーダー格が嫌な笑みを浮かべながら言い放つと心奏を取り囲み始める四人の取り巻きたち。
だが…"遅いわ‼"と呟いた心奏は目にも留まらぬ速さで取り巻きたちに攻撃を加える。
目の前で起きた一瞬の出来事…。
あまりの速さに、レンたちは今何が起きたか理解できていない位一瞬の出来事であった。
すると、取り巻きのリーダー格は冷静な感じで心奏に近づき
「ほう。手下たちを倒したか…だが我を倒せるかな?」
心奏に挑発をかましてくる取り巻きのリーダー格。
だが…心奏は何かを察したのか、冷静な判断で取り巻きのリーダー格の正体を見破ってしまう。
「まさか、あなたともあろう人がこんなことをするなんて…思いもしませんでしたよ。」
心奏の発言に被っていたフードを脱ぎ取り巻きのリーダー格の顔が露わになったのだが・・・。
レンたちがあまりの衝撃に絶句してしまい。
マリンに関しては、今にも泣きそうな表情になっていた。
「伊那美先生。何故こんなことをしたのですか。あなたは教師なんですよ!」
心奏の叫び声が校庭に響き渡る。
″我は、ボスの命令に従ったまでよ。”と話す伊那美。
その言葉に何かがプツンと切れた心奏。
そして心奏の怒りの現れなのか握り拳に稲妻バチバチと迸る。
「あなたを倒さなきゃいけないのですね。失望しました。」
強めな口調で言い放つ心奏。
だが…それを気にも留めず″この箱本当に大切なものなの?我にはそうは見えないが″と箱をあらゆる角度から見る伊那美
「それ以上乱暴に扱うな!」
心奏が叫んだかと思うと目にも留まらぬ速さで伊那美の眼前まで移動し“”大切な宝”″を奪い取り元いた場所へ戻る心奏。
“何をした!?“と驚き声が漏れる伊那美
“”大切な宝”“を持ちながらマリンの前まで行く心奏。
「マリン。コレを頼む。」
一言云うと直ぐに伊那美の前に戻る心奏。
この一連の出来事に周りが皆静止してしまうのであった。
そう…ただ一人妹の心湊を除いては…。
ここで伊那美が口を開く
「お前は一体何者だ?何をした?応えろ!」
驚きを隠せない様子で心奏を問いただす伊那美。
「ボク…いやあたしは。ただの人間よ!唯一、人智を越えた能力を使える限られたものだ!」
叫ぶ心奏の周りに稲妻が迸る。
バチバチと音を立てる稲妻。
まるでそれは、心奏の怒りがそのまま具現化し稲妻として心奏を包み込んでいくのであった。
果たして、心奏の怒りの矛先である伊那美との戦いになってしまうのであろうか。