第25話 心湊(ここみ)と心奏(かなで)の関係性と心湊(ここみ)の心境
これは、もう1つの日本が舞台の物語。魔法も異能力も使える様になった世界。
特別なその力を、悪事に利用する組織が現れてしまう。それに対し主人公である御堂心奏が数々の事件にに立ち向かうストーリーである。
そして今日も、また異能力を悪用した事件が起きてしまう、、、。
【前略】
並行世界でロボット兵を無事に倒して、現実世界に帰ろうとする二人は、再び扉の中へと歩みを進めていくのだが・・・
そして無事に、現実世界へと戻れるのか?
心奏と心湊は小さな光を目印に歩いていくとまた依然と同じく眩い光に包まれる。
眩しさのあまり目をつむると…
目の前には姉カトレアがいた。
心奏は、姉の姿を見るとすぐに姉の元に駆け寄って、状況細かく説明する。
「姉さん。あたしたちは、無事並行世界より帰還いたしました。実は、意外な救世主の知識を借りられて今こうして無事に戻って来れました。」
カトレアは心奏のその言葉を聞いて、二人をぎゅっと抱きしめてひと粒の涙を流して
「よく無事に戻って来れたね二人とも。一旦は、これで一安心だね。」
そう言ってカトレアは、扉の前でずっと二人が戻ってくるのを今か今と待っていたというのだ。
そして、心奏たちは無事任務を終えて、名も無き島を後にするのだった。
―一週間後 心奏の家―
並行世界での戦いから約一週間後。。。
心奏と心湊はいつもと同じ生活に戻って、長期休暇の後半を満喫していた。
だが...あの一件以来心湊にある異変が、起きていたのだ。
いつも通りに心奏は朝起きると心湊が朝ご飯を準備してくれていた時の事だった。
「おはよう。心湊。」
普段通りに心湊に挨拶をする心奏。
「あ。おはよ。お姉ちゃん!今ご飯できるからちょっと待っててね。」
普段通りの返しをされて、数分後朝ご飯を持ってきた心湊は、テーブルにご飯を置く瞬間…。
少しふらつき倒れそうになるのだが…
間一髪のところで心奏が‘‘あぶない‘‘と駆け寄って妹の心湊の身体を支えようとした時だった。
ドクンっと明らかに妹の心湊の心臓の鼓動が聞こえたかと思うと…
何故か、妹の心湊は頬を赤らめている。
その様子を見た心奏は、心配そうに妹の心湊に話しかける。
「どうしたの心湊?大丈夫?もしかして、具合悪いの?」
心奏はいつもと様子の違う妹の心湊に問いかける。
だが…心湊は、なにか普段は違う返し方をしてしまう。
「いや…。違うの。お姉ちゃんのことを考えるとね。急に心臓がドクンってなるの。なんか変だよね家族なのに…。」
心湊は自分が感じている鼓動にある違和感を持ち始めていた。
それは用事で学園の保健室を訪れている時にもその違和感が訪れる。
「月夜見先生。おはようございます。」
心奏は、いつもと同じように月夜見先生に挨拶をすると…。
この間の出来事について報告をする。
「実は…あの扉。並行世界へ通じていてその先には、この街そっくりな感じになっていたんですよ。そしてそこにいるボス的な存在を倒さないとこっちに戻て来れないようになっていて…。無事にボスを撃破してこうして無事に帰還したんです。」
心奏報告を聞いた、月夜見先生は扉の事について語り始めたのだが…。
「成程ね。つまり、例の島に出現した謎の扉は、こっちとあっちを繋ぐポータルみたいなものだったという事だね。ところで…。君の後ろで頬を赤らめている妹ちゃんはどうしたんだ?体調が悪いのかな?」
月夜見先生は心奏と話すのと同時に、いつもと違う心湊の様子が気になっていたようだ。
「いえ。なんでもありません。」
心湊はそう答えるのだが…。
月夜見先生は何かあると察して、心奏に‘‘此処だけの秘密にするから‘‘と耳元で囁いた。
急な囁きにドキッとしながらも心奏は実際にあった出来事を少しためらいながら語りだす。
「あのですね。実は、向こうの世界の扉の前で・・・初体験をしたんですけど…。それから、妹の心湊の様子が少し変になったんです。」
心奏は、実際に起こった事をありのまま伝えると月夜見先生は一瞬二人の顔を見た後…。
二人にあることを告げる。
「もしかして、妹ちゃんは、恋の病に侵されているのではないか?それも深刻なほどに。」
月夜見先生は二人が保健室に入って来た時から、普段と様子が違うなと感じ取っていたというのだ。
そこで、月夜見先生は二人にある提案を持ち掛ける。
「二人は一応姉妹?でしょ。ないとは思うけど…。試しにDNA鑑定をしてみた方がいいかもしれない。それによっては…今後の対応を考えねばならないからね。」
二人にDNA鑑定をするように促して、二人は一応DNA鑑定を受けることになった。
それは、母である早紀の耳にも入ったのだが…。
特に気にする様子も見受けられなかった。
約一週間後…改めて保健室を訪れた二人は、月夜見先生にDNA検査の結果を聞くと思いもよらぬ返答が返ってきたのだった。
「一応、鑑定結果が出たのだが…。覚悟はできてるかい?」
二人に心の中準備をするよう促して、心奏と心湊は‘‘もちろん大丈夫です。‘‘と返答する。
そして月夜見先生がDNA鑑定の結果を話し始める。
「鑑定の結果...。二人は…。血縁関係ではないことが分かった。つまり、二人がもしも契りをかわすのであるならば…しても大丈夫だという事だ。そしてもう昔の日本とは違って、今この時代なら同性婚は役所の許可が通るからな。此処から先は、君たちのプライベートだ。それについては、二人で話し合ってくれたまえ。」
その結果はなんとまさかの...
心奏と妹の心湊は本当の姉妹?ではなく血の繋がりのない義姉妹という事が鑑定の結果で明らかになったのだが…。
何故か二人は、その鑑定結果を聞き安心した様子であった。
それは昔。。。
心奏が一歳になった頃位まで遡る。
母の早紀と父の神翔は、二人目の子どもが欲しいよねと話し合って積極的に妊活を行っていたのだが…。
二人は中々思うようにいかず悩んでいた…。
そんな時小さき心奏は父と母にこう言ったのだ。
「ボクね。妹が欲しいの。可愛くてまるで天使の様な…。だからね。毎日神様にお願いしてるの。天使の様に可愛い妹をくださいって。だからそんなに落ち込まないでよ。きっと神様が願いをかなえてくれるよ。」
心奏の口から出た一歳の子からは聞けるはずのない言葉を聞いた早紀と神翔は‘‘焦っても仕方ないよね‘‘と言いあって。
そっと心奏の頭を撫でて‘‘きっと神様がこの願いを聞いてくれてるはずだよね。‘‘と心奏に言い聞かせていたのだ。
それから時は流れて一ヶ月後…
早紀と神翔に神様からのお達しが届く。
なんと、生まれて間もない子を引き取って欲しいとかかりつけの病院から電話があり二人はその病院へと急いだ。
病院へ着くとそこにいたのが...
約一ヶ月前に心奏の言っていた。
まるで天使の様な顔で保育器の中で眠る女の子がいたのだ。
すると、母の早紀の担当の医師が事の経緯語ってくれた。
「実はですね。その子つい二日前に生まれた子なんですけど…。生みの親が、この子が生まれる寸前に息を引き取ってしまい。身寄りのない子になってしまったのですが…生前にこの子の生みの親である女性からあるお願いをされていまして…。この子を誰かが‘‘養子として引き取ってくれないか‘‘と言われていたので、それなら早紀さん、神翔さんの二人に託しても大丈夫そうだと思って連絡を差し上げたのです。流石に、生まれて間もない子を孤児院に、引き渡す訳にはいかなかったので…。」
そうこの時、偶然にも担当医が母である早紀の妊活で思い悩んでいることについての相談に乗ってあげていたことが、偶然にも奇跡を起こしてこのようなことが起きたのであった。
それから、二人は様々な手続きを終えて身寄りのない女の子を養子として迎えた。
その子に心湊と名付けて沢山の愛情を注ぎ心奏と一緒に育てたのである。
そして今現在心奏のことが大好きな妹の心湊は、血の繋がりがないが本物の姉妹?の様に明るく元気に今を生きてきた。
だが…そんな二人の明るい未来を絶望の未来に変えようと…。
次なる刺客が現れようとしていたのであった。。。
幾多のパラレルワールドの中のもう1つの日本のお話。ここに出てくる人物は、存在しておりません。
※15話以降は、心奏の身体の性別が女性になってしまっていますが、タイトルについての変更はございません。あくまで、‘‘元兄‘‘という立場として、物語が進んでいきます。