第15話 心奏(かなで)の変化と能力の暴走!
これは、もう1つの日本が舞台の物語。魔法も異能力も使える様になった世界。
特別なその力を、悪事に利用する組織が現れてしまう。それに対し主人公である御堂心奏が数々の事件にに立ち向かうストーリーである。
そして今日も、また異能力を悪用した事件が起きてしまう、、、。
三人の力により古代獣バハムートを倒したのだが...
それをキッカケに心奏の心と身体にある異変が起き始めていた。
それは、戦いの日から約二週間が過ぎた頃。
それは朝いつも通り起きた心奏は、ある変化に気付く。
「おはよう。心湊。」
心奏が妹の心湊に話しかける。
すると起きてきた心奏を見た妹の心湊は物凄い驚いた様子で声をかける。
「どうしたのお兄ちゃん!寝間着のショーパンが血だらけじゃない。」
なんと朝起きてきた心奏は、謎に下半身が血だらけであったのだ。
すると、心奏は何かを察したかの様に心湊を連れて、部屋を出る。
家の風呂場兼脱衣所に来た心奏は、自身が察したことを心湊に正直に伝える。
「やばいあたし。ついにアレが来てしまったみたい。」
それを聞いた心湊は完全に事の重大さを察した。
なんと心奏の身体はもう…。
完全に女の子の身体になってしまった事。
そして月イチの者が御降臨したことに・・・。
「じゃあ…。もうお兄ちゃんじゃなくてさ...完全にお姉ちゃんになったってことよね?こうなってしまったからには…。」
心奏に思わず問いかけてしまう妹の心湊。
それに対して心奏は、‘‘うん‘‘と頷く。
その心奏の様子を見て、完璧に理解をしてしまう心湊。
そんな感じでやり取りをしていると姉のカトレアが起きてきて一言‘‘なにがあったの?‘‘という顔で二人の方を見る。
それに気づいた心湊が姉カトレアに説明をして姉カトレアは‘‘そういう事ね‘‘と理解して、心奏に今必要なものを早急に用意した。
―蕾学園 保健室―
時は流れ…朝の出来事より二時間後・・・
心奏たちは、学園の保健室へ向かい月夜見先生に事の顛末を全て洗いざらい話した。
「月夜見先生!ちょっといいですか?実は…。」
心奏の呼びかけより先に月夜見先生は心奏の様子を見て、語り始めた。
「その様子を見る限り…。君には月経が来たという事だね。成程…。」
そう言い切ると、月夜見先生は一瞬考えた後に、再び口を開く。
「君は…。もう元の身体には、戻れないね。残念ながら…。ここまで来てしまうと、身体の構造すらも完全に女子の身体に変化していて、骨格はおろか内性器すら発達してしまっている。そうなると、単なる特異体質ではなく完全なる女の子として身体は機能している。」
だが...その話を聞いても、心奏は全く悲しむどころか、何かが吹っ切れたかの様に語り出した。
「身体が、元に戻れないのは本当に残念だけど…。あたし。そんなことで悲しまないよ。だって…。この世界には嫌でも受け入れなきゃいけない辛すぎる現実だってある。だからあたしは前向きでいるよ。どんなことがあってもそれを否定せずにね。」
心湊は、思わず涙しながら心奏に問う。
「もうお兄ちゃんって呼べないけど…。今まで通りに接してもいいんだよね?」
すると、心奏は心湊の頭を撫でながら、返答をする。
「大丈夫。元兄として、心湊を大事にするから。そして何があっても守ってあげるから安心して!それがお姉ちゃんとの一生の約束だよ。」
心奏が優しく言うと心湊は心から安心したのか更に、涙が溢れてきて心奏に抱き着いてわんわんと泣いてしまった。
横で見ていた月夜見先生は、‘‘ここでゆっくりしていきなさい‘‘と心奏に伝え、心奏と心湊を二人きりにしてくれた。
―数日後―
心奏は体調が良くなって一旦は、月イチの者にお別れをした。
そしてまた普段通りの生活に戻っていたが…。
ここで心奏に、ある災難が降りかかるのであった。
それは...学園の実習室でいつもの様に、制御装置の動作を確認している時にそれはやってきた。
「今日も無理しない程度に、やりますかね。ええと…。とりあえず最初は‘‘アレ‘‘からやろうかな。」
そう独り言を呟き自身の能力を解放するのだが…。
そこで何か異変を感じ取る心奏。
「なんだ?うっ…。意識が…飛びそうだ…。やば…」
ボソッと呟くと床に倒れこんでしまう心奏。
思わず妹の心湊は、即座に心奏の元に駆け寄る。
「お姉ちゃん!しっかりして。大丈夫?」
心湊が呼びかけると心奏は頭を抱えながらではあるが、起き上がりすぐに心湊に対して自分から離れるようにと心湊に伝え離れた直後の事だった…。
なんと心奏の魔力が突如暴走を始めたのである。
しかも心奏は、必死に魔力の暴走を必死に抑えようとするが…
返って余計に魔力暴走が、加速してしまう。
「収まれ!あたしの力よ…。くっ…。このままでは、魔力に殺されてしまう。」
物凄く悩んでいるところに理化学部の南聖奈が、駆けつけ心奏にアドバイスを送る。
「心奏さん!魔力を抑えてはだめです。抑えずに全開放してください!」
聖奈のアドバイスを聞き心奏は、魔力をすぐに全開放する。
すると...先程まで暴走していた心奏の魔力が落ち着きを取り戻して安定し始めた。
"ふう"。とため息を吐く心奏。それから、ひと呼吸おいて聖奈にお礼を言う。
「聖奈さん。有難う御座います。あともう少しで危うく、吞まれるところでした。」
その言葉を聞いた聖奈が、心奏にもう1個アドバイスの説明をし始める。
「いえ。私は大したことはしてませんよ。ただ…無理に能力を抑えようとすると、逆に身体が魔力のエネルギーに耐えきれず‘‘能力燃え尽き‘‘というものが起きて、下手すると能力自体を失ってしまうという可能性があります。ですので先程みたいな時は、抑えずに魔力を全開放して暴走を落ち着かせるのが今のところ最善な策なんです。」
聖奈からの命を守るレベルで大切な能力、魔力に関しての注意点とアドバイスを聞き心奏は、ホッと胸をなでおろした。
今後心奏は、平和を脅かす敵とだけでなく…。
むしろ自分との生命を賭けた戦いも始まるのだと完全に理解したのであった。
果たして心奏は、この魔力の暴走状態に陥る状況をどう打破していくのであろうか…。
今後待ち受けている敵は、悪だと限らず…。
むしろ自分自身でもあるということを、理解していく必要があるのであった・・・。
幾多のパラレルワールドの中のもう1つの日本のお話。ここに出てくる人物は、存在しておりません。