山の上の集合住宅

遥か先の山の上に見える

人の営みを見せる幾つもの光

山の上の集合住宅には

幾つもの家庭が確かに生きている

他には何も無い

夜空の星々も見えるくらいに

邪魔な光はそこにひとつもない

他には何も無いのだから

人の営みだけが集まって

短い時を過ごしている

朝日を見て夕日を見て

一日の流れの全てを見るためなら

うってつけの場所だ

他には何も無い

絶える人達が身を寄せ合い

苦悩も煩悩も忘れて

美を見て終わるための

山の上の集合住宅

他には何も無い