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十七

杏省 省都キアン 諸侯領主城


三日をかけて、祝融達は城へと戻った。豪雷の背から降りた瞬間に、共工は捲し立てる様に口を開いた。


「祝融様、何を考えているかお話下さい。」


怒りを露わにした顔つきに、祝融は共工を適当に躱すと、後で話すとだけ答えた。相柳は怒りを買わぬ様にと、急いそと共工の背後に続いた。

城に入るなり、朱江念が待っていた。


「お帰りなさいませ。首尾はいかがされました?」

「話し合いで済んだわけではないが、落ち着いた。玄瑛はどこにいる?」

「執務室にお見えです。」

「お前も来い。」

「承知しました。」

「豪雷と相柳は休め。皇軍から要請があればいつでも出れる様にはしておけ。」


相柳と豪雷は頭を下げると、そのまま去っていった。

祝融は共工と江念を引き連れ、執務室に着くなり扉を開けた。中では、玄瑛が書類に目を通しては、印を押すを繰り返していた。


「お帰りなさいませ。父上は如何でしたか。」

「無事だ。安心しろ。」


そう言って、祝融は一枚の紙を玄瑛に渡した。

玄瑛は、書面に目を通すと、見慣れない名前が綴られていた。

養子を迎えるための手続きという事は理解できても、誰をと言う事が想像できなかった。


「……どなたを養子に迎えるのですか?」

「例の異邦人だ。」


その言葉に驚いたのは、玄瑛だけでは無かった。


「何を考えているのです!」


玄瑛が口を開くよりも先に、共工の怒号にも近い声が部屋に響き渡った。

祝融は後ろにいた共工を見たが、その顔が怒りに満ちていることなど確認するまでも無かった。


「訳は話す。座れ。」


共工は従わなかった。気に食わないからではない。まだ、ユーリックの中身が何かもわからない状態で決めてしまった事に怒りを覚えていた。


「御自身の立場をお考えですか。」

「考えているからこそだ。とにかく座れと言っている。」


祝融の態度は変わらず、共工の態度など気にしていない様子だった。


「祝融様、これには私も話を聞くまでは押印出来ません。」


共工の態度に釣られた訳ではないが、何者かもわからない状態では納得の仕様も無いと、祝融に書面を机に置いた。


「良いだろう。」


祝融は中央に座ると、玄瑛もそれに続いた。


「共工、立ったまま話しを聞くきか?」


共工は舌打ちをすると、大きな音を立てて長椅子に腰掛けた。

共工の機嫌の悪さに場の空気は悪い。祝融だけが気にする事なく、口を開く。


「結論から言うと、異邦人を養女として姜一族として迎え入れる事にした。異論は聞くが、これは決定事項だ。変える気はない。」


祝融の悠然と構える姿に迷いは見えない。それだけ決意が固いと示していた。それでも、玄瑛は理由を聞かないわけにはいかなかった。


「理由をお伺いしても?」

「一つは相当な実力者と言う事が大きい。他領が手を出せない様にしたい。」

「それ程まで?」

「鈍っているとはいえ、相柳と豪雷の二人を相手取った。もう一つは、この国には無い知識を持っている事だ。こちらの国の科挙など容易に受かるだろう。」

「……祝融様、確かに優れた人材と言う事はわかります。しかし、それだけでは貴方の御息女にすると言う判断材料になり得ません。」


それまで黙っていた江念が訝しんだ顔をしながら口を開いた。祝融が決めたのだから異論は無いが、朱家を束ねるものとして、余所者をそう易々と主人と認めるわけにはいかないと言うのもあった。


「不死身でもか?」


玄瑛と江念は息を呑んだ。記録に有る不死身はただ一人。そして、それは姜一族の者でもあった。


「……それは事実ですか?」

「ああ、共工が一度手を下したからな。」


それを言われ、少しばかり共工は罰の悪い顔を見せた。


「危険だと判断したまで。」

「これに関しては、こちらが誠意を示さねばならん。」

「……まだ理由がある様にも見えますが。」

「蚩尤が気に入っている。あとは同情だな。それなりの理由が有って、白仙山に留まっていたとだけ言っておこう。」


玄瑛は納得した様に頷いた。江念も同じだった。


「分かりました。私は従います。」

「私も、祝融様に従いましょう。」


しかし、共工の顔色は以前不信感で一杯だった。


「共工。」

「……蚩尤の養子にすれば良いでしょう。それならば、貴方の立場に影響は無いでしょう。」

「それだと足りない。もしもの場合は、俺は元老院の席を降りる。」


共工は立ち上がり、声を荒げた。


「それは杏省に影響します。危険だとは思わないのですか!」

「影響はさせん。後釜には蚩尤を据える。」

「あれは逃げたのです!今更何が出来ます。」

「今回は蚩尤が起こした事でも有る。覚悟ぐらいしているだろう。」


共工は怒りをどこにぶつけて良いかわからず、手を震わせ拳を握りしめた。


「ではやはり、見捨てるべきだ。」


非常とも言える判断に、祝融は共工を見た。


「見捨ててどうする。彼女に頼る術などない。利用されて生きるだけか、幽閉されるか……まあ、良い待遇ではないだろう。」


共工は、ただ祝融が心配だった。捉えどころの無い様子が、いつかの蚩尤を見ている様だと考えていた。祝融をこの世に繋ぎ止めているものが何なのかをただ考えた。


「貴方はどうなります。」

「俺は身分が無くなっても気にはせんな。事業に専念出来る。いっその事、名を変えて生きるだけだ。」

「それは杏を見捨てるとはお考えにならないのですか。」

「俺一人居なくなって立ち行かないなら、杏はとっくに終わっている。」

「……。」

「まだ駄々を捏ねるか?」


共工に最早返す言葉は無くなっていた。祝融の決意は固いのだと、諦めるしかなかった。

腰を下ろし、一息つくと祝融に向き直った。


「何を言ったところで意見を変える気など無いでしょう。」

「最初に言っただろう、決定事項だと。」

「わかりました。同意します。ですが、もし異邦人が何かしでかす様なら、手を下す事もお忘れ無く。」


共工の厳しい顔つきに、祝融が動じる事はなかった。


「あれだけ従順なら問題無いだろう。」


全ての問答にひたすらに従順な姿勢を見せていたユーリックの姿が脳裏に浮かんだ。


「中のものに関してはどうお考えで。」

「何かしているなら、とっくにやっているだろう。敵意は無い。後は神殿次第だ。」


共工の納得した姿を見た玄瑛は立ち上がり、机の上に置いたままになっていた書類に署名と印章を押すと、祝融に手渡した。


「後はお任せします。」


祝融は、再度書類を見た。後は、自分の印章を押せば、要は済むと書類を懐に仕舞った。


「江念、朱家の者を一人借りるぞ。」

「承知致しました。所で、末の孫娘にそろそろ仕事をさせようと思っていた所です。新しい御息女の侍従にでも如何でしょう。」


先程迄の訝しんでいた顔とは異なって、好好爺然とした表情を見せる江念に、祝融は呆れた表情を見せた。


「お前は抜け目が無いな。だが良い手だ。朱家が後ろについたとなら、他家の者も認めざるを得んだろう。」

「では、その様に命じておきます。」


祝融は玄瑛を見た。


「それで、不周山の方はどうなっている。」


それには玄瑛は頭を悩ませている事でもあった。ため息まじりに、口を開いた。


「手を焼いているのか、こちらに情報を開示したくはないのか……今のところ、何一つとして連絡は入りません。」

「元々、原因は不周山ではないからな。まあ、龍人族で固めた軍だ、死にはせんだろう。共工、あちらから要請が有れば、手を貸してやれ。」

「承知致しました。」

「明朝には、ここを立つ。そろそろ、皇宮から呼び出しも掛かるだろう。後は任せる。」


祝融は立ち上がり、颯爽と自室へと向かった。

机に積まれた書類を見て、うんざりする光景だと目を逸らしたくなった。


ここしばらくは、国事に携わっていた事もあり、本業が疎かになっていた。見て見ぬ振りはできないが、今はこちらが先と認めた書類に印章を押した。


書類に並ぶ名前を改めて見て、自身に娘が出来たのだと実感したが、少しばかり複雑でもあった。


「(不死身が娘とは……これは必然か。)」


祝融は書類を一度机にしまうと、一刻も早く事態を収集し蚩尤に仕事を押し付けなければと考えながら、溜まった書類に手を出した。


――


凰省 皇都シンラン


祝融が皇都の別邸を離れ五日が経った頃だった。

蚩尤が明凛にも事の次第を話したのか、監視をするように付き纏う事なく、頭を下げるようにさえなった。


ユーリックは止めたが、朱家としてそれは出来ないと言葉遣いすら変わった。


相変わらず神殿から返事はなく、ユーリックは邸宅から街を眺めてばかりいた。朴省程の優雅さは無く、目に焼き付ける景色では無かったが、それでも暇を潰すかの如く見入っていた。


二階の欄干に身を預け、黄色い街並みの中にある、白い建物がそれだと蚩尤は言った。遠くにあるそれは、はっきりとした形は見えず、ただそこにあった。こちらから出向く事はできず、歯痒さだけが募っていた。


不意に、空が陰った。様々な色の龍が当たり前の様に飛び交う皇都では、時折見られる光景だったが、その時は違った。


ユーリックが見上げれば、金色の龍を筆頭に龍人族が幾重にも空を覆っていたかと思うと、次々に人の姿になり邸宅内に降り立った。


異様な事態だと、誰の目にも明らかだった。次々と龍人族は邸宅内に踏み込んだ。邸宅内に響く足音に、ユーリックは戸惑いながらも蚩尤を探そうと階段へと急ぎ向かおうとしたが、聞いた事の無い声が、ユーリックに呼びかけているように響き渡った。


「我々は、皇帝陛下直属の禁軍である。異邦人よ。抵抗をすれば、皇帝陛下への反逆罪とみなす。」


反逆と聞いたユーリックに逃げる術は無かった。


「(……祝融様の御迷惑になってしまう。)」


禁軍が来た経緯こそわからないが、それだけは避けるべきだと理解した。

ユーリックは、落ち着きを取り戻すように、深呼吸をするとゆっくりと足を踏み出した。


一階に着くと、既に待ち伏せしていたのか、龍人族が待ち構えていた。


両手を上げ、抵抗する気はないと示し、龍人族も手荒な事はしないと言ったが、両の手はしっかりと後ろ手に縛られた。龍人族に引き連れられ、邸宅の外に連れ出されると、蚩尤と明凛も同様に捕縛されていた。


「待ってください。私を捕らえに来たのなら、お二人は関係有りません。」

「匿っていたのなら同罪だ。」


金色の髪色の龍人族の声に感情など無いようだった。


「悠李、抵抗してはいけない。」


蚩尤に諭されるも納得はできなかったが、今は従うしかないと連れられるまま歩いた。

邸宅内には馬車が引き入れられ、三人を乗せると、ゆっくりと馬車が動き出した。


馬車の中は狭く、鉄格子の入った窓から僅かに光が入るだけで薄暗い。

ユーリックは、二人に顔向けできないと俯いた。


「蚩尤様、明凛様、申し訳ありません。」


不安な顔色に、蚩尤は毅然と振る舞った。


「悠李の所為では無い。祝融様の不在を狙ったのだろう。まさか、元老院の邸宅に禁軍を踏み込ませるとは思ってもいなかった。」


それに同意するように、明凛も続いた。


「悠李様、抵抗はいけません。貴女は祝融様の御息女になられたのです。祝融様が手を尽くして下さいます。」


二人がユーリックを落ち着かせようとしている事に、顔を上げた。


「……皇宮に連れていかれるという事でしょうか。」

「恐らくだが。神殿の者どもめ、さっさと返答すれば良いものを。」


蚩尤の口ぶりに、ユーリックは驚いたが、今は自信が記名した書類が気になって仕方がなかった。


「あの書類を祝融様が燃やしてくだされば良いのですが。」


その言葉に、蚩尤の顔色が変わった。眉を寄せ、怒りすら見える顔つきに、ユーリックはたじろいだ。


「貴女は後ろ盾もなく、如何するつもりだ。祝融様は、死にゆく者に手を貸した訳ではない。」


蚩尤の姿に戸惑うも、ユーリックはこのままでいい筈がないと、蚩尤に面と向かった。


「ですが、このままでは祝融様の身も危ぶまれる事もあるのでは無いのですか?ただ、皇宮に招かれているだけとは到底思えません。」


「それならば、何故逃げる素振りも見せなかった。」


未だ怒りを含むその声に、ユーリックも冷静ではいられなくなっていた。


「それこそ、祝融様を陥れる行為です。」

「分かっているなら良い。祝融様は御決断なされた。貴女も応えるべきだ。」

「堂々としていろと?」

「そうだ。姜一族の一因として、胸を張れ。それが今、貴女が為すべきことだ。自身を犠牲にして、我々を助けようなどとは思うな。」

「でも……」


不安は簡単に拭い切れるものでは無かった。

もし、その選択が間違えならば、二人を巻き込む事が心配でならなかった。


「悠李様、祝融様は一度決めた事を簡単に変えるような方では有りません。決して、迷ってはいけません。」

「明凛の言った通りだ。あの方は、家族や臣下を見捨てる様な方ではない。自分の事だけ、考えれば良い。」


家族という言葉に、祝融が言った家族の一員という言葉を思い出した。

ユーリックは、肩の力を抜き姿勢を正した。


「わかりました。決して、動じません。」


不安が消えたわけではない。それでも、二人が祝融をそれ程までに信じるなら、自分も信じなければと心に決めた。


「それで良い。後は、皇宮がどう出るか……」


――


馬車が止まり、扉が開かれた。馬車を幾人もの兵士が取り囲み、ユーリックを警戒している様子だった。


「降りろ。」


三人は、後ろ手を拘束されたまま、馬車を降りた。ユーリックは、蚩尤に言われた通り堂々としているしかないと、挙動不審な行動は控えなければと、ただ兵士に言われるがまま歩いた。


地下牢にでも連れていかれるのだろうかと、ユーリックは想像していたが、それに反して連れられたのは、小さな離宮だった。


外こそ兵士に囲まれ監視されたが、拘束が解かれ、思っていた程の悪い待遇ではないと胸を撫で下ろした。


離宮の中まで兵士が配置されている事こそ無かったが、離宮の窓には鉄格子が嵌められ、入口は外から施錠された。


「要人を捕らえた時に使われる宮だ。悠李の事は知らないにしても、私が姜一族だから無下には出来んのだろう。」

「大人しくしているしか無いという事でしょうか。」

「そういう事だ。」


三人は離宮に備え付けられていた長椅子に腰掛け、時を待った。


そして二日が経った頃、鍵の開く音が離宮に響いた。

武官を二人引き連れた、龍人族と思わしき金の髪の文官が姿を現した。


「異邦人のみ、こちらへ。」


ユーリックは、蚩尤と明凛の顔を一度見ると、そのまま文官に続いた。手は再び拘束され、目隠しをされた。


どこまで連れていかれるのか、不安になりながらも、連れられるままに歩くしかなかった。

ふと、扉の開く音だけが聞こえ、どこかの部屋に入ったことがわかった。


文官の足が止まった気配に、ユーリックも足を止めた。

拘束も、目隠しもそのままに、椅子に座る様にだけ言われ指示に従った。

目の前に、誰かいるということだけが、ユーリックにとって唯一の情報だった。


「お前達は下がれ、二人で話がしたい。」


若い男の声に、三人の気配は遠くなった。


「悪いが、拘束はそのままにさせてもらう。」


男は名乗らず、落ち着いた声に身分の高さだけが窺えた。ユーリックは、姿勢を正し、相手に屈しないという姿勢を見せた。


「名前は何という?」

「……姜悠李と言います。」

「それは、其方の本名か?」


声色が少し変わった。訝しんでいるのか、嘘と思っているのかは、はっきりしなかった。


「本名は、ユーリックと申します。姜祝融様の養女として、迎えられる事と成りました。」


男は、沈黙した。表情が分からず、気配も読みにくい。何を考えているか分からなくとも、ユーリックは相手を待つしかなかった。


「自分が何者か知っているか。」

「不死身であるとしか言えません。」

「何故、この国に来た。何が目的だ。」


何度、この質問を受けただろうか。ユーリックは聞かれるたびに、自分が異質であると再確認されている様でならなかった。


「白神に導かれ白仙山よりこの地に降り立ちました。目的など有りません。」

「其方がこの国に来てから、妖魔が増え続けいてる。国に帰る気はないか。」


蚩尤や祝融が一度として、口にしなかった言葉だった。


「帰る国など、有りません。」

「そうか。残念だ。」

「神殿に取り合っては貰えませんか。」


本来なら、ユーリックから言葉を発するのは、失礼に当たるだろうが、構ってなどいられなかった。


「神殿にいる神子ならば、私が何者かわかると聞きました。どうか、取り合っては貰えませんか。」

「神殿から、こちらに書簡が来た。姜公より、神子と面会したいと申し出があったと。異形な存在に神子を合わせる訳にはいかないと、わざわざ通達してきおった。」


ユーリックは、奈落に突き落とされたような気分になった。


「もう一度聞く、国に帰る気はないか。白仙山に戻るでも良い。それがせめてもの温情と思ってくれ。」


それまでの凜とした態度は、一片に崩れそうになった。ユーリックは、言葉に迷い、思い悩んだ。白仙山にまた止まれば、何も考えずに生きるだけだとも思えた。だがそれは、蚩尤と出会う前までの話だった。


「……無理です。今更、白仙山で一人生きるなど、考えられません。」


声は上擦り、震えていた。最早気丈に振る舞う事など、出来なかった。


「ならば、其方を封じるしか手段はなくなる。」


ユーリックは頷く事も、否定することもしなかった。


「望みはあるか?」


男の声は、同情にも聞こえたが、こうなった以上、望むものは一つしかなかった。


「祝融様並びに姜一族の方々や、それに携わる方に温情を向けては貰えませんか。彼らは、異邦人として彷徨うだけだった私に手を差し伸べて下さっただけです。」

「良いだろう。他にはあるか。」


ユーリックはもう一つ望みを口にしようとしたが、止めた。最後に一目蚩尤に会いたいとも思ったが、それこそ縋りたくなってしまうだけだとも思えた。


蚩尤と過ごした日々を思い出として胸に仕舞い、未練など無いと自身に言い聞かせた。


「……有りません。」


男は立ち上がったかと思うと、ユーリックの目隠しを取った。

目に映った姿は金髪金眼の青年だったが、身を包む衣は煌びやかで、ユーリックはその佇まいにただ息を呑んだ。


「陽皇国代三代皇帝少昊と言う。恨むなら、神子すらこの場に召喚出来ない私を恨め。」


そう言って、皇帝はその場を後にした。


ユーリックは再び文官に立たされると、蚩尤達とは別の場所に軟禁された。牢屋でこそ無かったが、寝台だけが用意された何も無い小さな部屋だった。


最後を此処で待つしか無いと、寝台に腰掛け時を待った。

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