ダンジョン突入 2
第三小隊が壊滅し第四小隊がバラバラに撤退しているころ、別れて森の中を調査していた第一・第二小隊とも魔物に遭遇していた。
~第二小隊長~
森の中を進むこと十数分第二小隊の隊員は既に疲労が溜まってきていた。
一年の内に見る影も無く変貌を遂げた未知の土地、
いまだ遭遇せず、姿すら判らない魔物という未知の生き物、
いくら進めど同じ場所を通っていると思え、何度も位置を確認し地図を描きながら進まないと帰り道が判らなくなる程の森。
少しづつ精神をすり減らしながら進んでいた。
その時、ガサッと進行方向の少し横の茂みが動いた。
「ッ、、一・ニ班構えろ
三・四・五班は周囲の警戒ッ」
「「ハッ」」
隊長の指示に即座に隊員構え、ソレが茂みから出てくるのを待ち構えた。
そして、息を飲んだ。
茂みから出て来たソレはイノシシだった、だがただの猪でわ無い。
体躯は普通の猪の二倍程まであり鋭い牙、こんなモノに突進でもされたらひとたまりも無い。
だがこのイノシシは此方には気が付いていない、ただ横切ろうとしている様だ。
(このまま気付かづに通りリ過ぎてくれ)
誰もがそう思っていた時、
バキッ
「「あっ」」
隊員の一人が木の枝を踏み折ったのだ。
普段なら叱責を飛ばすところだ、だがそれ処ではない。
イノシシの足が止まり、此方に向いたからだ。
「ヒィッ」
イノシシに視線を向けられ、数名の隊員から曳った声が聞こえてくる。
数分経ってもイノシシに動く様子は無い、視線を向けられている隊員たちも動くことは出来ずにいた。
小隊長はこのイノシシに突撃されては例え如何にか退けられたとしても、前進も後退も儘らなくなると考え。このまま興味を無くして、離れてくれと願っていた。
だが、疲労と極度の緊張から一人の隊員が発砲してしまう。
そして他の隊員もそれに釣られ、発砲してしまった。
「う、、うああぁぁぁ」
ドドドドドドドドド
ドドドドドドドドドドドドド
小隊長は勝手な事をした隊員を止めようとするが、すでに手遅れだった。
銃弾の雨を浴び続けるイノシシはまるで動きを見せない、隊員達は倒すことが出来た、たいした事は無かったじゃないかと、笑みをみせる者までいた。
だが、すぐに隊員達は驚愕する事になる。
立ちち上っていた砂煙が落ち着きイノシシの様子が見えたからだ。
倒れる処か多少血を流してはいるがほぼ無傷だからだ。
小隊長が慌てて指示を出そうとするが、それよりも先にイノシシが攻撃を仕掛けた。
「ブゥモォォォ!!」
そのン鳴き声に怯み動きが遅くなり、イノシシの突進により半分近くが弾き飛ばされ行動不能になる。
何とか反撃をと我武者羅に銃を討つ者、
指示お出すもの、
恐怖し逃げ出すもの、
その全てが魔物に狩られていった。
第二小隊帰還者、、、0/50名
~中隊長・第一小隊~
中隊長は、時折遠くから銃声や悲鳴が聞こえてくる度に。
他の小隊の者はどの位生き残っているのだろうか。
ここで命を落とした者達もためにも、一つでも多くの情報を得んければ。
と、思いを抱いていた。
「中隊長、前方に巨大な熊を発見しました。
数は1です。」
「ふむ、その熊はどうしている?」
「今の所眠っているのか動きはありません。
今のうちに攻撃を仕掛けますか?」
「いや、動かないのならほおっておけ。
我々の目的は情報を持ち帰る事だ、無駄に戦闘行為を取るく要は無い。
このままその熊を避けて先に進むぞ。」
「ハッ」
小隊はその熊を迂回して森の奥を目指して進む、
進むその背中に視線を向けられているのに気づかづに。
小隊はその後もイノシシやシカ、オオカミ等を見つけては迂回しながら進み続けていた、だが生息する生き物の種類以外の情報は得られなかった。
帰還の時間が近づいているもう少し辺りのの調査をしたら、帰還することを隊員に告げようとした。
「中隊長」
が、それより先に声をかけられた。
声を掛けてきた隊員は思いつめたような顔をしている、しかも一人だけではなく隊の大半が同じような顔をしていた。
「なんだ?」
「何故あの魔物と思しき物見つけても仕掛けずに、迂回しているのですか。」
「今回の突入は戦闘ではなく、調査が目的だからだ。
戦闘を避け奥に進む必要がある。」
「ですがっ
このままでは何の成果も上げられずに帰還の時間になってしまいます。
他の小隊の隊員がどれ程生き残っているのか定かではありません、何の成果も上げられずに帰っては他の隊員たちに顔向けできません!」
「そうです!」
「隊長!」
「やってやりましょう!」
「自分達なら出来ます!」
我慢の限界になった一人の隊員が言った言葉がきかっけとなり、同じ事を思っていた他の隊員達も訴え始める。
そして訴えかける声は段々と大きくなってしまい、中隊長はすぐに止めようとしたがもうが手遅れだった。
その声に誘われる様に一匹の熊が姿の見せた、その熊に気付いた隊員達は即座に銃を構えた、だが声に誘われたのはソレだけでは無かった。
そう遠くない距離で獣の唸り声がいくつも聞こえ、その声は増えていった。
唸り声の多さに隊員達が狼狽える中、少しでも多く生き残るため中隊長は決断を下した。
「班毎に散開!
迫りくる奴らを打倒し一人でも多く撤退しろ!
殿は1班が引き受ける!」
「隊長!!?」
「これは命令だ!
我々のやるべき事は国民を守ることだ!!
必ず一人でも多く帰還しろ!!」
「「ハッ!!」」
「各班散開!
1班撃ち方始め!」
ドドドドドドド
ドドドドドドドドドドド
1班は銃撃を始めるが大したケガも負わせられず、熊の体当たりや振り下ろした腕により全滅した。
2・3・4班はバラバラに撤退を始めた。
行く先々で鹿やイノシシ等に遭遇したが、隊長の言葉通り一人でも多く帰還するため少数が気を引き付け班を逃がした。
だが、森の地形のせいで道に迷い、森を抜ける事が出来たのは10人だけだった。
第一小隊帰還者、、、10/50名
第23中隊帰還者、、、40/200名
この日ダンジョンに突入した世界中の軍の大半が返って来なかった、この事実は各国に打撃を与え世界中を震撼させた。




