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百花宮のお掃除係~転生した新米宮女、後宮のお悩み解決します。  作者: 黒辺あゆみ
第十五章

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708話 完成披露

あれから雨妹ユイメイたち掃除係は、皇后宮の酒宴部屋を無事飾りつけまで完遂できた。

 そして本日、その仕上がった酒宴部屋の完成披露の説明を、雨妹がすることとなっている。


「このようになりましたが、どうでしょうか?」


そう問いかける雨妹が相手にしているのは、


「まあ、素敵な部屋になったこと」

「うむ、見違えたな」


皇后宮筆頭女官であるウーと、何故か燕淑妃宮のイェン女史であった。


「……あの、何故燕女史はこちらに?」


燕女史が居て悪いことはないのだが、雨妹の純粋な疑問である。これに燕女史が答えたところによると。


「野次馬だ。たまたま皇后陛下を訪ねていたのでな」


なるほど、偶然訪問時間が雨妹とかち合ったようだ。

 そもそも皇后宮の片付けは、雨妹が呉から依頼されたのが発端の案件であるという建前で、班長から最後の説明を任された――いや、正確には押し付けられたのだ。こうした場で責任者として発言するのは光栄なことであり、出世なり給料なりに影響する。だが班長はそんな欲よりも、皇后宮の筆頭女官の前で変なことを言ってしくじる恐怖が勝ったらしい。


 ――まあね、私は偉い人の前に立つのは、なんだかんだで慣れたもんね。


 万が一雨妹がなにかをしくじれば、最速で立彬リビンに泣きつく心意気だ。

 そんな雨妹の内心はともかくとして。呉が部屋の出来栄えを見てしきりに首を傾げている。


「新しくしたという感じがしませんね、昔からこの部屋はこうであったように思えます」


呉がそのように不思議がるが、雨妹たちにとってそれこそが狙いなのだ。


「皇后陛下の威厳ある御姿に馴染むようにと、最大限配慮しました。皇后宮で使われている家具類はどれも品が良く、班長たちも『さすがは皇后陛下の選定眼だ』と感心していたものです。私たちはその配置を少々いじっただけに過ぎません。歴史ある品の価値を皇后陛下であれば理解してくださると、掃除係一同は確信しております」


雨妹はものすごく遠回しな言い方をしたが、つまり「変に新しくすると薄っぺらくなるよね?」ということであった。

 皇后宮ともなれば、新しいことは必ずしも良いことではない。歴史と伝統というものは、皇后の存在に重みと圧を加えてくれるものであり、必要な要素なのだ。決して経費削減だけが目的だったわけではないのである。


「なるほど、あなた方に任せたわたくしの選択は正しかったわ」


雨妹の説明を聞いた呉は、大変満足そうに微笑んだ。


「そこに在る物を工夫する技は素晴らしいわ。これならばお茶の席にも使えますし、皇后陛下にもきっとご満足いただけるでしょう」

「ありがとうございます!」


再利用された卓や椅子を確かめるように撫でる呉に、雨妹は掃除係を代表して礼を言う。


 ――やった、褒められたよ掃除係の皆!


 これを皇后宮の人員が自力でやっていたならば、もしかすると流行の最先端を追うことこそが正義だとばかりに、現在の流行りを徹底的に調べて全てを新しく取り替ていたかもしれない。雨妹たちの作業も、改装にかかる費用は全て皇后宮から出される約束であったので、やろうと思えば皇后宮の予算で金をかけて仕上げることはできた。けれどこうして歴史の重みを演出することで、出費を抑えることにもなったわけだ。後宮に改革の嵐が吹き荒れている中なので、皇后宮であっても不必要な出費は避けるに限る。呉にしてみれば、ここで節約できた経費を別の支出に回せるのだから、良い意味で期待を裏切られたといったところか。


「うむ、確かに歴史を重ねた家具の価値は、安易に取り換えが効くものではないな。全てがなんとも言えぬ艶の出ていることだ」


燕女史も褒めてくれた家具類は、みすぼらしくならないようにと雨妹たちが丁寧に磨いた成果である。片付けで出た他の家具類も同様に磨いてあるので、ぜひそれらも活用してもらいたい。

 なんにせよ、皇后宮と燕淑妃宮の筆頭女官二人に褒められたのだから、今夜の掃除係はきっとみんなでお祝いとなるだろう。

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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 立彬さんに泣きつけば、可愛い妹の為に太子様もコッソリ手助けしてくれますしね (^o^) 後宮の皇后宮であれば、家具類も装飾品も良い素材を使った高級品でしょうし、配置を考えて余計な…
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