11.悪役令嬢、転生しました。
メイディスは魔法騎士隊第一部隊に所属した。それは、一斉に世に広まった。次の王様候補か、と言われるくらいに。魔法騎士隊第一部隊は身分の違いで、非常に戸惑っていた。それも、そのはずだね!基本的に、平民が多いんだもの。それか、辺境伯。しかし、魔法騎士隊の二大暴れ狼の一人、”黒狼”と称される人物は、魔法騎士隊に入門したんだから、身分もクソもあるか、と厳しい態度で、メイディスに魔法と騎士としての剣術・心得を教えている。流石に、攻略対象という事もあり、年も近い・・・とは言っても5歳は離れているが、比較的近いので、日々一緒に鍛練に励んでいる。
時に、メイディスは俺とアキトに密かに文句を言っているが、同じ魔法騎士隊の連中にはどういう関係だと言われるばかりである。・・・流石に、兄弟・・・なんて、言える訳がない。俺が断固拒否するわ!いや、メイディスと血が繋がっている事が嫌じゃなくて、俺は誘拐されている事になっているから、変に刺激したくないだけだ。
アキト?あいつは衛生兵として、その実力を発揮するようになった。光魔法はただですら消費魔力が高いと言うのに、アキトは日々魔法騎士として鍛えていた事もあり、難なく光魔法を使いこなせている。ここが、メイディスとの大きな違いかな?アキトは実はそれなりの実力があるのだ。それを超す俺が異常なだけで。
そんなこんなで3年の月日が経ち、メイディスも光魔法を使いこなせてきました。俺は相変わらず、魔術師と魔法騎士隊との二足の草鞋を履いているが。俺も魔法騎士隊の二大暴れ狼の一人、ワーウルフって呼び名が定着しました。
そんな日の出来事です。
このゲームの悪役令嬢、ディネット・ライディスが王城に父親と同席する形で、やってきました。その日は俺は魔術師”朧月”として、国の主催する催し物に参加していました。その日はメイディスは第四王子として、ディネット・ライディスを、案内するという役割についていました。俺は魔術師”朧月”としてその護衛の付き添っていましたが、ディネットはメイディスに一目惚れして、べっとりとくっついています。たまに、こちらを窺い、何とかしてくれ、と言わんばかりの視線を寄越しますが、俺はゲーム通りだなぁと見ておりました。
ディネットがメイディスの腕を掴もうとした時、メイディスは反射的に避けてしまい、ディネットはそのまま転びかけそうになったところを俺が転ぶ前に支えたのですが、ディネットの様子がおかしかったのです。
目線の焦点がまるで合っていないのです。何度も、ディネットの目の前で手をかざすが、そんな事はお構いなし。そして、ディネットはそのまま倒れてしまったのです。俺達はすぐに医務室に運んでいきました。
しかし、何もなかったはずなのに、倒れると言う事態に俺達は光魔法をかけたのですが、それでも効果なし。というか、俺が光魔法をかけている時点で、普通の事態なら治っているんですけどね。それは、異常な事態が起きていると俺達は瞬時に思った。
メイディスは俺に軽く耳打ちをする。
「・・・ちょっとだけ、王族紋章継承魔法を使用してくれませんか?」
「・・・仕方ありませんね。確かに、俺達の責任を取りかねないですからね。あの公爵令嬢様は。」
俺はメイディスの言う通り、王族紋章継承魔法を使用する。そうすると、どこからか声が聞こえた。
『ほっほっほ。懐かしいのぉ。君に会うのは、間違えて殺してしまった以来かの。簡単に言うと、この者こそが、本来あの時に亡くなる人物だったのじゃが。こちらも色々と処理する羽目になっての。今頃になってしまったのじゃ。これから、この者をよろしく頼んだぞ。』
神様!?つまり、これって悪役令嬢に誰かが転生しているって事でOKね!もう、この転生生活楽しんでいるから、この際つべこべ言わない!
『あ、余談じゃが、この者も”属性魔法・水魔法と土魔法”を使うぞ。儂が特典として付けといたのじゃ。この者も被害者と言えば、被害者じゃしの。』
ご丁寧な説明をありがとうございます。つまり、記憶の整理と属性魔法の発動で倒れたのですね。そりゃあ、俺達がどうやっても治せない訳だ。
「・・・どうですか?」
「まぁ、簡単に言うと、属性魔法の発動ですね。貴方も属性魔法の発動した時は気分が悪くなったでしょう?それですよ。」
ディネットは数時間後で目を覚ました。目が覚めた時、顔を青ざめていた。