プロローグ.俺、死にました。
乙女ゲームの悪役転生の話が大好きです。
俺は瀬田大翔、高校三年生。俺の職業は新人声優で、最近では主人公級の役をやらせてもらい、少しは名が売れていると思いたい。
そんな中での突然の出来事だ。
仕事場から帰宅する途中だった。暴走車の姿が見えた。しかも、それは俺の方に向かっている。そして、俺はー・・・。
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気が付けば、白い世界にいた。目の前には全身白い服を着たおじいさんがいた。その背中には大きな翼、頭の上には天使の輪があり、ここは天国なのかなって直感した。
「って、何でだよ!!俺は車から避けたぞ!?何で俺は死んだの!?」
「いやー?すまんのぅ。対象者を転生させようとした時、うっかりくしゃみが出てのぅ。間違えて、対象者の隣にいた君を殺してしまったのじゃ。」
おじいさん神様は悪びれる事なく良い笑顔で言い切った。ちょっと、何してくれてんの!?俺はまだこれからって時だったのに。死ぬなんて最悪だ!!
「関係ないのに殺してしまったお詫びに3つのお願いを叶えてやろう。そして、君にはノルンと言う世界に転生して生活してもらう。」
待って!?俺、ただでさえ死んだ事に実感をしていないのに。いきなりこれからの生活の事を考えるなんて、出来ねーよ!!つーか、ノルンって何処だ!?まず、地球ではない事は分かるけど!
「ノルンとは、ゲーム“ドキッと恋して☆”の世界じゃ。所謂、乙女ゲームと言うやつじゃな。」
その言葉で俺はハッとする。そのゲームは最近仕事で収録したゲームの名前だったからだ。初めてのゲームの収録が“ドキッと恋して☆”のモブだったが、続編でそのモブはゲームで最大の悪役ヒーローだったと判明するキャラを演じた。スゲーチートキャラで、どの攻略対象でも悪役ヒーローなのだ。
ちなみに、モブって言っても悪役令嬢の執事をやっていて、どの攻略対象を攻略しようとしても、悪役令嬢が出てくるので、ついでに出てくるキャラ。そして、最後には悪役令嬢すら裏切る。
この世界は魔法に満ち溢れていて、楽しみだとは思う。しかも、魔物も出るから、格闘ゲームやRPGゲームが好きな俺にはたまらないとは思う。
ちなみに、『ドキッと恋して☆』は3rdシーズンまで、出ている。3rdシーズンはまだ収録が終わっただけで、発売はされていないが。デモプレイはさせてもらっている。ある程度、ゲームの内容は覚えている。まだ、ファンには情報公開はしていないが。
そして、俺が声優として、ゲームデビューした初めての作品で、とても感慨深いものがあったのだ。
「じゃあ、まずそのキャラに転生させてやろう。これで願いを1つ使った事になるの。」
いきなり、願いを使っちゃったよ!!まだ、望んでいた訳じゃないのに。でも、それでいいもん。2つ目はやっぱり、チート能力かなぁ。そんでもって、3つ目はガチャスキルを付けて欲しいかなぁ。俺、スマホゲームは割と好きだから。
目の前のおじいさん神様は笑顔を見せる。
「よし。どうやら決まったようじゃな。さて、ここでの記憶や今までの記憶も保持して転生させるから、そこは安心するのじゃ。・・・さて、素晴らしき転生人生が来る事を願って。」
そう言って、俺は意識を失う。気が付けば、赤子の姿であった。しかも、生まれてすぐだったようで。あぁ、これからどんな生活を過ごしていこうかな?
これから、主人公最強になっていきます。