第7話:空腹が最大の敵です。
ぐぎゅぅ、という音をボクのお腹は書庫から出てからもずっと鳴らし続けていた。
「おなか、すいた……」
食堂についたのはいいけど、そこにはキラキラ王子と護衛の人しかいなくて。
瑠衣も白夜もいる様子がなかった。
「勇者様。どうし……食事はまだしばらく後になりますよ?」
「うぅ……キラキラ王子はどうしてここにいるの?」
お腹はまだ鳴り続けてるけど王子なのに食堂在住してるのが不思議だったから聞いてみれば
王子は苦笑いを浮かべて、手元にある書類を軽くあげていた。
「ここの方がこれが捗るんですよ。それで勇者様、大丈夫ですか?」
「ごはん……」
ダメだ、お腹すき過ぎて泣きたい……
お腹を抑えて小さくしゃがみこんでしまったボクを心配そうに見るキラキラ王子は多分悪い人じゃない。
「何か摘めるものがあればよかったんですが……あぁ、タスク、勇者様を城下にある店に連れて行ったらどうだい?」
「そうですね……勇……いえ、ミサキ様。行きますか?」
「食べれるなら行く……」
別にお城のご飯じゃなくてもいいし……
もう動けないボクは小さく頷くと
「では、失礼します。」
「……へ?」
ひょい、とタスクさんはボクを軽々と小さい子にするみたいな腕に座らせるような感じで抱き上げていた。
背中に開いている腕を添えて。
安定はしてるけど、高くて……
「タスクさん……?」
「この方が楽でしょう?ミサキ様。」
確かにお腹がすき過ぎててボクはもう動けなかったし。
確かに楽だからいいけど……
「ボク小さい子じゃない……」
「そうですね。」
(年齢は)小さい子じゃないけど、(体格は)小さい子でしょう。
と、タスクさんの目は言っていた。
間違いなく言っていた。
不服だけど、それ以上にボクはどうあがいてもお腹がすいてるわけで。
「タスクさんごはん!!」
「では王子、行ってまいります。」
「あぁ、タスクがいるから大丈夫だとは思うけど、気をつけて。」
そのままボクとタスクさんは食堂を出て、お城から城下街へ。
ちなみにカオンさんとは食堂から出てすぐに別れた。
まぁ、カオンさんもお仕事があるだろうからね。
この時、ボクは初めて見る城下街を内心で楽しみにしていたことをボク自身気付いていなかった。
そしてまた、厄介事に遭遇することになることさえも……




